武器召喚スキル『グングニル』
俺は、聖槍グングニルを生成し、槍の形を作った。まさか、この最強の槍スキルが使用できるようになるとはな。
膨大な魔力を引き換えに、とんでもない物理・魔法攻撃を与える対魔神スキル。つまり、燃費は悪いけど超ダメージを与え、相手が魔物か神であるなら、弱点属性として倍のダメージを与えるという効果を持つのだ。
こんな神スキルを……ハヴァマールは、俺の
だけど、おかげで今の俺は限りなく最強となった。
聖光を槍の先端に集中させていく。そこへ膨大で強大な魔力が凝縮されて――やがて。
「くらえええええええッ! 聖槍グングニル!!!」
極光の槍は、爆風となり飛翔していく。それがアレクサンダーの腹部に
スキルを自分のものにすると、ここまでの威力になるとはな。
――そう、今までは
だけど、今は完全に移植された
[グングニル][Lv.10]
[覚醒]
[武器召喚スキル]
[効果]
オーディン神の槍。
非常に大きな魔力を消費し、生成召喚する。槍は通常の武器として使う場合、攻撃力は1000%~3000%となる。武器属性は[風]となる。遠投時に限り、物理・魔法ダメージを与える。
この武器召喚スキルは、絶対に破壊されない。敵が拾ったり、使用したりできない。
Level.1 :物理・魔法ダメージ 10000%
Level.2 :物理・魔法ダメージ 20000%
Level.3 :物理・魔法ダメージ 30000%
Level.4 :物理・魔法ダメージ 40000%
Level.5 :物理・魔法ダメージ 50000%
Level.6 :物理・魔法ダメージ 60000%
Level.7 :物理・魔法ダメージ 70000%
Level.8 :物理・魔法ダメージ 80000%
Level.9 :物理・魔法ダメージ 90000%
Level.10 :物理・魔法ダメージ 100000%
「ば、馬鹿な! なんだこの光……うああああああああッ!!!」
サンダーブレイクこそ防御したアレクサンダーだったが、こればかりは防御できなかったようだ。ヤツは、体勢を大きく崩し――世界ギルドから吹っ飛んでいく。
中央にある噴水に激突。水柱を上げ、更に奥へ飛んでいく。すげぇ破壊力だ。ヤツの体は高速回転しながら、まだ飛び跳ねていく。
やがて軌道を変えたヤツの体は、空へ向かっていった。おぉ、見事に青空へ向かっていくじゃないか。
「ここまでの火力だとは思わなかったな」
『クソ、クソ、くそおおおおおおおおおおおおお……!! ぎゃああああああああああああ!!』
最後まで叫び声が聞こえたけど、頑丈なヤツだな。でも、なるほど。防御力は一丁前らしい。さすが最強の聖騎士と名乗っているだけはある。
まあだけど、かなりのダメージを受けたはず。
ふぅ、と汗を拭っていると、あのギルド職員のトレニアが俺の目の前で頭を下げていた。
「あ、ありがとうございました。傷も治していただけて……なんとお礼を言っていいやら」
傷を?
ああ、よく見たらスコルがヒールをしていた。サムズアップしあって合図を送った。ナイスだ、スコル。
「いや、俺はただ君を助けただけさ。それじゃ、迷惑も掛けたし帰るよ」
「……あ、あの! 待って下さい」
「ん?」
「移民を探しているのですよね。なら、私にお任せ下さい」
「でも……」
「さきほどの非礼をどうかお許しください。どうしてもお礼がしたいんです」
トレニアは、態度を改めて協力姿勢を見せてくれた。さっきは信じていなかったみたいだけど……少々困惑していると、ストレルカが耳打ちしてきた。
「アレクサンダーを撃退したので、彼女はラスティ様を信じてくれているのですよ」
「そういうことね。よし……」
俺は改めてトレニアに依頼を出した。
「移民を募集したいのですね。分かりました、私は世界ギルドの『ギルドマスター』を任されておりますので、後は『騎士団長の承認』が得られれば上手くいくかと」
「え……騎士団長の承認だって?」
「はい、世界ギルドの最高責任者は『レオポルド騎士団』の『騎士団長』となります。次に三人存在するギルドマスターですが、そこまでの権限はないのです」
肩を落としながらトレニアは説明をしてくれた。……そうか、可能とはいえ、そんな手続きが必要だったとはな。これは意外というか、想定外だ。
現在、ドヴォルザーク帝国のレオポルド騎士団に、騎士団長は不在。
……参ったな、ルドミラを辞めさせなきゃよかった。でも、もう遅かった。三日前に辞任済みだし、どうしたものか。
「トレニアさん、騎士団長って新しい人が就いたりしないのか?」
「そういえば、前任の方が近々復帰予定だとか」
「ルドミラの前の騎士団長か」
「はい、名前は分かりませんけど三十年も前にルドミラ様に席を譲ったようなので……正体も不明なんです」
正体不明だって?
しかも、三十年も前の話なのか。そんな前からルドミラは騎士団長を……不老不死である“エインヘリャル”を持つ彼女なら違和感はないけど、前任の騎士団長は“高齢者”なのか。
五十代、あるいは六十代か。
考え込んでいると、スコルが俺の肩を突いた。
「あの、ラスティさん。そのレオポルド騎士団へ行ってみはどうでしょうか」
「それは無理だ。騎士団は、城の中にあるんだ。下手すりゃ、兄貴達に見つかるし、大事だ」
「そ、そうですよね……ごめんなさい」
「謝る必要はない。けど、なにか良い手はないものか」
クソ兄貴や知り合いに会わずに騎士団長に相談とか……難易度高いな。もしくは、着任を待ってトレニアにお願いするかだ。
しかし、その場合はいつになるか分からないしな。
「どうしましょうか?」
「うーん、今は難しそうだな。ありがとう、トレニアさん。俺たちは一度この情報を持って島へ帰る。またお世話になるかも」
「そうですか。えっと……ラスティ様、ですよね。あれ……第三皇子様と同じ名前?」
「偶然同じ名前なんだ」
「そうなのですね。分かりました、そういう事にしておきますね」
「ああ。じゃあ、また」
「はい、私はいつでもラスティ様の味方です」
最初に会った頃とは大違いの笑顔を貰い、俺はドキドキしてしまった。背後のスコルとストレルカが呆れた圧を流してきて、別の意味でドキドキしたけど!
「さ、さあ……帰ろうか、スコル、ストレルカ」
「はい、ラスティさん、行きますよ」
「ええ、ラスティ様、参りましょう」
二人は俺の両腕をガッチリ確保。
そのまま連行されてしまった。
中央噴水広場のベンチに座りなり、二人から「トレニアさんにデレデレしすぎ!」と説教を食らった。そんなつもりはなかったんだけどなあ、表情に出てしまっていたか。
「すまない、スコル」
「しばらくこうさせて下さいっ」
隣に座るスコルは、俺の右腕を抱えたまま……頭を預けてきた。うわぁ、近い。それに対抗するようにストレルカも同じ動作を。
二人に挟まれ、腕を抱えられ――頭を預けられた。
周囲の男冒険者が羨ましそうに見てくるし、嬉しいような困ったような。
しばらく、まったりして俺は島へ帰ろうと思ったのだが……
え……嘘だろ?
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