無人島開発スキル『緊急招集』

 ハヴァマールから『緊急招集』のスキルが付与された。

 これは無人島のレベルが『5000』を超えている場合に使用できるものらしい。



 現在:無人島Lv.6600



 そういえば、人口が増えて民が島を開発することによってもレベルアップすると聞いていた。そうか、それで勝手にレベルアップしていたんだ。


 今や島国ラルゴには多くの民が住んでいる。

 俺が不在でも民が島を豊かにしてくれている。だから発展し、強くなった。



「ハヴァマール、これで何が出来るんだ?」

「それは使ってからのお楽しみなのだ! それより早く! 魔物が百、二百と増幅しているのだ」



 そうだ、ニールセンが世界聖書を使って魔物を召喚した。全身が真っ黒の魔獣だ。



 [カオスレイド]

 [属性:闇]

 [種族:魔獣]

 [詳細]

  魔界に生きる魔物。その姿は見る者の精神によって変化する。人間の形をしていたり、犬の形をしていたり様々。呪術・シャドウスペルで様々な攻撃を放ってくる。



 あのカオスレイドを撃破しないと!

 その為にも俺は!



「緊急招集、発動!!」



 その瞬間、周囲が白い光に包まれた。

 こ、これは……なんて眩い。


 いったい何が起きて――む?



「ラスティさん、白い光の中から何か……!」



 スコルが叫ぶと同時に、白い光の中から別の光が放たれ――カオスレイドを一掃した。 あの黄金の槌……まさか『覚醒アマデウス』か。ということは!



「主の要請に従い、ただいま参上いたしました。総勢三百名の騎士がラスティくん、あなたの元に集結いたします」



 白い光の中から『ルドミラ』が姿を出した。それだけじゃない、見知った多くの顔ぶれが次々に現れた。しかも、驚くべきことにテオドールやトレニア、アルフレッドまでいた。



「よう、ラスティ! 私も駆けつけた」

「テオドール! マジか!」

「君たちに危険が及んでいると聞こえたよ。我々が来たからにはもう安心だ!」



 錬金術師にして鍛冶屋のテオドールがいれば百人力だ。



「ラスティ様、私もお力添えを」

「トレニアさん! 君の力は想像を超えているからね」



 彼女は強い。バケモノといってもいい。そんな彼女が駆けつけてくれた――これはもう色々とヤバいぞ。



「坊ちゃん……いえ、ラスティ様。私はようやく自分の進むべき道が分かりました。やはり、あなた様のお傍こそが居場所なのです。二度目の生を受けた今でも、その気持ちはまったく変わりません」



 膝をつき、俺に対して敬服するアルフレッド。



「馬鹿。お前はずっと俺の執事だ。今もこれからも何も変わらない! 俺を補助してくれ!」

「仰せのままに」



 立ち上がり、アルフレッドは黄金の箒・ゴルトブルームを手に取る。



 騎士達も剣を掲げた。



「ラスティ様、我々も貴方の為に!」「ラルゴ万歳!」「神聖王国を鉄槌を!」「うおおおおお!!」「我々は負けません!」「ルドミラ様の指導のおかげで強くなった」「島の為に!」



 すげぇ、すげぇよ……これが“緊急招集”の力か!



「みんな、俺に力を貸してくれ!!」




「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」」」」」



 大歓声が上がる。

 その迫力に圧倒されたのか、ニールセンは少しばかり距離を取っていた。



「……ゴミが増えただと? いったい、なんのスキルだ……」

「俺のかけがえのない同胞たちにゴミとは失礼だな、ニールセン!」

「フン、民など使い捨ての道具にすぎん。王だけが強ければいいのだよ。それが支配王たる由縁なのだから」



 なにが支配王だ。

 ふざけやがって!!!



「みんな、魔獣を頼む。俺はニールセンの世界聖書を奪って、ヤツを倒す……!」



 一斉に駆け出すルドミラや騎士たち。

 魔獣は任せ、俺はニールセンのいる方角へ向かった。



 今度こそ決着をつけてやる――!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る