第9話
「ご主人様、今日、近くで花火大会があるらしいんですが……」
「おっ、もうそんな季節か。もしかして神響、行きたいのか?」
「……はい。だめ、ですか……?」
「じゃあ行くか!何時に行く?」
「えっと、花火大会が始まるのは午後8時からなので、午後7時に行きませんか?」
「いいけど、夜ご飯は屋台で買わないのか?午後7時にここを出ると屋台で食べ物を買ってる暇ないけど」
「夜ご飯は食べてから行くつもりです」
「屋台で買って食べるのが醍醐味だと思うけどな」
「ご主人様なら知ってると思いますが、私、重度の方向音痴なんですよ?そんな私が人がたくさんいるところに行った結果どうなるかは簡単に想像できますよね?」
「2人で買いに行けばいいんじゃないか?」
「2人で買いに行ったとしてもはぐれてしまうかもしれません。ご主人様ははぐれた私を探すため花火を見ることができませんし、私はご主人様とはぐれてパニックになりますよ?それでもいいんですか?」
「わかった。なら食べてから行くか」
※※※※※※
「へー。神響って浴衣持ってたんだ。意外だな」
「ご主人様の専属メイドになった時に買ったんですよ。使うかなって。私、浴衣似合ってますか?」
「うん、可愛いな。神響はいつもメイド服を着てるからなんか新鮮だな」
「〜〜〜〜!!そ、そうですか。ありがとうございます!ご、ご主人様こそ、似合ってますよ」
「ありがとう」
「それじゃあ行きましょうか。出発時間より5分早いですが」
「5分前行動は重要だぞ?神響」
「知ってますよそれぐらい」
〜花火大会の会場〜
「着きましたね、花火大会の会場に。思った以上に人がたくさんいますね〜」
「そうだな。まあ、祭りだし仕方ないだろ?」
「ですね。さて、私たちは花火を見る場所に移動しますか」
「だな。あ、神響。はぐれないように手でも握るか?」
「もちろんですよ!言われなくてもご主人様の手を握りますよ」
〜花火大会中〜
「わぁ〜!!花火って夜空に映えますよね!!」
「わかるわ〜。俺、花火大会で思い出したんだけどさ、闇音が俺の専属メイドになった初めての花火大会の日のこと思い出してたな。あの時、神響は一人で——」
「ご主人様、花火に集中しませんか?そんな恥ずかしい思い出を話さなくてもいいんですよ?」
「わかった。集中するよ。今は、な」
〜家にて〜
「さて、帰ってきましたね」
「そうだな。俺は神響のはしゃいでいるところを見れて満足だな」
「?!」
「とゆうよりは、なんで素直に『花火大会に行きたいです』って言わなかったんだろうな?あの頃の神響は。花火の音が聞こえるたびにため息を吐いてさ。だから俺はトイレに行くふりしてコンビニで家族で楽しめる花火の詰め合わせを買いに行ってたんだよな」
「わーわーわーわーわー!!だからやめてくださいって!!あれは私の黒歴史的なやつなんです!!触れないでそっとしておいてください!!」
「まあ、それをみて目を輝かせる神響も可愛かったが」
「〜〜〜〜〜〜!!ご、ご主人様のばかっ!!」
「で?念願の花火大会に行けてた感想は?」
「……楽しかった、です。あの、ご主人様……」
「来年も連れて行ってあげるよ。ただし、神響から行きたい意志を見せること。いいな?」
「はいっ!!」
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