最後の戦い

 スコルを背負い、人混みを掻き分けてニールセンを探す。


「ちょっと揺れるけど許せ、スコル」

「だ、大丈夫です! ラスティさんと一緒ならどこまでも向かいますから」


 頼もしい言葉だ。

 俺はそのまま直線に走っていく。


 やがて暗闇に入った。


 ここだ、ここにニールセンがいる! この闇は間違いない。


 ゲイルチュールで振り払い、暗黒そこへ着地する。



「ニールセン、覚悟しろ!」


『…………』


「お前の魔獣は俺の仲間が次々に倒している。もう後がないぞ」


『……魔獣など足止めの道具に過ぎん。ラスティ、今度こそ決着をつけよう』



 闇の中から姿を現す男。

 不敵な笑みを向け、その手には『世界聖書』が浮かんでいた。野郎、本気ってことか。


「ニールセン、追いかけっこはここまでだ。俺はお前を倒す」

「倒す? それは不可能だ。この闇と世界聖書がある限り、私は無敵なのだよ」


 ヤツは自信満々に答えた。

 しかしもう弱点は分かり切っている。そこを狙う。


 俺はシグチュールに変え、更に聖槍・グングニルも構えた。剣と槍の二刀流だ。



「これでお前を葬る」

「無駄だ。ラスティ、所詮お前は何も守れない!」



 闇を放ってくるニールセン。だが、スコルが聖属性魔法・ホーリークロスを放って浄化してくれた。さすが聖女の力だ。


 俺はスコルを守りつつも、聖槍・グングニルを投げつけた。



「くらえええええええええッ!」



 一瞬でニールセンの体に到達する聖槍は、ヤツの体を貫く。



「ぐあああああああああああああ……!!!」



 しかし、直ぐに闇がニールセンの体を修復。元に戻った。やはり、世界聖書から心臓を取り出すしかないようだな。


 俺はニールセンの動きを封じる為にも、更に攻撃を与える。


 無人島開発スキル、発動……!



 スキルによって複数の槍を生成。

 そのまま槍の雨を降らせた。



「これでも食らええッ!」

「や、槍だと……そんなものォ!!」



 ニールセンは必死に闇で抵抗する。

 しかし、本命はそっちじゃない。ニールセンを槍に集中させている隙に俺は、ヤツの『世界聖書』を奪い取った。



「貰ったあああああああ!!」

「馬鹿な!!」



 これで世界聖書は俺の手の中に。



「スコル、これを解読してくれ! ヤツの心臓を取り出すんだ」

「は、はい……えっと」



 解読してもらっている間に、俺はニールセンの攻撃をさばいていく。奴は怒り狂って闇を乱射していた。野郎、所かまわずか!


 だが、もうその闇は見切っている。


 動きが単純だし、今の俺は以前の俺とは違う。



「貴様ァ……!」

「ニールセン、観念しろ。スコルが解読すれば、お前は終わりだ」


「まだだ、まだ……」



 コイツ、まだこんな力が!

 俺は距離を取りつつ、スコルの状況を探った。



「どうだ?」

「そ、それがページが多くて……」

「なるほどな。思ったより時間が掛かりそうだな。――ならば、聖槍・グングニル!!」


 ヤツをぶっ飛ばして時間を稼ぐ!


 ブン投げた聖槍は、高速で飛翔してニールセンに激突。ヤツを吹き飛ばした。これで少しだけ時間が稼げる。



「聖槍などとうに見切っておるわ! ラスティ……お前を闇に染めてやる」



 コイツ、いつの前に目の前に。

 くそッ、しつこい!


 けどな……ここで引く俺ではない。

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