聖属性付与! 大魔法・ライトニングボルテックス
稲妻の嵐が炸裂して、ブラックエンペラードラゴンにダメージを与えた。手応えあり!
だが、青白く光ると回復していた。
そうだった! ヤツには自己回復スキル・ハイパーリペアがあるんだった。
確か、10回ほど回復スキルを使うんだったな。
「あのドラゴンはかなり厄介ですよ、ラスティ様」
「回復が面倒だ。あと蘇生もするらしい」
「ええ、なので回数分を超えるダメージを与えるしかないです」
回数分を超えるか。そりゃ、かなりの威力で攻撃を与えるしかないってことだ。しかし、俺にそんな魔力はないぞ。
「ラスティさん、わたしの聖属性付与はいかがですか?」
スコルがそう提案してきた。
そうだ、ブラックエンペラードラゴンは闇属性のモンスター。しかも、ハイパーリペアの唯一対象外の属性が“聖属性”だ。
これなら無茶をせずに倒せる可能性がある。
「それだ! スコル、俺のヴェラチュールに付与を頼む!」
「分かりました!」
俺は再度ヴェラチュールを生成召喚。直後にスコルから聖属性が付与された。これでヤツの弱点を突けるだけでなく、ハイパーリペアも発動しない。
「では、余は兄上に魔力を供給するのだ! 大魔法を使うつもりだったが、どうやら兄上に魔力を譲渡した方が良いと判断した」
「ハヴァマール、お前そんなことが出来るのか?」
「うむ、余ではないがな。エドゥが可能にしてくれるのだ」
ハヴァマールが珍しくエドゥに話を振った。そうか、大賢者のソウルスキルか!
「魔力供給が出来るんだな、エドゥ」
「はい。可能です。自分の『ソウルチェンジ』ならば」
すぐに魔力供給をしてもらうことに。
エドゥは、ハヴァマールの手を握り、それから俺の手も握った。なるほど、こうやって魔力を移すわけか。
「急いでくれ、エドゥ。ブラックエンペラードラゴンが向かってくる!」
「……少しだけ時間が掛かります」
くそっ、こんな時に!
「大丈夫だ、ラスティ! この私に任せな!」
「テオドール!」
さっきは失敗したテオドールだが、今度こそいい所を見せて欲しいところだ。
「今回はブラックスミスとしての力を見せよう。いでよ……ボンバーアックス!」
武器召喚をして巨大な斧を出すテオドール。おぉ、こりゃデケェ! まるで巨人族の使う大戦斧だぞ。
しかし、ネーミングが不穏なのだが!
「それ、大丈夫なのか?」
「心配するな、ラスティ。この斧を、こうしてブン投げる!!」
テオドールは、ブンッと物凄い力で投げる。巨大斧はブラックエンペラードラゴンの目の前で――大爆発を引き起こした。
って、やっぱり爆発するのかよー!!
信じられないほどの爆風が上空に広がり、地上にも届いた。ソウルリフレクターとウォーターシールドがなければケガはしていた威力だぞ。凄いな。
しかし、それでもブラックエンペラードラゴンは堂々としていた。
「うぉい、テオドール!」
「あは……あはは。ドラゴンを余計に怒らせてしまった」
「おまあああああ!!」
ドラゴンが高度を下げ、直進してくる。
まずい、かなりのスピードで突っ込んでくるぞ。
「ラスティ様、魔力供給完了です! かなりオマケしたので、いつもの十倍は力が引き出せるかと!」
よっしゃ、間に合ったか!
確かに力がみなぎるぞ。これなら!
「よぉし! ハヴァマール、お前の力を借りるぞ!」
「ああ、兄上! 余の最強スキルを使っていいぞ!」
聖属性の付与されたヴェラチュールを構える。
しかも、ハヴァマールのスキルが使える!
それはありがたすぎる。
俺は一度、ハヴァマールの最強スキルを使ってみたかった。
助走をつけ、俺は全速力で走って『ヴェラチュール』を投げつけた――!
「いっけえええええッ!! ライトニングボルテックス!!!」
詠唱は不要だった。
というか
聖属性となったライトニングボルテックスが瞬間でブラックエンペラードラゴンを貫く。
――な、なんて速度。なにも見えなかったぞ!!
一瞬で到達した大魔法は、ブラックエンペラードラゴンを蘇生させることなく消滅させた。リザレクションすら無効化してしまったのだ。
「おおおおお! さすが兄上なのだ!!」
「ハヴァマール、おまえのおかげだよ」
それから、スコルも「やっぱりラスティさんは凄いです!」と賛辞が。さらにみんなからも「あのモンスターを一撃で……」「ラスティ様は偉大です」「素晴らしい」など褒め称えられた。
けど俺ひとりの力じゃない。
みんなのおかげだ。
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