第7話

「ひゃぁぁぁぁ!!助けてくださいご主人様!!早く!!こっちにきてください!!ご主人様ぁぁぁぁ!!!」


「なになに?!どうしたんだ?!」


「く、蜘蛛が……!蜘蛛がいるんですよぉぉぉぉ!!!私、虫が苦手なんです!!!」


「……なんだそんなことか。びっくりした。ほら、蜘蛛は外に逃したぞ」


「……ありがとうございます。取り乱してしまい申し訳ございません。これじゃあメイド失格ですよね……」


「さすがにそれだけでメイド失格はないでしょ。苦手なものぐらいあるだろ?人間なんだからさ」


「ありがとうございます……。ご主人様のその言葉に救われます」


「おう。どういたしまして。また何かあったら呼んでくれ」


「はい。ですが、次こそはこうならないようにします」


〜1時間後〜


「ひゃぁぁぁぁ!!ご主人様ご主人様ご主人様ぁぁぁぁ!!早くこっちにきてください!!お願いします!!ひゃぁぁぁぁぁ!!!飛びます飛びますよぉ!!!」


「どうしたんだよ……って、ああ。家で見かけたら絶望の淵に落とされる例の虫が出たか。手袋をして、鷲掴みして外にリリースっと。終わったぞ」


「ご主人様、ありがとうございます……。その、手袋をしたとはいえ手を洗った方が……」


「そうだな。でもその前に。暴れすぎじゃないか?」


「仕方ないじゃないですか!!奴は飛ぶんですよ?!私めがけて!!私なにも危害加えてないのに!!だから逃げ惑ったらこんなになったんですよ!!」


「まあいいや。片付けしてね?」


「ご主人様、奴が出た部屋で私1人で片付けをしろっていう鬼畜なこと言いませんよね?ご主人様はとても優しいですよね?私のことを1番に思ってくれてますよね?だから言いませんよね?」


「俺、手を洗ってくるよ」


「じゃあ私も行きます!」


「すぐ戻ってくるからそこの片付けしておけよ」


「その間に奴が出たらどうするんですか?!」


「多分当分の間は……」


「出ますよ?!奴は絶対出ますよ?!虫は同じところにもいる可能性があるんですよ?!しかも同種の虫が!!」


「はぁ、しょうがないなぁ。じゃあ俺がただ手を洗うのを見についてこいよ」


「はい♪」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る