無人島Lv.1000

 スライムの上に乗るオークは、そのままの状態で斧を振るう。それと同時にスライムが赤い液体を吐いてくる。


 あれを浴びると防具が破壊されるらしい。気を付けないとな。


 赤い液体をかわし、俺はオークを狙う。

 ゲイルチュールを払い、斧に叩きつけた。



『――ガンッ!!!』



 強烈な音が響く。



「ほう、貴様の武器は変わっているな」

「オーク、お前……喋れるのか!」

「まあな。先ほどの女騎士の剣も凄まじかったが、防具が貧弱すぎたな」


「お前、何者だ!!」


「出来れば、あの女騎士を裸にひん剥いてやりたかったが……まあいい」

「人の話を聞け!!」



 斧を打ち上げ、俺はそのままオークの体を切りつけた。



「――がはあああああああッ!!」



 スライムから転落するオーク。

 これでもうただのオークだ。



「なんでお前みたいな怪物が島にいる。まさか、ニールセンの手先か」

「さあな。そんなことより、今日は様子見だからな……さらばだ!!」



 くるっと背を向けるオーク。

 追いかけようとするが、スライムに乗って逃走した。……なんて素早さだ。



「な、なんだったのでしょうか」

「さあ、分からん。また現れそうだし、次は倒すけど」

「島の警備も増やした方が良さそうですね」


「ああ……防衛力も高めないと今の設備だけでは対処しきれないようだ」



 早急に強化しないと。

 でも、今はダンジョン作成だ。


 オークの存在も気になるけど、いざとなれば防衛兵器が対処する。城の方はアクアナイト三十体とゴーレム兵も十五体ほど配備されている。

 そう簡単には突破できない。



「そうですね、これから帝国やニールセンの侵攻があるかもしれません。備えておかないとですね」

「それはそうと……ルドミラ。そのままで洞窟へいくつもりか?」


 ルドミラは、さきほどスライムの液体を浴びてビキニアーマーが破損した。腕で胸を隠している状態だ。これでは動きにくいだろう。



「む~…恥ずかしいのですが、このまま行きましょう」



 腕を解くルドミラだったが、俺は咄嗟とっさに前を向いた。……って、ダメだろうがっ!!



「ちょ、ルドミラ! なに見せつけているんだ。ヘンタイか!」

「私は女である前に騎士ですので、裸を見られようとも関係ないのです。それに、主であるラスティくんになら見られても平気です……!!」


 その割に声が震えているし、耳まで真っ赤っぽいぞ。ダメじゃないか。


「代わりの鎧はないのか?」

「ありません。私は常にスピード重視の軽装ですから」


 ないのかよ。

 仕方ない、俺のアイテムボックスから服を取り出すか。

 以前、ドヴォルザーク帝国へ行ったときに買った服がいくつかあった。女モノはないけど、男モノのシャツならあった。


「これを着てくれ」

「無地の白いシャツ、ですか」


「それしかないんだ、我慢してくれ」

「……分かりました」


 渋々ルドミラはシャツを着てくれた。

 これで一安心だな。


 シャツを着たところを確認し、俺は安堵あんどした。あのまま胸を晒して歩かれたら俺の身が持たないし、スコルたちに見られたら色々誤解されてしまう。


 ――しかし。


 こうして白いシャツ一枚になっても……なかなか魅力的だな、ルドミラの奴。


「騎士には見えないな」

「むぅ……これでは就寝前のようで嫌ですね」

「我慢しろ、主の命令だ」

「命令では仕方ありませんね」


 そのまま洞窟を目指した。



 * * *



 ようやく洞窟に到着。

 今日も薄暗くて少し不気味だ。


「ルドミラは周囲の警戒を頼む。さっきのスライムオークみたいなのが出現するかもしれないしな」


「了解しました」



 俺は掻き集めた『木材』、『石』、『土』を全て使い、ダンジョンを作成していく。

“Lv.2:地下ダンジョン作成可能”を選択。


 それぞれの材料5000個を消費。


 すると――



[名も無き地下ダンジョン](新規)

※ダンジョンに名前が付けられます


[階層] 地下三十階

[難易度] 0


[モンスター]

未配置


[ボスモンスター]

地下十階:未配置

地下ニ十階:未配置

地下三十階:未配置


[トラップ]

未配置



 新たに再構築した地下ダンジョンが完成。


 これにより、



 無人島Lv.1000となった……!



 ついに『開国』となったんだ。

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