鉄を使いまくれ! 無人島開発スキル『鉄檻』

 吹っ飛ぶフランク。

 そのまま鋼の肉体を持つアンノウンに激突していた。無論、アンノウンはケロリとしていたが、フランクはそのまま地面に落ちて白目を剥いて気絶した。


「……ったく、フランク。お前は動くことしか脳がねぇんだから、邪魔すんじゃねえ」


 とにかく、スコルのおかげでフランクは排除できた。


「ありがとう、スコル。これでアンノウンだけに集中できる」

「いえいえ。でも、今の攻撃で魔力を使い果たしてしまいました……」


 スコルの一撃は多くの魔力を消費するようだ。

 あとは俺が何とかするしかない。

 しかし、コイツの肉体は異常だ。

 とてつもなく固く、ダメージを与えるにはアンノウンの防御力を上回らなければならない。となると本気の本気でいくしかない。


 武器をヴェラチュールに変え、俺は魔力を込めていく。


「ラスティ、俺様たちと一緒にグラズノフ共和国を取らないか!」

「なんだと……?」

「共和国を解体し、新たな国を作るんだよ」

「てめぇ、ふざけてんのか!」

「ふざけてなどいない。ラスティ、お前こそ無人島を我が物にし、建国したではないか!」

「お前と一緒にすんな! 俺は真っ当に国を作った。しかも、あの無人島はどこにも属さない場所だった。問題はなかったんだ」


 当初はドヴォルザーク領と思われていたが、それは違った。ラルゴは完全な孤島であり、無人であった。

 そもそも、コイツは殺人を犯している犯罪者。

 一緒にされるのは不愉快だ。


「そうか、それはリサーチ不足だった。しかし、そんなことはどうでもいい! お前がその気でないのなら、こちらは殺す気でいくまでだ」


「ああそうかい! サンダーブレイク!!」


 俺は先制攻撃をした。

 風属性攻撃が地面をえぐって向かっていく。



「その程度の魔法スキルで俺様のボディを貫けると思っているのか!!」

「確かに、お前の防御力は異様に高いようだ。けど、それだけだ」

「言っておくがこの体に傷をつけるのは絶対に無理だ」


 自慢の肉体で俺のサンダーブレイクを防御するアンノウン。野郎、魔法耐性もかなり高い。けれど、それだけだ。

 攻撃はほとんどしてこない。


 なら、チャンスはいくらでもある。


「無人島開発スキル発動……! 鉄を合成し、強固な檻を作る」


 イメージして、俺は鉄の棒をいくつも作りあげ、アンノウンの周囲に降らせた。それを檻に見立て、どんどん囲んでいく。

 これぞ、無人島開発スキル『鉄檻』!


「な、なんだこれは!!」

「言い忘れていたが、俺は元から戦闘向きじゃねぇんだよ。無人島開発がメインでね、それを応用した技が得意なんだ」


「む、無人島開発だと!?」



 意外すぎたのか、アンノウンは混乱していた。その間にも鉄格子が出来上がり、檻が完成した。これでアンノウンを閉じ込めることに成功。


 俺はさらに周囲で戦っている殺人ギルドのメンバーにも対し、檻を落とした。



「うわああ、なんだこりゃあ!!」「お、檻!?」「なぜこんなモンが!!」「閉じ込められたぞ!!」「おい、どうなっている!!」「あのラスティってヤツがやったのか!」


 突然のことに発狂する殺人ギルドの男達。

 全員が檻の中だ。


 おかげで鉄を全部使ってしまったけど、これで捕まえられた。



「さすがラスティ様ですわ!」


 ルドミラと共に戦っていたストレルカが戻ってきた。良かった、ケガはないようだ。


「そっちは大丈夫だったか?」

「ええ、ルドミラ様が守ってくださいましたから」


 ルドミラやハヴァマールも合流。


「ラスティくん!」

「兄上!!」


 全員の無事を確認した。

 良かった。状況的に押されているかと思ったが、なんとか耐えてくれていたようだ。



「アンナプルナの奴らは全員閉じ込めた。もう安全だ」

「やっぱり兄上の力は最強なのだな」

「褒められると照れるぞ、ハヴァマール」

「そうだ、兄上。余に古代の魔法石エンシェントストーンを預けてくれぬか? この暴漢共をグラズノフ共和国へ転移させ、裁きを受けさせる」


「そんなことが出来るのか?」

「うむ。余には『ディメンションポータル』という特殊な転移スキルがある。だが、古代の魔法石エンシェントストーンが必要で今までは使用不可能だった。今なら可能なのだ」


 マジか。というか、ハヴァマールは真っ当なオーディンの子であり、神様だしな。それくらいのスキルはあっても不思議ではない。


「分かった、頼む」


 俺はハヴァマールに古代の魔法石エンシェントストーンを託した。

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