無人島開発スキルでボロディンを復興支援!

 セインに王の座を譲り、俺はエドゥと合流した。


「お疲れ、エドゥ」

「ご命令通り、エルフを守護しておりました」

「ナイスだ」


 俺はエドゥの頭を優しく撫でてやった。

 嬉しそうに目を細め、照れていた。

 普段はクールだから珍しい表情だ。


「オークの気配はゼロです。それとダークエルフがおられたのですね」

「ああ、偽の聖者・トルクァートがやりたい放題やっていたんだ」

「なるほど、大体理解しました」


 どうやら、エドゥは周囲のエルフたちから、ある程度は情報を得ていたらしい。


「というわけだ、俺は復興を手伝う」

「さっそく無人島開発スキルの出番ですね」


 俺も出来る限り支援はする。

 とはいえ所持材料に限りがある。全部を元通りとはいかないんだよな。


 それを伝えると周囲から次々に支援の申し出が現れた。


「え、家を直せるの!?」「そんなスキルが?」「木材なら任せろ!」「私も木材に心当たりがある」「こっちもだ」「石ならたくさんある」「鉄も無料で渡せるぞ」「ラスティ様、俺の家を直してください!」「お願いします!!」


 これなら、ボロディンを復活させられるかもな。


「あの、ラスティ様、僕からもお願いです」

「セイン……ああ、分かった。すぐに材料を集めてくれ」

「分かりました!!」



 セインの迅速な対応により、中央広場に材料が集められていく。物凄い数の木材や石、鉄などが積み上げられた。

 これだけあれば、半日で復興可能だ。



「よくこれだけの材料があったものだ」



 感心していると、セインが詳しいことを教えてくれた。


「ボロディンの周辺は広大な森があるんです。土木魔法が使える専門の業者がいまして、その方達が備蓄していたようです」

「なるほどねえ、エルフの技術だな」


 俺は材料をすべてアイテムボックスへ保管。

 それから『無人島開発スキル』を使い、建物を修復していく。



「おおおおおおお!」「家が直った!!」「一瞬かよ!!」「なんだこの奇跡のスキル!!」「家を直すスキルなんて初めてみたぞ」「エルフにない魔法スキルだ」「いや、これは魔法なのか……!?」「凄すぎる!!」「ラスティ様かっこいい!!」



 次々に建物を直していく俺。

 その度に拍手喝采の大絶賛が巻き起こった。


 こんなに喜んでくれるなら、俺は最後までやりとげよう。



「ラスティさん、無理はなさないでくださいね。疲れたらヒールしますから」

「ありがとう、スコル」


 集中して作業していれば、オークに破壊されまくった建物が元通りになってきた。この分なら全部直りそうだな。

 しかし、まだ建物はある。


 いったん休憩にしようっと――って、うおっ!?



 気づけば女性エルフに囲まれまくっていた。



「きゃー! ラスティ様がこちらを見ましたわぁ!」「か、かっこいいですっ!」「でも、お隣には聖女スコル様がいらっしゃるのね」「うぅ、お似合いでうらやましい」「話しかけてみたいっ」「ラスティ様って男前よね~!」「せめて抱きしめていただきたい」「握手だけでもいいのでして欲しい……」「分かる、それ」「この恋心どうしましょう」



 お……おぉ、マジか。

 なんだか照れるな。


 むず痒さを感じていると、スコルが俺の腕に抱きついてきた。



「ラスティさん、他の女性は見ないでください」

「お、おう。大丈夫だ、俺はスコル一筋だからな」

「そ、それなら安心しましたっ」


 赤面してうなだれるスコルは、すごく照れていた。そんな表情されると俺も照れるのだがっ。

 しかし、隣で冷めた表情でこちらを見るエドゥ。いや、元から仏頂面なんだけどね。


「……」

「エドゥ、なんでそんな目で俺を見る」

「いえ、ラスティ様はモテモテだなと」

「あとで頭なら撫でてやるって」

「約束ですよ」

「もちろんだ」


 今はちょっと休憩して、それからまた復興作業だ。元通りにしたら、俺たちは島国ラルゴへ帰る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る