S級ランクの幻影モンスター

世界聖書それを使えば魔力を供給できるのか?」

「その通りです。世界聖書は魔力の吸収とか供給が可能なんです。それが判明したのは三日前ですけどね」


 改めて世界聖書の能力を見せてもらった。

 現在の判明している内容だ。



 [世界聖書ウルガタ]

 [効果]

  世界に一冊しか存在しない聖書。

  これを所持する者は真の聖人となれる。

  ヒエロニムスという特殊な言語で書かれており、エルフの聖女でなければ解読できない。

  最大七つの効果を持つ。


  ①アカシックレコード Lv.10

   歴史を保存したり読み取る力。

   世界聖書の基本的スキル。

   このページがなければ世界聖書は使用できない。


  ②ソウルコンバージョン Lv.10

   体力・魔力を吸収、変換、供給可能。


  ③スーパーノヴァ Lv.10

   膨大な魔力を消費する。

   街レベルで破壊的な爆発を起こす。


   無属性ダメージ:100000%


   このスキルを使用後、反動でしばらく動けなくなる。


  ④解読できていません

  ⑤解読できていません

  ⑥解読できていません

  ⑦解読できていません



「これは凄いな、スコル。④~⑦はまだ分からないのか」

「ごめんなさい。まだ時間が掛かりそうで」

「いや、これだけでも凄い。……けど、スーパーノヴァだけは使わないで欲しいな」

「それだけは使いません。危険すぎるので」


 しかしこれで魔力を供給し続けられるか。凄いぞ。

 スコルは、ストレルカの同意を得て魔力の供給を始めた。


「す、凄いです、スコルさん。魔力が増えていきます……! これなら、ウォーターウォールを一日なら維持できますよ」


「十分だ。一日でこの幻影ダンジョンを攻略しよう」


 そうと決まれば、穴を避けて奥へ向かわねば。

 俺は無人島開発スキルを駆使して橋を作った。これで完璧だ。


「さすがラスティさん! これで向こうへ渡れますね」


 スコルから褒められ、俺は照れた。

 けど、負担を掛けてしまっているから、早めに古代の魔法石エンシェントストーンを入手しないとな。


 決まったところで、ルドミラが先頭へ。


「では、僭越せんえつながら私が先陣を切らせていただきます」

「ああ、頼んだぞ、ルドミラ」


 俺の作った木製の橋を渡っていくルドミラ。俺も続いていく。スコルとハヴァマール、そして、ストレルカもついてくる。大精霊オケアノスを残して。


 これで俺たちを罠にハメたギルドはしばらく来られない。


 ヤツ等は不仲のように演じて、俺たちを騙したんだ。ライバルを減らすためにわざと罠を踏ませたってところだろう。

 だからもう他人は使用しない。

 信じられるのは仲間だけだ。


 橋を渡り切り、幻影ダンジョンの奥地へ入っていく。


 ここからがスタートだ。


「モンスターの気配がします! ラスティくん、準備を」

「分かった! みんなも戦闘態勢だ!」


 ヴェラチュールを手に持ち、俺は目の前の暗闇と対峙した。くそっ、ここは視界が悪すぎる。奥が真っ暗で見えないとかさ。


 モンスターの出現に身構えていると――。



『――――キィィィィィ』



 闇の中に赤い眼がひとつ。

 それはゆっくりと姿を現した。……こ、これは!


 突然、ルドミラに襲い掛かる大きな鎌。

 物凄い力が加わり、ルドミラが顔をしかめていた。



「ぐッ!!」



 な、なんだこのモンスター…!



 [グレイゴースト]

 [属性:念]

 [種族:悪魔]

 [詳細]

  灰色の幻影悪魔。

  S級ランクのモンスター。

  巨大な鎌・ソウルリーパーを持ち、襲い掛かってくる。



 S級ランクだって!?

 これはまずいぞ。


 トレニアさんに聞いたことがある。モンスターにはそれぞれ“ランク”が存在し、E~SSSまであるらしい。A、S、SS、SSSあたりがかなり強いと聞く。


 コイツはそのS級ランク。

 ボスモンスターに匹敵するのかよ。



「ラスティ様、ルドミラさんが!」



 ストレルカが叫ぶ。確かに、このままではマズい。



「スコル、フル支援で頼む。俺もルドミラを補助するから!」

「了解です!!」



 フル支援を貰い、俺は突撃していく――!!

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