防衛兵器を量産しまくれ!!

 防衛兵器自体のレベルは『1~10』まで存在する。


 大砲がマックスレベルのLv.10だとすれば、オークの軍勢くらいは全滅させられる。だから、全ての兵器を強化する必要がある。


 今用意できるマトモな兵器は『大砲』、『ボウガン』、『魔導レーザー兵器』、『落とし穴』、『落石』くらいか。少し心もとない気がするが、これが限界だ。



 魔導レーザー兵器は特に強力だが、コストが掛かり過ぎるのが難点だ。



「――なら、大砲しかないよな」

「そうですね、ラスティくん」


 ルドミラが同意する。

 城へ戻ってから、島の防衛に関する会議が始まった。食事をしながら。



「だから、しばらくは『鉄』を集めて大砲を量産しようと思う。みんな、鉄集めに集中して欲しい」


「では、わたくしの出番ですね」


 優雅に紅茶を啜るストレルカが視線を俺に向けた。


「そうだな、君の船が必要だ。この島だけでなく、他国の協力も必要不可欠。こうなったら、グラズノフ共和国のブレアに協力を煽ごうと思う」


「なんとブレア様ですか。以前、お会いしましたね」

「ああ、あの時に恩も与えておいたし、返してくれるはずだ」

「そうでしたね。国の危機だとかで」


 そう、島に眠る金貨を分け与えた。

 あれ以来、共和国はそれなりに良くなったようだが――今はこんな世界情勢。油断はならない。


 きっとブレアなら分かってくれるはず。



「ストレルカ、グラズノフ共和国へ船で向かう場合は何日掛かる?」

「そうですね、ここからかなりありますから……最速でも一日かと」


「結構早いな。鉄を買うとしても船がいるし……よし、こうしよう。共和国へ向かい、ブレアに会う。協力関係になれるか聞き、なんであれ鉄を買う。その後、ドヴォルザーク帝国の国境付近へ向かい……レオポルド騎士団を助ける」



「な、なんと……!」


 ルドミラが驚いていた。

 いや、彼女だけではない。

 スコルやハヴァマール、エドゥすらも。テオドールなんか笑っていた。



「あ、兄上! なかなか無茶なのだ! というか、何人でいくつもりなのだ?」

「島にある程度の人員は残しておきたい。トレニアさんやマットは残していくとして……テオドールにも残って貰いたい」


 視線を向けると、テオドールはまた笑った。


「島のことは任せてくれ。私はお店の経営もあるし、嫁達もうるさいからね」

「ああ、頼む」


 なら丁度いいか。

 テオドールのお店のおかげで街に活気があるし、喜んでいる人達も多い。


 あとは……。


「エドゥもいいか」

「自分もですか。この前も置いていかれたのに」


 不満気に頬を膨らませるエドゥ。


「許してくれ。直ぐ戻るから」

「いいえ、今回はついて行きます」

「……仕方ないな。今回だけだぞ」

「やった……!」


 飛び跳ねるエドゥ。いつもとテンションが違うな。これはキャピキャピモードのエドゥだ。こっちの方が可愛いけどな。



「ラスティ様、私は……」

「アルフレッド……お前は絶対安静だ。まだ復活したばかりなんだぞ」

「しかし……」

「主の命令だ。いいか、アルフレッドは城を頼む」

「……分かりました、ラスティ様。どうかお気をつけて」


 アルフレッドは理解してくれた。良かった、今のアルフレッドは精神状態も安定しているし、普段のままだ。もう大丈夫だろうな。けど、体はまだ本調子ではなさそうだし……療養してもらおう。



 ――というわけで、俺、スコル、ハヴァマール、ストレルカ、エドゥで決定。



「ルドミラ、お前は島を守ってくれ」

「出来れば同行したかったのですが、結成したばかりの騎士団を放っておくわけには参りませんからね」


「そうだ。お前には期待している」

「……嬉しきお言葉。必ず期待に応えられるよう、最強の騎士団にしてみせます」

「ああ、頼むぞ」



 明日、ストレルカの船に乗り久しぶりに『グラズノフ共和国』へ向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る