島に眠る財宝!?
ふと気づくと俺もスコルも少し寝ていた。……ああ、スコルの
ん、なんだこの柔らかい物体――って、スコルの胸だ!!
ぼよんぼよん弾んでいる。
どうやら、スコルも眠ってしまったらしく、上半身がこちらへ倒れていたようだ。その不可抗力により、俺の顔面はスコルの胸によって包まれてしまっていた。
なんてこった。
ここが全て遠き理想郷か!?
などと言っている場合ではない。これは早く何とかしないと……! 俺はそっとスコルから離れた。……ふぅ、柔らかかっ――じゃなくて、無事に脱出。額の汗を腕で拭っていると、海の方から船が見えた。
「船? まさか、また帝国の連中かな」
警戒していると、船はいきなりドン、ドン、ドンと砲撃を始めた。なっ、突然撃ってきやがった。砲弾がこちらへ飛んでくる。やばい、やばい、やばいって。
寝ているスコルを抱えて俺は回避。
「――うわぁ、びっくりしました! ラスティさん、その、わたしをどうする気ですか!? まだそういうのは早いと思うんですが……」
正面から思いっきり抱きしめている状況だが、それを意識している暇もない。俺は飛んでくる砲弾を回避しまくった。
「あっぶねえ~! 危うく殺される所だったよ。スコル、ケガはないよな」
「は、はい……ていうか、なんで攻撃されているんですかぁぁぁ!?」
今更かいっ。スコルは、怖がって俺に“ぎゅぅ”と
でも、幸い砲撃の雨は止んだ。
船がこちらへ向かってくる。
む……あれは『海賊旗』か!
つまりなんだ、あの船は『海賊船』ってわけか。なんてこった、目を付けられたのか――いや、違う。俺は唐突に思い出した。
この島でバーニングスライムを倒した時に『金貨』と『謎の地図』を手に入れた。ま、まさか……取り戻しに来たのか。だとすれば危険だ。
「スコル、俺にちゃんと抱きついているんだぞ」
「も、もちろんです……! やったぁ、ラスティさんの体に合法的に抱きつけますぅぅ……!」
なんかすっごく嬉しそうにスコルは、更に“ぎゅぅぅぅ”と抱きついてきた。だ、だから、そんなに密着されるとォ!!
集中、集中だ俺。
やがて船はかなり島に接近して来た。
岩のようにゴツゴツとした筋肉質の男が複数人。リーダーらしき赤髪の――女!?
「船長、やっぱりガキが住んでやがりますよ。この島、前はモンスターしかいなくて無人島だったはず」
「ああ、そうだな。あの時は巨大なスライムに襲われた。けれど、今はその姿もない。いるのは人間で……しかも子供だとはな」
赤髪の女船長がこちらを
本とかで良く見る海賊の格好をしている。だけど、貴族のような身なりに近い。
「あ、あんた達……宝を探しに来たのか」
「君、どこかで見覚えのある顔をしているな。それに、その抱いている金髪のエルフ……ボロディンの聖女ではないか」
船長とか言う奴はスコルを睨む。
コイツ、俺はともかくスコルを知っているのか。
「さあな。悪いけど、この島は俺の島なんだ。出て行ってくれ」
「そうはいかない。向こうには、ゲルンスハイム帝領伯のテテュス号が見えた。つまり、この島に帝国が入ったという証拠だ。その前に金貨を取り戻す」
「金貨だと、やっぱり宝箱でも眠っているのか」
「そうだ、我々が汗水を垂らし、必死で稼いだ大量の金銀財宝があるのだよ。一生遊んで暮らせるお宝が眠っている。だが、モンスターに阻まれて回収不可能だったのだ。地図も失くしてしまい、最悪だった。だが、お前達が住んでいる光景が見えたのでな。こうして再上陸を果たした。さあ、素直にそこを通せば痛い目をみなくて済むぞ」
「そうか、分かった」
俺は左手を挙げた。
「なに……? 降参する気か、少年」
「違うさ、警告射撃をさせてもらう」
「――なっ」
ボウガンが海賊たちを“敵認定”をし、自動で矢を射出する。超高速で放たれる矢は、海賊たちの足元をズドズド刺していく。
「うあああ!!」「なんか矢が飛んできたぞ!」「あっぶねえ!!」「せ、船長!!」「なんだありゃあ!」「前はこんなの無かったぞ」「に、逃げろぉ~!!」
男たちは、船長だけ置いて海へ飛び込んでいく。なんてヤツ等だ、リーダーを置いていくとか酷いなぁ。てか、ボウガン使えるなぁ!
――さて、この船長さんをどうしようかな。
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