第6話 わたしはもう子どもを生めるよ?

「で、でもそれは……」


「ベッドもあるし。それに……さっきから、わたしのことをエッチな目で見ているよね」


「え!?」


「胸とか脚とか……」


 たしかにフローラのすらりとした体は魅力的だった。チラチラ見ていたのを否定はできない。


 整っているけれど幼い顔立ちに比べて、胸は大きくて、ドレスが胸の谷間を強調している。

 そして、スカートのスリットからは、白く細い脚が誘うように見えている。お尻も大きいし……。


 俺は改めてフローラをじっくり見てしまい、フローラはその視線に気づいたのか、慌てて手で胸と下腹部を隠した。


「ほら、やっぱり見てる……!」


「ご、ごめん」


「あ、謝らなくていいの。わたしを魅力的だって思ってくれたってことだし……むしろ嬉しいなって思うの」


 恥ずかしそうにフローラは言う。

 そして、そっと俺に近づき、俺の胸に手を置いた。


「カズキさんはわたしのご主人様なんだから……わたしのおっぱいも、お尻も……触り放題なんだよ?」


「さ、触り放題ってことはないんじゃないの?」


 日本ではたとえ彼氏や夫であったとしても、女性の胸や尻をいきなり触ったら、ビンタされることもあると思う。

 関係性によるとは思うけれど、触り放題ということはなさそうだ。


 でも、フローラは首を横に振った。


「わたしはカズキさんになら何をされてもいいよ? だから、わたしに早く子どもを産ませてほしいな」


 フローラのささやきは、あまりにも魅力的だった。今すぐ、後ろのベッドにフローラを押し倒しても誰も文句は言わないわけだ。


 俺はそっとフローラの肩に手をかける。フローラはびくっと震え、目をつぶった。


 俺は誘惑に負けかけた。でも、ふっとあることを思い出す。


「あの……フローラさん?」


「な、なに?」


「結婚式前に、その……子どもを作るようなことをするのって、本来的には認められているの?」


 フローラは、バツが悪そうに、えへへと笑みを浮かべた。

 やっぱりだ。


 おそらく教会の教えとかで、婚前の性交渉は禁止されているのだと思う。

 それがどこまで厳密かはわからない。


 ただの平民なら、破ってもいいようなルールなのかもしれない。

 それに、大貴族がフローラを手篭めにするような場合、結婚の前だったとしても、権力で正当化できるのだろう。


 でも、フローラは皇女で、俺には大貴族のような力はない。


 というわけで、即位前から問題になりそうなことはしないほうが良さそうだ。フローラが妊娠したとしても、生まれた子どもの後継者としての正当性が疑問視されることもあるかもしれない。


 俺がそう言うと、フローラは感心した様子だった。


「カズキさんって、頭の回転が速いんだね。それに慎重なんだ」


「そうでもないけどね。あと少しで、本当にフローラさんをベッドに押し倒すところだった」


「わたしが可愛いから?」


「そのとおり」


 俺が苦笑してうなずくと、フローラはふふっと笑った。


「結婚式までお預けだね。でも、楽しみにしてる」


 実のところ、俺にはもうひとつひっかかるところがあった。

 それはフローラの年齢だ。


 俺がそれを尋ねると、フローラはくすっと笑う。


「女性の年齢を尋ねるのはマナー違反だよ」


「ご、ごめん」


「もうっ、冗談だよ。わたしは今月に17歳になったばかりなの」


 そのぐらいの年齢だとは思っていたけれど、やっぱりか。日本なら女子高生だ。

 俺は26歳。9歳の年の差だ。


 そして、日本なら、フローラみたいな年齢の子になにかすれば、捕まってしまう。

 いや、真剣な交際なら捕まるとは限らないけれど、そもそも大人と10代の少女の交際自体が白い目で見られる。


 俺が元いた世界の話をすると、フローラは驚いたように目を見開いた。


「カズキさんのいた世界って、変わってるね」


「そうかな」


「そうだよ。だって、15歳とか17歳の女の子って、もう体も子どもを生む準備ができているし、一番子どもを生むのにぴったりな体でしょう?」


 たしかにフローラの言う通り、地球の現代医学でも、10代後半は妊娠適齢期なのだ。

 社会がそれを許さないだけで、体のことだけを考えれば、一番良い時期であるとすら言える。


 フローラの話によれば、この国では結婚も10代後半から20代前半のうちにするようだ。

 

「でも、抵抗感があって……」


「あんなにわたしの体をエッチな目で見ていたのに?」


「それはそうなんだけど、倫理的に……」


 俺が言いかけたとき、フローラが俺の唇を人差し指でふさいだ。

 その柔らかい感覚に、俺はどきりとする。


 唇に指をぴたりとくっつけたまま、フローラはささやく。


「カズキさんの世界ではいけないことだったのかもしれないけど、この世界の倫理では、何も問題がないことだよ? それに、わたしの知ってるメイドの子は13歳で結婚してお母さんになったし」


 そして、フローラはゆっくりと指を俺の唇から離した。

 そして、その指をぺろりと舐める。その仕草はあどけない子どものようでいながら、妖艶で俺はどきりとさせられた。


「カズキさんの味がする……」


 ドキドキする俺に、フローラが小さな赤い唇を俺の耳元に近づける。


「今度は、唇にちゃんとキスしたいな。でも、その前に……17歳のわたしをちゃんと妊娠させるって、約束してくれる?」


「……そうだね。わかったよ。それが……フローラさんを救う方法になるんだから」


「それに、カズキさんも、わたしとそういうことをしたいと思っているんでしょう?」


 その問いにカズキは素直にうなずいた。否定しても仕方がないからだ。

 フローラは嬉しそうに笑うと、そっと唇をカズキの頬に触れさせた。


 ちゅっ、と柔らかい唇の感触がする。指よりも、魅力的な不思議な感触だった。

 フローラは柔らかく微笑んでいた。


「結婚式が待ち遠しいな。それが終われば……わたしは、カズキさんとエッチなことができるんだものね?」


「フローラさんもエッチなことをしたいって思ってるんだ」


「うん」


 フローラは恥ずかしそうにうなずいた。

 俺はくすっと笑う。


「エッチなことなら、結婚式を待たずにもできるよ」


「え? でも、結婚式の後に子どもを作らないといけないって言ったのはカズキさんだよ?」


「子作り以外なら、いいんじゃないかな」


 そして、俺は無防備なフローラを抱きしめ、そして少し強引に唇を重ねた。

 さっきからフローラは俺に積極的にアプローチしてくれている。


 俺も少しはお返しがしたい。

 

「あっ、んっ……」


 フローラは甘くあえぎ、俺のキスを受け入れていた。

 その小さな唇は甘い果実のような感触だった。


 やがて俺がキスを終えると、フローラは顔を真赤にして、ぽーっとした表情で俺をぼんやり見つめていた。


 俺は心配になって聞く。


「嫌だった?」


「ううん。違うの……すごく気持ちよくて」


 フローラは恥ずかしそうに、小声で言った。

 そして、俺を期待するように見上げ、そして微笑んだ。


「胸を触ってもらったり、お尻を触ってもらったり、それに子どもを作るのも……きっととても気持ちいいんだろうなって、想像しちゃった。……きゃっ」


 俺はたまらなくなって、フローラにもう一度キスをした。


 こうして、俺は異世界で美少女と婚約して、子どもを作る約束をした。




――――――――――――――――――




【★あとがき★】



これで第一章は終わりですっ。次章ではいよいよ皇女様との子作り&新ヒロインも登場ですっ!


少しでも「面白い!」「期待できる!」「皇女様とのエッチが楽しみ!」

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