お願いをしてみました
そして一睡もできなかった僕。
「あ……もう朝か、眩しい」
「朝なんですか?」
と僕の声につられてか彼女も起きた。
「ほら、まだ起きない。まずは体温測って」
「先輩は私のお母さんですか?」
「性別違うでしょ。なんならお父さんだしそして僕は君の親族になったつもりはない」
「ええ~ノリが悪いな~~だから先輩は彼女ができないんですよ」
ほぼ初対面の後輩に舐められる僕。威厳が欲しいと思う。
「はぁ……君は容赦無いな。ほら誤魔化さずに体温を測る。まだ体温高いだろうし、高かったら今日は休みな」
「本当にお母さんですね」
「うるさい。は・か・る」
埒が明かない気がしたので無理矢理体温計を渡す。
「分かりましたよ……もぅ」
すると彼女は渋々と体温計を取り、測りだすのであった。
数分後……
「まだ高いね。今日は休みなさい」
彼女から受け取った体温計を見ると36・9℃であった。どうやらまだ熱が引いてない様である。
「私は行けますよ~」
と彼女は不満げだがここで無理は禁物である。
「今は薬が効いているからであって、無理はしない方がいいよ」
「大丈夫ですって」
「大丈夫って思う時が1番心配だよ?今日は大事をとって休みなさい」
「でも……」
とそう言った彼女は寂しそうだった。その時、僕はなぜ次の様な事を言ったのか未だに疑問だ。
「今日は僕、授業少ないから早く帰ってくるよ」
「どうしてですか?」
「いやなんか寂しそうに見えたからね。今日は午前中で授業終わるから、昼頃には帰ってくるよ」
「でも部活は?」
「今日ぐらいは休むよ」
「いいんですか?」
「毎日真面目にやっているし、少しぐらいは休んでも文句を言われる立場ではないはず」
……第一今、部活に行くの気分的に疲れるし特に誰とは言わないがあのギスギス感は好きに慣れないな。
「だから僕が帰ってくるまで寝ておきな。帰ってきたら話し相手でもなってあげるからさ」
「誰もそんな事、お願いしてないのですが……」
「じゃあ、僕が頼むよ。最近話し相手がいないから寂しくて。
丁度隣人が来たからさ僕の話し相手になってよ。お願い」
「……先輩がそこまで言われるなら仕方ないです。
私が話し相手になってあげましょう」
「うん、ありがとう。じゃあ僕は行ってくるよ」
「では、約束守ってくださいよ」
と僕は一睡もせずに大学に向かった。
……無論、授業中寝てしまったのは仕方ない。
部活の後輩と付き合ってみた きりんのつばさ @53kirintubasa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。部活の後輩と付き合ってみたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます