第二話 宣言

「え?」


 つい素っ頓狂な顔をして高い声をさらに裏返した音が漏れてしまった。だが僕を責めないで欲しい、なぜなら兄は王に即位してすぐに僕を幽閉するほどの用心深くそして王位を欲していたのだ。そんな兄が死ぬか王位を譲るということが考えられないのだ。 


 「兄上に何か?」


 そう聞くとマニュエルに聞くと安心したという顔をして話してくれた。


「ミゲル陛下は隣国コルマンド帝国との戦争中に行方不明になってしまわれました。そしてミゲル陛下に子供はいらっしゃいません。つまり王族の血筋を持つ者はエミリオ殿下あなた様ただ一人となってしまいました。なので私はお願いしに参りました、どうか第七代ヘルト王になってくださいませ。」


 そう言って頭を下げたマニュエルを見て僕は内心狂喜乱舞した。兄が行方不明のことなどどうでもいい、今まで兄のさじ加減で消える命が保証され、そしてなによりも諦めていた父が増やしてきた王国の領土を守るという幼少期の夢を叶えることが出来るのだ。

 僕は椅子から立ち上がり頭を下げるマニュエルの前まで行き宣言する。


「兄が無念にも成し遂げられなかったこの国を守るということ、それは私が、エミリオ・ヘルトが引き継ごう、私は王になる。」


 そうマニュエルに向かって宣言した。

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