準男爵の騎士
幸せに飯を食っていると、少し離れたところから三人の男達がやってきた。冒険者――いや、帝国貴族か。しかも、それほど地位は高くなさそう。
真ん中の背の小さい男は、自信満々。なるほど、左右の男たちは“しもべ”ってところかな。
「なにか?」
「そうだ、お前に話しがある。見たところ、お前は低級の最弱冒険者っぽいな。服装もダサいし、おまけに装備もクソ。ゴミだな」
なんだコイツ。
いきなり失礼なヤツだな。
だけど、俺は怒らなかった。
怒っても損しかない。
それに、スコルやストレルカも見ているからな。ここは紳士な対応を心掛ける。
「で?」
「……ぐっ、貴様。まあいい、そのシスター服の金髪のエルフと青髪の貴族令嬢は、お前の仲間か?」
「ああ、そうだけど」
「よし、お前の仲間を高く買ってやる。そうだな……一人1000000ベルを支払おう」
「ふざけんな」
「不服か。なら、10000000ベルでどうだ?」
金の問題じゃない。スコルとストレルカを売るとか、ねぇよ。この貴族、下衆の極みだな。相手にするだけ馬鹿らしい。
「売らねぇよ。いいか、二人は物じゃないんだ。お金に換えられるわけないだろ。人身売買なんてクズ野郎のすることだ」
そう言い放つと、左右の大男が俺を
「貴様ぁ!! アドルファス様に向かって、なんて言い草だ!! 無礼であろう!!」
「そうだ。アドルファス様は、準男爵の爵位を持つ騎士様だぞ!」
準男爵かよ。
たいしたことねぇ~!
ていうか、
だけど、アドルファスってヤツは、ふんぞり返っていた。何なんだか。
尚、スコルとストレルカは白い目をアドルファスに向けていた。そりゃそうだよな。自分がお金で買われるとか、俺でも嫌だ。
「ラスティ様、あんな輩は無視してよいかと」
「そうだな、ストレルカ。そもそも、上流貴族のストレルカを買うとか言っている時点でアウトだけどな、あのアドなんとか」
「とはいえ、今のわたくしは家を追い出された身ですし」
――そうだった。
勘当を言い渡されていたんだっけな。
しかし、それでも俺の島の住人であり、守るべき存在なんだ。そう思っていると、アドルファスを護衛する男達が地面に転がっている石を拾い上げ、俺に投げつけてきた。
だけど、スコルが俺を
べしっとスコルの顔に石が衝突。
ケガをしてしまった。
……傷つけられた。
「スコル、大丈夫か!? どうして俺なんかを
「良かった、ラスティさんが無事で。……だって、
顔から血が……許さん。
絶対に許さん。
スコルの可愛い顔に傷を!!
「ストレルカ。スコルを頼む」
「え、ええ。はい」
俺は、ゲイルチュールを即召喚――強く握りしめた。
「ま、待て! 俺は準男爵のアドルファスだぞ! 金ならいくらでもある!! 人身売買で儲けた金がな!!」
そうか、そんな最低な商売を……恐らく、隣にいる男達と共謀してやっているんだろうな。だけど、そんなことよりも俺はスコルを傷つけられて怒りが頂点に達していた。
護衛の男達がついに剣を取り出し、向かって来る。邪魔だな。
「ゲイルチュールからの、サンダーブレイク!!」
閃光が稲妻となって走る。
二人をまとめてぶっ飛ばした。
「「ぬあああああああああああああああッ!!」」
よし、雑魚は消した。
最後にアドルファスとかいうヤツだ。
こいつだけは絶対に許さん。
「……な、なんだ、なにが起こった!?」
「お前を殺す」
「ひぃ!! すまん、すまなかった!! その金髪のエルフを傷つけて悪かった。だから、命だけは!!」
「金髪のエルフじゃねえ。スコルだ! 世界一可愛いエルフ聖女・スコルだ!! 覚えなくていいけど、その腐った魂に刻んでおけえええええええ!!」
ハヴァマールから譲り受けた最強のスキルを
「やめ、やめてくれええええええええ!!」
「うるせええええええ、聖槍・グングニル!!!」
全魔力を集中。
全力投球で聖槍を投げつけた。
怒りが絶大なパワーを生み出し、アドルファスを光で包んだ。
「あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………ッッ!!!」
白い光の柱が空まで届く。
ヤツは、どこまでも吹き飛び――星となって消えた。……へっ、ざまぁみろ! 俺の仲間に手を出したから、そうなったのだ。
そもそも、悪徳貴族だったようだし、成敗できて良かった。さて、スコルの容体は……?
「ご安心ください、ラスティ様。わたくしの水属性スキルの中に『キュア』という回復魔法があるのです。これは、傷を癒す能力もあるので、この程度なら何とかなるかと」
「ナイス、ストレルカ! 頼んだ」
「お任せください。では、いきますよ、スコルさん」
ストレルカは『キュア』を発動。
スコルの傷を癒した。
ほっ、良かった。
***おねがい***
続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。
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