戦士の腕力
シヨゥ
第1話
「脳なしと言われても何も感じないな」
そう戦士は言う。
「実際そのとおりだからな」
そう言って歯を見せて笑う。
「薙いで吹き飛ばす。振り下ろして叩き潰す。武器がなくなったら殴る。何も考えずにただそれを繰り返すだけだからな」
「それでもうまく立ち回っているじゃないか」
「立ち回りは考えてないな。うまく立ち回れていると思ってくれているなら、それは嬉しいな」
頭を掻く戦士は恥ずかしそうだ。
「何も考えていないから邪魔になっているんじゃないかって心配だったんだ」
「不思議と噛み合うんだ。これから何も考えずにその剣を振り回してくれると助かる」
「負けせとけ。何も考えないのは得意なんだ」
「ただ」
「ただ?」
「暴れる場所は考えてほしい」
酒場は戦士に喧嘩を売った酔っぱらいの成れの果てが散乱していた。
「いやー酒が入ると興が乗っちゃって」
恥ずかしそうに戦士はまた頭を搔く。
「そのおかげで金なしだよ。まったく」
店はめちゃくちゃで、弁償代がいくらになるのか見当がつかない。
「また稼がないと」
「任せとけ!」
馬車馬のごとく働かせよう。そう固く誓うのだった。
戦士の腕力 シヨゥ @Shiyoxu
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