【 ママVS美玖? 】


 どういうことなんだろう……。

 タカヒロ君は、お母さんのことが好きなの……?


 そりゃあ、静香おばさんの方が、私より胸が大きくて綺麗だけど、でも何でよりによって恋のお相手が、実のお母さんな訳?


 タカヒロ君の家は、小学校の時から母子家庭なのは知っている。

 お父さんが亡くなって、静香おばさんが頑張って働き、タカヒロ君を一人で育てているのも知っている。

 静香おばさんが溺愛してたのも、薄々知ってはいた。


 でも、何であんなことになっちゃってたの……?


 タカヒロ君にも、静香おばさんにも、会い辛くなっちゃったじゃない……。

 今日はタカヒロ君と一緒に、図書館で受験勉強することになってたのに……。


(でも、待てよ。私がポップコーンを食べたら、静香おばさんになったということは、私の体に静香おばさんがいたということ……?)


「ああ~、もう分かんない……」


 考えれば、考えるほど、頭が混乱する……。


 時計を見ると、もう9時になる。

 タカヒロ君と一緒に図書館へ行く時間だ。


 恐る恐るタカヒロ君の家の前まで行き、呼び鈴を鳴らす。


 すると、ガチャリと玄関のドアが開いた。


「ああ、美玖ちゃん。ちょっと待っててね。今すぐ、貴大タカヒロを呼んで来るから」


 静香おばさんは、一瞬、ビックリした様子を見せた。

 ということは……、


 やっぱり、私と静香おばさんの体が、あの時、入れ替わったに違いない……。


 私はこの時、なぜだか知らないが、妙に静香おばさんに対する恋のライバル心が芽生え始めていた……。


(静香おばさんのような大きな胸はないけど、私には『』がある!)


 そう恋の炎を燃やし始めるのだった……。



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