白の戦い
明壁黒星
第一話 始まり
絢爛豪華な白い部屋で一人の少年か少女かわからない人間が白い簡易的な服を着て豪勢な椅子に腰を掛け読書をしていた。160センチぐらいのその人間は腰まで届く白い髪にシミ一つない白い肌、宝石のように輝く赤い目、そして彫刻のように完成された顔立ちにより少し小さい身長ではあるが万人が美しい少女と思える人物であり、本を読む姿まるで絵画のようだ。
そんな人間がいる部屋はどこかおかしい。王族のように豪華な作りはされており床と壁は白い大理石、家具はベッドに机、椅子やシャンデリア、大きな鏡まであるがトイレや浴槽まで部屋の中にありこの部屋から出ることなく生活が出来そうな空間である。そして異質なのはが窓は一つもなく、出入りできる扉は鉄で出来ているところだ。その扉は内側に鍵穴があり鍵があれば出ることは可能そうだがカギは見当たらない、この人物は幽閉されているようだ。
そして人間が黙々と本を読んでいると鉄の扉が「ガチャッ」という音と共に開いた。少女が扉の先を見ると少女よりもはるかに大きい背丈の黒い服装を身にまとったところどころに白髪があり目はまるで見えているのかを思えるほど細い好々爺のような老人がいた。
「マニュエル......。珍しいじゃないか。ここに来るのは四年ぶりじゃないか。」
そして人間が懐かしそうに笑顔で話しかけるとマニュエルと言われた老人は少し驚いた顔をした後笑顔で「お久しぶりですエミリオ殿下」と返す。
「そんな扉の前に立ってないでこっちに来い、久しぶりだからな話をしようじゃないか。」
四年ぶりに会えた事をとても喜んだエミリオと呼ばれた少女ではなかった少年は持っていた本を机の上に置きマニュエルの方を向く。しかしマニュエルは一向に傍まで来ない。そんなマニュエルの態度にエミリオはまるで諦めたように震えた口を開く。
「兄上がついに僕が処刑することを決めたのだろう。わかっているよあなたが来るときはいつも重要な時だけだ、僕を幽閉する時と同じように。」
そうだろう?と問いかけるような眼をマニュエルに向ける。
エミリオには7歳年上の兄ミゲルがいる、父が健在の時は可愛がってもらったが父が病死すると兄はエミリオをこの部屋に幽閉した。
その理由としては父が関わってくる。父は過去に実の兄から王位を簒奪している、それを知っている兄はエミリオを警戒して幽閉したのだ二人しかいない血族の血を暗殺などから守るという大義名分で。だがこれは兄に子が生まれれば生かしておく必要もないので子が生まれたから火種を消すために殺されるのだろうと考えた。
「いえ、殿下に王になってもらおうと説得しに参りました。」
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