共和国に襲い掛かる死神

 死神・ブラッディローズ……。

 レベルとか詳細は分からない。

 ただ、魔界のモンスターであることは理解できた。あんなモンを召喚できるニールセンは……そうか、ネクロマンサーだったとはな。



「あ、あんなの……見たことないです」

「ああ、俺もだ。この数では……」


「ラスティさんだって必死に戦ったんです。なら、わたしも」

「スコル、いいのか」

「はい。聖女としての責務を全うします」



 真剣な眼差しを向けられ、俺はスコルの気持ちを尊重することにした。

 出来れば、危ないことはして欲しくない。でも、共和国の街を守らないと。



「頼んだ、スコル」

「任せて下さいっ」



 ブラッディローズに対し、手をかざすスコルは魔力を込めていく。……相変わらず、とんでもない魔力だ。



「エドゥ、高度が下がってきている。上げてくれ」

「了解しました」



 俺がエドゥに指示を出してテレポートをしてもらった。あんまり近づきすぎるとモンスターからターゲットにされて、スコルが狙われる。


 その場合、俺が守るけどな。



「いきます……! ホーリークロス!!!」



 巨大な十字が無数に飛んでいく。それらは、全てあのブラッディローズを狙う。

 聖属性魔法だ。命中すればヤツ等にとっての致命傷になるだろう。



 しかし、ヤツ等もこちらの気配に気づいて緊急回避を始めた。野郎、素早いな。



 不気味な雄叫びを上げながらもスコルのホーリークロスをかわしていく。だが、何体か命中して撃破していった。



『『『ギャアアアアアァァ……』』』



 やはり、聖属性魔法には弱いらしい。ヤツ等は不死属性。属性の弱点だ。




「いいぞ、スコル。これなら街を守れる」

「はいっ! 全力で倒します」



 気合を入れるスコルは、次々にホーリークロスを打ち込む。

 ドン、ドン、ドンと連鎖する白い爆発。すげぇ、スコルの魔力は無限なのか!? いつまでも絶え間なく続いて……綺麗だ。



「これは素晴らしいです。大賢者である自分も驚きです」



 エドゥすら驚愕するほどか。


 やがて、ブラッディローズは残り三体になった。ここまでとは!



 だが、残り三体が厄介だった。

 三体は急降下してついに街に降り立ち、人々の魂を吸い取った。……アイツ、魂を奪うタイプなのか。



「きゃああああああ!」「助けてくれ!!」「な、なんだこのバケモノ!!」「うああああああああああ」「……し、死ぬぅぅぅ」



 ブラッディローズが通り過ぎて一瞬の出来事だった。人々が次々に倒れていく。なんてヤツだ。伊達に魔界のモンスターではないってことか。



「エドゥ、地上にテレポート!!」

「了解しました」



 一瞬で地上に降りて、俺は怪物を追った。

 ちょうど子供が襲われていて、俺は直ぐに聖槍・グングニルを生成して――放った。



「これ以上、共和国に手を出すんじゃねぇえええええ!!」



 轟雷と共にブラッディローズを貫く槍。怒りのまま投げたせいか、モンスターを一撃で葬った。……いけるものだな、俺。



「お、お兄ちゃん……助けてくれてありがと!」



 泣いてお礼を言う少女。

 良かった、ケガは無さそうだ。



 これであと二体……!



 ニールセンの思い通りにさせるものか!!

 全部ぶっ倒してやる。

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