料理スキルがパワーアップ!

 旅立つ前に島の防衛力を高めておく。

 今所持しているアイテムでは限界があるが、なにもしないよりはマシだ。


 無人島開発スキルを発動。

 全ての材料を使用して壁を作ったり、人気のない海沿いに罠を散りばめた。 


「こんなところかな。ボウガンや大砲、魔導レーザーは自動で敵を撃つ……しばらくは持つだろう。あとはルドミラの騎士団に全てを任せる」


「ありがとうございます、ラスティくん。では、私は引き続き騎士の育成に力を入れますので」


「あとは頼んだ。俺はもうゆっくりすから」



 俺は席を立ち、ひとまず自室へ向かった。少し疲れた、休もう。


 部屋に戻って俺はベッドに身を投げた。ふかふかで気持ちい。



「う~ん、兄上のベッドは最高級のモコモコなのだ」

「うんうん……って、ハヴァマール!? いつの間にいたんだよ」

「ちょっと話があってな」

「話?」


「兄上、敵は外部だけではない、内部にも潜んでおるのだ」

「なにか知っているのか」

「うむ。実はトレニアのところへ行ったのだ。その時、通りすがりのギルドがこう言っていた……ハイオークが暴れておると」


「ハイオーク?」


「オークは知っておろう~?」

「あの、ゴブリンよりも大きい緑のバケモノだよな。人型の」

「そうなのだ。だが、ハイオークは通常のオークよりも上位種。そのレベルも高く、体も鋼のように固いという。普通の剣では太刀打ちできんのだ」



 マジか……この島にそんなオークがいたんて、初耳だ。

 脅威となる可能性があるな。


 うーん、せっかく共和国へ向かおうと思っていたんだがな。


「こりゃ、延期かなあ」

「大丈夫なのだ。オークには親玉がいるものなのだ。そいつを叩けばいい」

「居場所を知っているのか? もし知っているなら俺が潰すよ」

「いや、兄上は共和国の方へ集中して欲しいのだ。ハイオークについては、ルドミラが動く。このことは既に彼女にも伝えてあるのだ~」


 ――なるほど、騎士団の仕事が増えてしまったが、国を守るために尽力してくれることだろう。


「分かった。俺の方も出来る限り騎士団を支援する」

「それがいいのだ」




 ――その後、いつもの日常生活を送って――気づけば深夜。明日に備えて俺は眠った。



 翌朝、仕度を済ませて食堂で待っているとスコルやハヴァマールがやってきた。



「おはよう、二人とも」


「おはようございます、ラスティさん」

「おはようなのだ、兄上」



 あとはストレルカ、エドゥか。

 二人は準備に時間が掛かっているのかな。

 まあ、急ぎの案件ではないし……朝食でも食べながら待つとしよう。


 今日はスコルの作ってくれたタマゴサンドだ。これ味が濃厚で好きなんだよね。



「どうぞ召し上がれです」

「ありがとう、スコル」



 俺はタマゴサンドを頬張った。――うめぇ。ボリューム満点の卵が口の中で踊る。味付けも完璧だな。



「ど、どうですか?」

「美味いよ、スコル。また料理スキルがパワーアップしたのか?」

「その、はい。最近はスキルのレベルがどんどん上昇しているんです。皆さんに幸せになっていただきたいのもありますが、なによりもラスティさんの為にがんばっていますっ」


 後半、顔を真っ赤にしてスコルは言い切った。……そ、それは反則だ。俺も顔が熱くなった。


 俺の為とか嬉しすぎだろッ!



 しばらくしてストレルカ、エドゥも姿を現した。これで全員集合だな。

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