看病

 部屋にお粥の材料を取りに行き、彼女の家に戻ってきた。


「キッチン借りるよ」



「どうぞ……」


 と一応許可?をもらったので自分でも思うぐらい慣れた手つきでお粥を作り、お粥を容器に入れ、彼女の元に戻った。


「起き上がれるかい?」


「何とか……」


 と彼女の上体を起こし、お粥を食べさせた。人に食べさせるなんて初めての行為だったので少し戸惑ったがその後、薬を飲ませて寝たら帰ろうと思っていた。だが……


「あの……」


「ん?」


「その……寝るまででいいので一緒に居てもらえませんか?」


 と少女最大の武器である上目遣いを熱の為か若干赤い顔で言われたものだから、断れるわけなく一緒にいることになった。……まぁ病気の中で1人って意外と堪えるものだと僕自身が体験したし、これぐらいは別に構わないだろう。


「先輩は私みたいな美少女と一緒にいられるなんて幸福ですね」


 少し体調が良くなったのだろうか、そのような軽口を言ってきた。


「君は病人だろ。第一僕みたいな知らない男子を呼んでいいのか?」


「先輩は何となくですが、そういう男子とは違う様な気がしますから。

ーー何となくヘタレ?」


 ……初対面の少女にここまで言われる僕とは?そう言えば森にも同じ様な事を言われた気がするがあいつは後で殴っておこう。


「とりあえず君は寝て、明日の授業に行かないと僕も心配だよ」


「そうですね……最後に手を握ってもらえますか?そしたら寝れそうです」


「はいよ」


と僕が彼女の手を握ると彼女は安心したかの様にすぐに寝息を立てた。


「さて、僕はいつになったら自分の部屋に帰れるのだろうか」


右手が彼女の手を握っている為動けず、解こうにも意外と強く握っているので、解こうとしたら彼女が起きてしまう可能性がある。


「今日寝れるかな……?」


と思いながら夜は暮れていくのだった。

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