騎乗モンスター導入①
木、石、土などの材料はまだまだ在庫がある。住人が増えたおかげで力を借りれば収集も容易くなった。
中には元キコリの人もいたから助かった。
大量の木材を使い、俺は『学校』や移住者の為の『家』を空き地に建築していく。
「――ふぅ、こんなところかね」
「お疲れ様です、ラスティさん」
「やあ、スコル。そっちは何をしていたんだい?」
「わたしは……その、ラスティさんを探していました」
「……そ、そか。じゃあ、一緒に行動しよっか」
「はいっ」
いい笑顔を貰い、俺はやる気がアップした。スコルの笑顔は俺を元気にさせるし、癒されるなぁ。
「とりあえず、家をかなり作ったよ」
「いつの間にか道沿いに家がたくさん増えましたね。街みたいです」
「うん、もう村から街レベルに発展しつつある。みんなが材料を集めてくれるおかげで『無人島開発スキル』を使ってあっと言う間に家が建つようになった」
「今、三千人の方がいますもんね」
「そうなんだよね、家がない人もいるからさ……可哀想なんだ。それに、これからもっと移住者が増える。早く作っておかないとね」
「わたしも手伝いますね!」
「ああ、島の移動に大変だから移動速度の上がる支援魔法を使ってくれると助かるよ。……ていうか、そろそろ騎乗モンスターも導入するかね」
「騎乗モンスターですか?」
「ルドミラから聞いたけど、例えば騎士なら『ラマ・パコス』という馬……ていうか、アルパカに乗ったりしている。カッコいいのならドラゴンとかね」
「なるほど、ならテオドールさんが詳しそうですね」
テオドールは、テイマーでもある。そっか、アイツに聞けば騎乗モンスターのことを知っているかもしれない。
「よし、テオドールを探そうか」
「了解です!」
元気よく敬礼するスコルは……今日も可愛かった。
* * *
テオドールはアレグロ城の食堂にいた。
一人ではなく、華やかなドレスを着た女性を二人も囲って。……何やっているんだか。
「やあ、テオドール……」
「ラスティ! いやぁ、すまないすまない」
「その二人は? まさか移住者をナンパしたの?」
「違うって。この二人は嫁だ」
「――へ」
…………一瞬、テオドールの言ったことが理解できなかった。それはスコルも一緒だったようで完全に固まってしまっていた。
……嫁?
嫁って、あの嫁さんのことだよな。てか、嫁って普通は一人じゃないのか……?
処理が追い付かなくて、ぼうっとしているとスコルが俺の言いたいことを投げてくれた。
「テオドールさんって結婚していたのですか!?」
「ええ、スコル様。私はドヴォルザーク帝国の城塞伯ですからね」
「……あ、そういえば以前にそう仰っていましたね。これは失礼を……でも、お二人とご結婚されているんですね」
「構いませんよ。隠していた私も悪かったのです。
ちなみに、ドヴォルザーク帝国は貴族に限り一夫多妻が認められているのですよ。」
「そうだったんですね!」
「そんなところです。二人を紹介しますね。こちらの赤髪がフルート、白髪がヴィオラです」
「よ、よろしくお願いします」
スコルは、テオドールの嫁さんと挨拶を交わす。俺も一緒に済ませた。……てか、テオドールの嫁さん……すげぇ美人だな。スコルと同い年じゃないか? 若すぎるし、犯罪では。
「おい、ラスティ。その眼差し……“犯罪じゃね!?”とか思ったろ!!」
「そ、そんなことはないぞ、テオドール」
「本当かなあ」
「それより……騎乗モンスターを導入したいんだ。ほら、島って馬鹿広いだろ。移動を短縮したくて……スコルの移動速度を上げる支援魔法では限界があるし」
「なるほど、それで私を訪ねに来たわけか。いいだろう」
テオドールは立ち上がって快諾してくれた。
嫁さんにビックリしたけど、これで移動が改善されるかも!
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