ダンジョン開発スキル!?

 島の開発を急ピッチで進めていく。

 レベルを『1000』にするには建物を増やしたり、土地を増やしたり――畑を耕したりなどなど、やれることは多い。


 俺は、スコルを連れて二人きりで島を回る。



「えへへ、二人きりですね」

「ああ、たまにはいいだろ。ルドミラが護衛が絶対だと五月蠅うるさかったけどな」


「ラスティさんを心配しているんですよ」

「それは分かるが――」



 俺はどうしてもスコルと二人きりになりたかった。――なんて正直に言うのは恥ずかしかった。


 まだ開発の進んでいない森へ入り、ゲイルチュールで伐採していく。木材が溜まっていくし、開発用に丁度良い。



 木材:5691個 → 木材:8447個



 ある程度、森を伐採して湖へ出た。

 森に囲まれる静かな場所。

 湖の真ん中には小さな島があり、お墓もある。



「ここは静かですね」

「そうだな。アルフレッドに挨拶していくか」



 俺が作った人工の木橋を渡る。

 スコルの手を握り、引っ張っていく。



「……あ、ありがとうございます」



 顔を真っ赤にして嬉しそうにお礼を言う。そんな乙女すぎるスコルの一面に、俺は胸がキュンとしてどうかなりそうだった。



「礼を言われるほどのことじゃないよ。俺はただ……」

「ただ?」


「……っ! さ、さて到着したぞ」



 小島には立派な墓が建てられている。

 多くの花が献花され、黄金の箒・ゴルトブルーム祀られていた。良かった、俺が不在の間はルドミラがきちんと見てくれていたようだな。



「変わりはありませんね」

「無事でなによりだ。掃除はしていくか」



 落ち葉などのゴミ拾いをして、次に墓前の前に花を添えた。俺とスコルは神に祈りを捧げ、墓地を後にした。



 * * *



 湖を抜け、ダンジョン付近までやって来た。

 かなり前に何度か訪れた『洞窟ダンジョン』がある。あの時は、地下へ潜ったっけな。あれ以来はまったく手をつけていない。


 たまにイノシシモンスターのセーフリームニルの狩りをするくらいだ。ヤツは畑をよく荒らすし、そもそもあの肉は絶品だからな。



「ハヴァマールによれば、ダンジョン開発も島のレベリングに繋がるらしい」

「そうなのですね。でも、どうやってやるんです?」



 無人島開発スキルを改めてチェックしてみよう。




 [スキル]

 [無人島開発][Lv.941]

 [能力詳細]

 この能力を有する者は、島(国)の開発が可能になる。使用に魔力は消費しない。ただし、開発に必要な材料は必要とする。無人島開発スキルのレベルが上がると習得者の全ステータス値が10%上昇する。


 ①島開発

  小屋、家、城、城塞、屋敷、店を立てられる。『木材』、『石』を消費する。温泉、滝、川、沼、湖、農地なども開発可能。『土』を大量消費する。



 ②防衛設備

  キャンプファイヤー、木製防壁、石防壁、投石機、ボウガン、大砲、魔導レーザー兵器、トゲトゲバリケード、落とし穴、落石を設置できる。『石』と『土』を消費する。



 ③ペット管理

  スライム、ゴブリン、オーク、ゴーレム、ドラゴンまでペットに出来る。『ペットフード』を消費する。




 ④[無人島開発]スキルが Lv.1000 の場合【開国】可能になる。



 ⑤ダンジョン開発 Lv.1

  無人島開発スキルがLv.900以上の時この効果を追加する。

  大量の木材、石、土を1000~10000個消費してダンジョンを開発する。既存のダンジョンへの開発も可能となる。


 Lv.1:通常ダンジョン作成可能

 Lv.2:地下ダンジョン作成可能

 Lv.3:タワーダンジョン作成可能

 Lv.4:ナイトメアダンジョン作成可能

 Lv.5:海底ダンジョン作成可能

 Lv.6:天空ダンジョン作成可能

 Lv.7:異世界ダンジョン作成可能

 Lv.8:EXダンジョン作成可能

 Lv.9:ヘルインフェルノダンジョン作成可能

 Lv.10:夢幻ダンジョン作成可能



 ダンジョンにモンスターの配置を自由に決められる。『罠』や『宝箱』の設置も可能。


 ダンジョンを作成した場合、その開発状況に応じて無人島開発スキルがレベルアップする。




 ――と、いった具合に『ダンジョン開発』が追加されていた。




「どうだ、スコル」

「す、凄すぎです! ラスティさん、ダンジョンまで作れるようになったなんて……わたし、一度でいいから冒険してみたかったんです」


「うん、難しいのを作ってみるよ。その方がレベルもアップするだろうし」

「はい、わたしも手伝いますっ」


「……っ」



 今日のスコルの笑顔、すっごくまぶしい。

 なんだろう、俺は顔が熱いし……胸がヘンな感じだ。どうしたんだろう。



「ラスティさん? どうしたんですか?」



 心配そうに顔を覗き込んでくる。

 そんな風に見つめられたら……俺、俺は……。



「な、なんでもないよ!」

「なんで目を合わせてくれないんですか……。もしかして、わたしと一緒はお嫌だったんです?」

「違うって。違う違う違う! スコルと一緒が良かったんだ」


「え……わたしと一緒がよかった!?」


「うん。だから、その誤解しないでくれ。俺はただ……ん?」



 なんか茂みから気配を感じた。

 スコルを抱え、ゲイルチュールのサンダーブレイク(弱)を地面へ落とす。茂みの方へビリビリっと稲妻が走っていくと、その奥から複数の気配が現れた。



「――っと、あぶないですっ」




 しゅたっと現れた影。

 素早い動きで俺の攻撃を回避した。

 な、何者だ?


 と、驚いていると、それはビキニアーマー姿のルドミラだった。



「おま……って、エドゥとハヴァマール、ストレルカも! なんだ、みんなついて来ていたのか」


「申し訳ございません、ラスティくん。やはり、二人だけで行動させるのは危険だと判断したのです。神聖王国ガブリエルの脅威が迫っているので」


「一理あるな。だがルドミラ、主の命令に背くな」

「背きます!」

「堂々と言うな!?」


「私には主が必要ですし、この島の王であるラスティくんを失っては……それこそおしまいです」


 そこまで思ってくれるか。

 まあ、確かに最近の治安は良いとは言えない。ルドミラの言う通り、神聖王国ガブリエルから敵が襲来している事実がある。


「分かった。みんなで行動しよう。スコル、悪いな」

「いいんです。少しの間だけでも二人きりになれたので、わたしは幸せでした」



 落胆するわけでもなく、スコルは全力の笑顔を向けてくれた。本当に良かった。

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