神器アイテム

「服を脱いでなにをする気だ、エドゥアルド!」

「なにって『エインヘリャル』を確認してもらおうと思ったのです」


 そんな真顔で言われてもなぁ。

 そりゃあ、男の子としては大変興味があるけど……!


「う、うーん……見ない事には分からないけどね」

「そうでしょう。大丈夫、ラスティ様の事は信頼していますし、そうでなければ見せません」


 そう言われると照れるというか。

 ええい、自分の目で確認しないと気が済まないし、話も進まない。……観念して見よう。


「分かった。頼む」



 お願いするとエドゥアルドは黙々と騎士の服を脱ぎだし、可愛いおへそを露わにした。綿のような真っ白な肌が現れ、俺は思わず緊張する。

 エドゥアルドは更にスカートをずり下げていく……。それ以上は神秘ゾーンだ。俺はもう心臓がどうかなりそうだった。


 おかしいな、スコルの裸を不可抗力で見てしまった時は、ここまで全身が熱くならなかった。――いや、もちろん、スコルも大変魅力的。でも、この違いはいったいなんだ……! どうして俺はこんなに動揺を?



 不思議に感じていると、エドゥアルドは下腹部ギリギリを見せてくれた。そこには確かに【Ψ】の紋様があった。凄い場所に、しかも桃色で刻まれているのか。これで真実である事が確認できた。



「これこそ『エインヘリャル』です」

「で、これとダンジョン前にある紋様になんの関連性があるんだ?」

「エインヘリャル――つまり、不老不死の力は“ヴァルハラ”の力でもあるんです」


「ヴァルハラ?」


「はい、かつて『魔王』と呼ばれていた人物が作った神器アイテムですよ」

「ま、まさか……!」



 ――その時だった。

 階段の方から“何か”が現れ、ダンジョンに背を向けていたエドゥアルドを攻撃、胸を貫いた。



「…………ぶはっ」

「ちょ、エドゥアルド!!」



 口から血を吐き、ぼうっとしていた。なんでそんな冷静なんだよッ! てか、これはヤベェぞ。ダンジョン内からモンスターが出てきやがった。


 あの大剣を持つ小人は『エクスキューショナー』か。



 [エクスキューショナー]

 [属性:闇]

 [種族:人間]

 [詳細]

  魔界の処刑人。体は小さいが、大きな剣を振るう。その剣の攻撃はクリティカル率100%なので注意が必要だ。



 いきなり、詳細がパッと現れた。

 エドゥアルドの『モンスター分析』か。



「エドゥアルド、平気なんだよな……?」

「ええ、御心配なさらず。わたしには『エインヘリャル』が刻まれているので、死にません」



 淡々と言っているし、本当だろう。

 げんに剣が突き刺さったままだし。


 ……あぁ、胸からあんなに血がドクドク出て、怖いよ! なんだこの光景……地味に恐ろしいぞ。つか、俺も俺でなに冷静に刺されているエドゥアルドを観察しているんだ。さっさと動こう。


 ゲイルチュールを取り出し、俺はエクスキューショナーを叩いた。衝撃で剣が抜け、エドゥアルドを救出できた。直後、傷は一瞬で癒えてしまっていた。……なんて自然回復速度だ。


 エインヘリャルの治癒能力も凄まじいな。いやいや、感心している場合ではない。仮にも仲間がやられたんだ。許せる筈もないだろう。



「――ていやッ!!」



 俺はそのまま、エクスキューショナーへ突撃。ゲイルチュールを叩き落とし、撃破した。……上手くダメージを与えられたぞ!



 なんとか倒して、俺は確かな成長を感じた。前よりも楽に倒せるようなった。そういえば、エクスキューショナーは“聖騎士三人分”だとか、アルフレッドが言っていた気がするけどな。俺はそれ以上に強くなってしまったらしい……!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る