無人島 Lv.55

 部屋に戻ると猛烈な眠気に襲われ、ベッドへ横になるなり俺は眠ってしまった。



 あっさり眠ってしまった割には、早起きしてしまった。体を伸ばし、立ち上がる。顔を洗いに行こうと廊下へ出ると、隣にあるスコルの部屋の扉が少し空いていた。

 どうしたのだろうと、隙間から覗くと――ほぼ全裸のスコルがいた。後姿だけど。


 って、ええッ!?


 スコル、何やってるんだよ。

 動揺しまくった俺は、ついに足音を立ててしまった。



「だ、誰ですか!?」

「す、すまん……俺だ。顔を洗いに行こうとして通り掛かったんだ。すまない、覗くつもりは……ちょっとあったけど、そんなつもりはなかったよ」


「わ、わたしの方こそゴメンなさい」

「いや、俺が悪いんだ。覗きなんて最低だよな」

「他の男性だったら嫌ですけど、ラスティさんは良いんです。ですから、気になさらないで下さいね」


 スコルはそう言ってくれる。良かった……スコルが寛容かんようで。あの優しい性格が俺は好きだ。


「それで何をしていたんだ?」

「そ、それは……そのぉ」

「あー、恥ずかしい事なら無理して言わなくていいよ」

「だ、だいじょうぶです!」


 絶対大丈夫じゃなさそうなんだけど、さっきから言葉が震えているし。


「それじゃあ、聞くけどなんで裸なんだ」

「その……胸が苦しくて」

「あー…」


 納得した。昨晩、ハヴァマールとの会話にあったヤツだ。スコルは胸が成長していると言っていたな。それで下着を外して眠っていたと推測。……本当だったとはな。



「今着替えちゃいますね」



 いそいそとエルフの民族衣装に着替えるスコル。俺は見ないように手で目を覆った。しばらくして、スコルが部屋から出来た



「悪かったな、反省しているよ」

「気にしていませんよ~。それより、散歩へ行きませんか」

「そ、そうだな。早朝の狩りでもするかな。スコルと二人きりで」

「ラスティさん! それ、すっごく嬉しい! 感激です!」


 破顔するスコルは、喜んで俺の隣に来てくれた。歩きはじめると、スコルは俺の腕を手で掴む。……あっ、これいい。なんだろう、この高揚感。



 そのまま静かな家を出て――外へ。



 まだ陽が昇ったばかりなせいか、周辺は薄暗い。森や土の匂いが自然を感じさせてくれる。う~ん、今日も島は元気だな。

 そのまま『落とし穴』や『落石』、『バリケード』や『ボウガン』など防衛設備の点検をおこたらずチェックした。……うん、特に問題はないな。一部は自動発動して、モンスターを撃退しているようだ。上手く発動しているようだな。


 次は『島開発』を進める。

 島のレベリングも重要な要素だ。



 ①島開発

  小屋、家、城、城塞、屋敷、店を立てられる。『木材』、『石』を消費する。温泉、滝、川、沼、湖、農地なども開発可能。『土』を大量消費する。



 周辺にある『小屋』と『温泉』、そして『沼』と『湖』を強化する。



 [所持アイテム]

  木材×4417

  石×1549

  土×1219

  鉄×112




 材料は、エドゥと一緒に行動していた時にゲイルチュールを振るって、さりげなく増やしていた。大量の木材、石、土を使用し、『小屋』、『温泉』、『沼』、『湖』に対してスキルを発動。



 [無人島][Lv.20]

 [開発状況]

  沼 Lv.1

  小屋 Lv.3

  家 Lv.10

  湖 Lv.1

  キャンプファイヤー Lv.1

  温泉 Lv.2

  ワークテーブル Lv.1

  畑 Lv.1



 これが――こうなった。



 [無人島][Lv.55]

 [開発状況]

  沼 Lv.10

  小屋① Lv.10

  小屋② Lv.1

  小屋③ Lv.1

  家 Lv.10

  湖 Lv.10

  キャンプファイヤー Lv.1

  温泉 Lv.10

  ワークテーブル Lv.1

  畑 Lv.1



 一気に『無人島Lv.55』へレベルアップ。小屋は見た目こそ少しゴツくなった程度で、収納数が劇的に変化。かなり詰められるようになった。いざ人口が増えても余裕で備蓄可能だろうな。

 沼はまったく変化がなかったが、どうやら『Lv.10』となると“底なし沼”になるようだった。意味ねー! まあ、島のレベルアップには貢献こうけんしてくれたな。


 湖は【オアシス】という名称になり『水質』がアップ。水の美味さとか変化するようだ。あと、濾過ろかの効力が格段にアップするようで、水が汚れにくくなって、飲み水の保証もしてくれるようだな。これは便利!


 温泉は、回復速度がアップ。裂傷や腰痛も癒してくれるよになった。なので、ちょっとした風邪などの病気も治せるようだな。これは素晴らしい。



「ふぅ、終わった」

「お疲れ様です。ラスティさん」



 ようやく島開発をひと段落させ、眺めの良い浜辺へ。簡単な木製ベンチをワークテーブルで作って、そこへ座った。すると、スコルが膝枕ひざまくらをしてくれた。


「あ、ああ……ありがとう。膝枕もしてくれるなんて」

「……えへへ。ラスティさんをこうするのが、わたしの夢だったんです」

「そ、そうなのか。なんだか照れくさいな」



 一仕事を終えた後の膝枕は最高だなあ。

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