|幽霊《私》と彼とクラスメイト

 目が覚めると、病院だった。


「え、てか浮いてる!?」


 普通、目が覚めるってことは病院のベッドに横になっている。だから天井が目に入るはずなのに。


 私の視界に入ったのは、白い床、白い壁、よくわからない機械達。そして——


「うそ。あれ、私……?」


 ——ベッドに横たわっている、私。


 自分の寝顔ってこんなのなんだ、とやけに冷静になっている自分がいた。


「どういうこと……」


 よくよく身体を見ると、心なしか透けている気がする。


「もしかして、幽霊になってるってこと?」


 身体は自由に動かすことができたので、ぐいと自分に近づいてみる。


「まだ生きてる……」


 触れた上に、感触まであった。


 まだ、ほんのりあたたかい。


「じゃあ、魂だけってことなのかな」


 つまりベッドに横たわっている体に入れたら、生き返れる……?


「ふんっ! だめだ……」


 天井近くから勢いよく私にぶつかっても、ばふんと跳ね返されてしまう。


「ピーーーーーー」


「ひゃ! え? うそうそうそ!」


 私と繋がっていた機械から音がする。機械のモニターには“0”と表示されていて。


「私の心臓、止まったじゃん!」


 やばいやばいやばい! 


 早く、一刻も早く私の中に戻らないと!


「ぐっ! 戻れ! まだ死にたくない!」


 何回やっても、私は自分の体に入れなかった。


 あーあ、私、死んじゃったんだ。

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