復活したエルフの国

 半日で作業は完了した。

 無人島開発スキルでエルフの国・ボロディンを復活させたのだ。


 大勢のエルフに囲まれ、感謝されまくってしまった。さすがにこれ以上は、逆に混乱を招きそうだ。俺は早々にエドゥに転移を頼んだ。


「分かりました。ディメンションポータルを開きますね」


 目の前に転移を展開してくれるエドゥ。

 この中に飛び込めば一瞬で島国ラルゴだ。


 スコルの手を握り、俺は飛び込もうとした――が。



「待って下さい、ラスティ様!」



 俺の名を叫ぶ声がした。

 振り向くと駆け寄ってくるセインとクリスの姿があった。



「どうした、二人とも」

「見送りに来たんです。それとお礼を」

「いや、俺は当然のことをしただけだ。セイン、これからは君がボロディンを導くんだ」

「はい、精一杯がんばります!」



 セインならきっと大丈夫だ。

 それから俺はクリスの方へ声を掛けた。



「クリスも残るのか?」

「はい、小生はボロディンに残ります。今回、お役に立てなかったですし……」


 しょんぼりするクリス。

 そんな卑下することはないと思うけどね。彼女の情報がなければ俺はボロディンに来ることはなかったかもしれないし。


「気にすんな。また気が向いたらラルゴへ来てくれ」

「ありがとうございます。ラスティ様はお優しいのですね!」


 元気が出たのかクリスは頭を何度も下げていた。



「それじゃ、俺たちはラルゴに帰る。セイン、頼んだぞ」

「近い内にラルゴへ向かわせていただきます」

「分かった。いつでも歓迎する」


 挨拶を済ませ、俺はエドゥの出したディメンションポータルへスコルと共に飛び込んだ。



 * * *



 視界が開けると、そこはお城の中だった。

 見覚えのある庭園、ここは間違いない。俺の城だ。



「戻ってこれましたね、ラスティさん」

「ああ、スコル。やっとだな」



 しばらくしてエドゥも戻ってきた。



「転移完了です」

「お疲れ、エドゥ」

「いえいえ。では、自分は疲れたので休ませていただきます」

「ああ、ゆっくりしてくれ」


 エドゥは自室へ戻っていった。



「俺たちもゆっくりしよっか」

「はいっ」


 スコルを連れ、俺は自室へ向かった。道中でアルフレッドと遭遇した。


「ラ、ラスティ様! 戻られていたのですね!?」

「ただいま戻った」

「ご無事でなによりです!!」

「島は変わりないか?」

「ええ、守備は上々でございます」

「それは良かった」


「エルフの国ボロディンは救われたのですね」

「そんなところだ。セインが王となった」

「噂通りでした。さすがラスティ様です」

「なんだ、もう情報が入っているのか」

「ええ、世界ギルドから流れてくるのですよ」



 なるほどね、確かに世界ギルドなら情報の伝達は最速だな。

 噂になるのも早いわけだ。



「用は済んだ。俺とスコルはしばらくまったりする」

「分かりました。ラスティ様のご帰還をみなさまにもお伝えしておきますので」

「おう、頼む」


 綺麗にお辞儀するアルフレッドの横を通り、俺は寝室へ。

 さすがにちょっと疲れた。

 少しの間だけでもゴロゴロしよっと。


 そして、明日からまた島国ラルゴを見て回り、生活を便利にしていこう。俺の島開発はまだまだ終わらない――。




◆お知らせ


区切りがついたので、いったん章完結とさせていただきます!

また気が向いたら再開しますので気長にお待ち下さい。

続きが気になると思ったらでいいので★評価をお願いいたします。

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