戦争終結
世界会議を行うための準備は大忙しだった。
世界中を監視しながらのロシアの防衛、空港の全面閉鎖、開催される会場の準備、書類等の作成など様々な仕事があった。
なんといっても195人の国の代表が一堂に会するのだ。モスクワで会場選びも一苦労だった。
アキムは世界にメッセージを送った。
[世界中の長の皆様。世界会議の日程が決定いたしました。これから1ヵ月後。会場が手狭なので人数はSP1名、秘書1名でお願いいたします。国民にはロックダウンを行っていますのでご安心ください。我がロシアにいらっしゃるのをお待ちしております]
我が国民ではないとは思うが、他国の代表である者を暗殺なんてことがあってはせっかくの世界会議という舞台が台無しに終わってしまう。そのため国民には世界会議開催日ロックダウンを発令し、外出を禁止にした。
こうすれば安全であると他国に知らしめることができるだろう。
アキムは開催される会場の準備が順調であるか様子を見に訪れた。
「どうかね。準備の方は?」
準備などは軍が行っている。一番大きい部屋には円卓を準備し、壁には世界中の国旗を掲げている。
「これはマハノフ大統領。準備は順調に運んでおります」
今行っているのは、円卓に国の名前が入ったプレートを順番に置く作業だ。きれいな会場となっている。
「マイクはオンオフできるものにしてくれ、それと翻訳機も‥‥」
「了解しました」
壁紙にはちゃんと世界会議(World Congress)と書かれたものが貼られている。
「(ここまでくることができたのだ‥‥あと‥‥あともう少しだ)」
「‥‥‥どうかいたしましたか?マハノフ大統領」
「すまん。少し考え事を‥‥な‥‥引き続き頑張ってくれ」
「はっ」
世界会議開催日まで残りわずかになってきた。開催者であるアキムは緊張してきている。全世界が世界会議に参加を希望してくれたが、今まで戦ってきた軍にとって世界会議とは何だろう?
もちろん戦争終結を望む者だっていた。しかし皆命を懸けてきた。それなのにたった1人の言葉によって戦争を終わらせようとしている。軍人全員が言った。「何のために戦ってきたのだ?」「これまで死んでいった仲間は何のために死んでいったのだ?」‥‥と、不満は大きい。たとえ戦争が終結して国の環境が安定し、今まで戦っていた兵士、そして遺族に褒美を与えたとしても納得はしてくれないだろう。
「(そんなことは理解している)」
遺族も「なぜもっと早く思いつかなかったのか?もしかしたら息子、娘は死なずにすんだかもしれないのに‥‥」‥‥と‥‥。
「(理解している)」
国民も賛同していてはくれたが不満がある者だっている。「大統領は、ああ言っていたが本当に戦争が終わると思っているのか?」「俺たちの金を使って好き放題してきたのに、何をいまさら」‥‥と‥‥。
「わかっている!」
アキムは廊下の柱を思い切り殴った。何度も、何度も‥‥‥。手の甲が真っ赤になっていってもやめない。殴る痛みを感じてもやめない。アキムは国のため、国民のために頑張ってきた。すべて理解している。理解しているのだが‥‥。
その場に座り込んだ。
「(自分が本当に正しいことをしているのだろうか?)」
「マ、マハノフ大統領。どうかしましたか!?」
ちょうど妹であるレターナが通りかかった。座り込んでいる兄を見て腹痛で座り込んでいるのだと思ったのだろう。
「腹痛ですか?」
「‥‥大丈夫だ」
妹に心配をかけまいと、立ち歩き出す。世界会議を前に弱音を吐いてて良いわけがない。妹も何かを察したのだろう。
「そうですか‥‥世界会議に使用する資料作成まだ終わっていませんよ」
「わかっている。行くぞ」
レターナも後ろからついて行く。
「(無理しすぎだよ。兄さん)」
父親のようにいなくなってしまうんじゃないか、と再び何者かによってまた家族を失ってしまうのではないかと不安感に襲われる。
そしてなにより父親と同じ背中をしている。最後に見た父親の背中に‥‥。
「いなくならないでよね‥‥兄さん」
「(仕事中は大統領と呼べ)」と言おうとしたが振り返ると今にも泣きそうな妹がいる。その姿が母親の姿を被る。親父が死んで、家の中でずっと写真を抱えている母親の姿と‥‥。
「家族を置いてどこにも行くわけないだろ?それに俺にはこの国ロシアも背負っているんだ。いなくなったら職務放棄だぞ?」
笑ってそう言う。このままじゃだめだと、レターナも笑う。
「(大丈夫だ。2人でやればなんだってできる)」
更に気を引き締めて仕事へと向かった。
——1ヵ月後——
世界会議開催の日となった。これまで長かったようで短いような感じだ。そしてここできめる戦争終結を‥‥。
モスクワはロックダウン中。外出は禁止、世界会議期間中に外出した場合、姿を見せた場合に重い罰則が与えられる。
空港には大統領専用機が次々と集まってくる。
アメリカ、中国、日本、ドイツ、フランス、メキシコなど195か国が集まった。空港には車が待機していた。運転手も一応つかせてはいるが、皆警戒してかほとんどの国がSPに運転させた。アキムは予想していたようで、運転手は別の車に乗り先導して会場までの案内を行った。車にはカーナビもついている。しかしそれを使わないのは
「‥‥さすがに誰もいないな。警戒していたのがバカなようだ」
コリーは少し警戒をしていた。あまりに良いタイミングすぎる提案。戦争が始まって30年、敵国の代表のことなどほとんど知らない。もしかしたらクーパーのような人間で安心させたところで自分たちを殺すかもしれない。
しかし街の中に入っても人が住んでいないような静けさなのだ。ロシアの大統領アキム・マハノフは戦争終結を課題とした話し合いを望んでいる。こんなところで下手な真似はしないだろう。
「本気でロシアは戦争を終わらせる気でいるようだな」
世界中の長が安全に行動できるよう配慮している。空港には案内役の運転手1人以外は誰もいない。街にも人っ子一人いない。この行為は他国の警戒を解く作戦と誰もが思う。あまりに警戒されては話し合いなどできないからだ。
20分の道なりを何事もなく予定通りに到着した。
さすがに会議場には軍人であろう軍服を着た者が玄関口に20人ほどいる。しかし驚くことに軍人が防衛のため常備しているはずのアサルトライフルを誰1人所持していないのだ。
「まさか自分の国の護衛にも銃を持たせないとは‥‥驚きだな」
コリーが会議場に入っていく。
秘書に扉を開けさせるとすでにほとんどの国の代表が集まっていた。会場にいた国の代表たちは一斉にコリーのことを睨め付ける。完全に敵意むき出しだ。
「(おーお。怖い、怖い)」
当たり前だ。今まで戦争をして敵同士である。敵意をむき出して何か悪いことがあるのだろうか?
コリーが到着して1時間たつとすべての国代表が集った。こう見ると物々しい雰囲気だ。
代表たちは片耳にイヤホンをつけ円卓の椅子に座り、SPと秘書は後ろで控えさせる。
「皆さまよくお集まりくださいました。議長はロシア代表アキム・マハノフ大統領の開始の言葉で会議を始めたいと思います。マハノフ大統領開始の言葉を‥‥」
「アキム・マハノフだ。それより世界会議を開催する」
アキムの一言で世界会議が始まった。
「手元の資料にあるように我がロシアは戦争終結を望んでいます。それにあたって戦争終結の証として占領された領土は返却、平等な資源、食料を分け、差別のない、平和な世の中にする‥‥」
「1ついいか?マハノフ大統領」
まだ説明も終わっていないのに話を遮ってきたのはアメリカ代表コリー・ダレル大統領だ。
「何でしょうか?」
「単刀直入に聞く。何を企んでいる?」
「企むなんて、我が国は戦争終結を望んでいるだけですよ」
どの国もアキムを嘲笑っている。
「(そんなこと本気でできると思っているのか?)」と言われているようだ。
「この30年休戦もなしに戦争を行ってきた。もうどの国が戦争をはじめ、世界中に発展したかはもう忘れてしまったが、この30年の傷を癒せる策を持っているのか?何が平和な世の中だ。持っていないのならふざけるのもたいがいにしろ」
「ふざけているのは
「なんだと?」
口をはさんできたのはフランス代表の大統領だ。明らかに敵意むき出し、お互いにらみ合っている。
「部下から話は聞きましたよ。少年兵を洗脳して特攻させるなんて‥‥よく惨いことを思いつきますね」
知らなかった国は驚愕していた。人手不足で少年兵が戦争に参加していた国はあったが、洗脳し特攻させる国なんて、惨いことはしなかった。
「そうであったら何だっていうのですか?」
罪悪感のない笑みだ。皆がそんな笑みに恐怖を覚えた。しかし日本代表の森義典内閣総理大臣は違った。
「(ほう。少年兵を洗脳させて命令に忠実な犬を作るという案もあったか‥‥面白い考えの奴がアメリカにいたとは‥‥惜しいな)」
やはり日本も狂っている。少年兵洗脳計画を面白い案というのはコリーとクーパー、そして義典だけぐらいだろう。
「狂っている」
フランス大統領は吐き捨てるように言った。これはほとんどの国も同意見のようで、皆共感した顔だった。
「おやおや。どちらが狂っているのやら‥‥今まで戦争を続けてきてどの国も狂っていると同じでしょう?」
「(少年兵を使ってはいけない法律でもあると?)」でも言っているような表情だ。そして“戦争”という言葉を出されてしまっては誰も何も言えなくなってしまう。30年も国境・領土や資源をめぐる争いをしてきた。この戦争によって貧困になった国もあれば、人口減少によって発生した問題がある国だってあった。最初に攻撃してきた国は皆忘れたが、すぐ勝敗がつくと思っていたこの戦争、歯止めが利かなくなっていたのもまた事実だ。
「そのへんにしたまえ。皆は戦争終結を望んで世界会議に参加してくれたのではないのか?」
「お言葉ですが‥‥マハノフ大統領。本当に戦争を終わらせることができるとでも?国によってはすでに占領され、奴隷のように働かせている国だってあるというのに‥‥今更平等な世界など虫が良すぎる話なのでは?」
アメリカには言われたくなかったが、事実だ。30年もの戦争を続け会議1つで戦争を終わらせられると思った者は大馬鹿者だ。
それにコリーが言ったように、国によってはすでに他国に占領され、奴隷のように働かされている国だってある。戦争に勝利し占領した国をそう簡単に手放してくれるだろうか?
「‥‥‥‥」
さすがのアキムも何も言えない。確かに虫の良すぎる話なのだ。30年間行われていた戦争だからと人を殺めてきて、自分の国が存亡の危機にあると手に平を返したよう戦争を終わらせ平等な世の中にしたいという。どの国もそれは馬鹿げていると思っているのだ。
「そうだ。ロシアは戦争終結をさせたと思わせて一気に国を攻め入る気だろ!?」
便乗するように他国の代表が声を荒げる。
「そうだ。それしか考えられない!」「ふざけるな」「ここに集めたのも我々を殺すためだろ!?」などとアキムに罵声を浴びせる。
アキムは怒りを覚える。しかし冷静になって考える。ではなぜ皆はここに集まったのか?
「では聞くが、そんなに戦争を終わらせたくないのならなぜ世界会議に応じたのか。聞かせてくれるか?」
確かにそうだ。戦争をこのまま続けたいのなら、世界会議になんか参加せず国境に攻めてくればそれでいい。なぜそうせず危険を犯してまで
「そ、それは‥‥」
コリーもフランス大統領も罵声を浴びせていた代表たちもあれだけ言い争いをしていたのに、それが嘘のように静かになった。答えは簡単だ。どの国も——日本以外——存亡の危機がかかっているからだ。
「皆が答えないならば私が話そう。人員を含めた兵器の資源が不足しているからではないか?」
「(おやおや。本当にどの国も人員や資源が不足しているようだな‥‥馬鹿な国だ。もっと効率よく作戦を考えなければ。日本は後50年以上戦争を行えるぞ。まぁキメラ製造に専念したいから休戦はありがたいが‥‥)」
皆、ばつの悪い顔をしている。
「マハノフ大統領。あなたの言っていることが理解できないのだが?‥‥どこでそんな偽情報をつかまされたのか‥‥。そしてその根拠はどこにあるのだ?」
フランス大統領は少し焦りながら話を進めた。これ以上詮索されたくないのだろう。会話中ボロを出しては元の子もないのだから。
「フフフ。それはどうかな?あんたの国はバカみたいに前進していたではないか。何もかも不足しているのは真実なのでは?」
フランス大統領の発言を笑い飛ばしたのはスペイン代表の首相だ。国によって戦争の仕方は違っていた。1つ目は進軍せず、国境で守備を優先で戦争を行う方法。2つ目は守備のことなど考えずただただ進軍する戦争方法。3つ目は人員をあまり使わず無人兵器を持ちいった戦争方法。4つ目は守備と進軍どちらとも行う戦争方法。5つ目少年兵を特攻させるなど無茶な戦争など様々な方法がある。
フランスは2つ目にいった戦争の仕方だったのだろう。
「なんだと!?貴様ふざけるな」
勢いよくテーブルを叩き立ち上がった。
「おーおー。怖い怖い。今にも殺されそうですねぇ」
スペイン首相は笑いながらそう答えた。今の戦力がSP1人だからか、強気でいる。
「貴様の国など簡単に滅ぼすことだってできるんだぞ!?」
「やれるもんならやってみろ」
席が離れていただけ幸運だった。SPが1人いるから止められるとは思うが、もし隣同士だったら今頃殴り合っていたかもしれない。
戦争で憎みあっているのは本当のことだから仕方ないが、ここまで喧嘩腰とは‥‥。
「いい加減にしたらどうです?これでは会議が続けられないじゃないですか」
そう発言したのは義典だ。だがその表情は笑っている。
「バカがする喧嘩はこの程度なんですかね?」
止めているというより完全に煽っている。この余裕ある態度にコリーは疑問を抱いた。
「なんだと口の利き方に気をつけろ!」
「なぜです?ここに集まっているのは同じ国を代表する者‥‥いい加減にするのはそっちだぞ。三下が‥‥」
義典はフランス大統領とスペイン首相を睨みつけた。よほど義典の顔が恐ろしかったのか2人は完全にビビっていた。
コリーは義典の態度に疑問を抱いた。
「(日本のあの態度‥‥まだ戦える戦力が残っているのか?それに人員や資金、資源の不足をマハノフから言われたときも余裕の態度だった‥‥何か隠しているな)」
「それはそうと森総理。あなたの国はどうなんです?」
「どうとは?」
コリーが笑みを向けてきたので義典も笑みを向けた。しかしどちらも目が笑っていない。狂った2人が会話をするだけで会場の空気が冷たくなってくるのがわかる。
「先程から拝見させていただいたんですがあなたの表情、口調には余裕があるように感じました。まだ戦える戦力が‥‥秘密があるのですか?」
正解だが、義典はここで表情を崩さない。もし表情を崩したら、「(戦力が有り余っていますよ)」と公言しているのと同じだ。
「やめてくださいよ。ダレル大統領。隠し事なんてありません。
「本当ですか?」
「本当ですよ。それにあまり弱気でいると‥‥弱小国家と言われても嫌ですし、なめられた態度を取られてもこの俺が黙っていられる保証もないんで‥‥」
義典から笑みは消え、鋭い目つきへと変わった。そこには殺気があり、コリーでさえ
「(‥‥‥日本にもあの顔をする者がいたとは、なるべく日本とやりあうのはやめておこう。)」
「‥‥それにもし戦力が余っていたらこんなくだらない会議など参加しませんよ。質問はそれだけですか?」
「ええ。すいません。無粋な質問でしたね」
「構いませんよ。しかしもし日本を滅ぼそうとする国があれば我々は少ない全勢力を使って滅ぼす‥‥十分気を付けて理解したうえで好きなように攻撃してきてください。‥‥まぁできればの話ですが‥‥」
義典のあの目は本気だ。どの国もが日本に手を出してはいけないと強く思った。
「(まったく戦争中だというのにここまで恐れられてしまったら戦争ができないではないか‥‥圧を送るのは失敗だったな。アメリカまであの調子だ。‥‥‥つまらんな)」
アメリカも義典の言動のせいか冷や汗をかいているのがわかる。
「そうだ。ではダレル大統領にも同じ質問をいたしましょう」
今余裕の表情を見せ、笑っているのは義典ただ1人だけだ。
「‥‥‥お、同じ質問とは?」
「先程おっしゃったじゃないですか。あなたの国はどうなんですか。何か隠しているんじゃないですか?って」
「え?」
「だって少年兵を洗脳させて特攻させるなんて素晴らしい案。なかなか思いつきませんよ」
少年兵を洗脳させて特攻させる作戦を素晴らしい案という義典。狂っているとしか言いようがない。
アメリカよりも日本が‥‥森義典という男が一番狂っているかもしれない。
「はは。それはどうも‥‥私の国も何も隠してはいませんよ」
「本当ですか?」
「本当です」
再び義典が笑顔になる。今度は目も笑っている。
「では、人員、資源、が不足していてあなたの部下が少年兵洗脳計画を提案したのは事実ですよね?」
「は?」
コリーは義典の言っていることがわからなかった。今完全に部下が提案したと言わなかったか?
「い、今なんと‥‥おっしゃいましたか?」
「おやおや、聞こえませんでしたか。ではもう一度言います。あなたの部下が少年兵洗脳計画を提案したんですよね?」
やはり聞き間違いではなかった。なぜそれをどこで知ったのか?
「ど、どこでそれを‥‥‥‥」
「日本の
憶測なんかでわかるか?もしかしたらコリーが提案したのかもしれないのに‥‥。
「憶測?憶測なんかでわかるものか!」
「いいえ。簡単なことですよ。ダレル大統領。あなたは先程の私の気迫に少々おびえていたご様子だったので‥‥そんな小心者が少年兵洗脳計画という素晴らしい計画を考案するとは到底思えないんですよ。私の憶測では‥‥そうですね、軍人の大将あたりですかね。それも残酷非道と呼ばれている者では?」
正解だ。正解というより大正解だ。少年兵洗脳計画を提案してきたのは残酷非道の大将と呼ばれているクーパー・キャンベルだ。憶測でそこまでわかるものなのか?
「あんたいったい何者だ?」
コリーは警戒する。もしかしたら日本はアメリカにスパイでも送っているのかもしれないと。
「私ですか?私はただの日本を代表でここを訪れたただの内閣総理大臣です‥‥まぁ裏社会では私も残酷非道と呼ばれているだけです」
アメリカは日本という島国など眼中になかった。しかしこの世界会議で思い知らされた。日本に手を出してはいけない。何をされるかわかったもんじゃない。それにわかる。
「私は
「よしてください。言ったでしょう。私はただの内閣総理大臣です。そこまで警戒されると我々も困ります。仲良くしましょう」
戦争中に仲良くしましょう言えるだろうか?
義典は敵国を相手にわざと煽っているのだ。これは考えがあってやっている行為だ。煽りに耐えられず敵国が攻撃を行えば日本は宣戦布告とみなして戦争を行うことができる。それを考えて義典は世界を相手に喧嘩を売っているのだ。しかし今のところ喧嘩を売ったところで買うような面白い国は見当たらない。アメリカはどうだろうと会話をしていたが、あの感じでは戦争は無理だろう。
「(まぁ。キメラ計画を前に戦争を行っても意味がない。ここはほどほどにしよう)」
「小規模国家がよく言う」
日本とアメリカのやり取りは平和?に終わりそうだったのに発言したのはドイツ代表の大統領だった。
「なんだと?」
義典は小規模国家という言葉を無視できなかった。それはどの国も同じことだろう。自国を馬鹿にされて黙っている国の方がおかしい。
空気が一瞬にして殺気立った空気に変貌した。
「貴様の国など我がドイツの力があれば一瞬にして滅ぼせるのだぞ」
そんなことかと義典は一瞬憤怒したがドイツの勝ち誇った態度で一気に興が冷めた。溜息を吐きながら椅子に深く座り込み、目線はドイツ大統領に方に目を向けず、頭上のシャンデリアを見た。
「き、貴様。いったいその態度は何だ!?」
怒鳴りつけられても義典は態度を変えようとはしない。それどころか急に笑い始めたのだ。
「ククク。ハハハハハハハハ」
笑い方も狂人のようで恐ろしい。喧嘩を吹っかけてきたドイツ大統領でさえ、義典の態度に恐怖を感じているようだ。
「ハハハ‥‥‥これは失礼。あまりにも幼稚な挑発だったもので笑いが堪えられなかった」
静寂だった会議室に義典の笑い声が響き渡る。ドイツ大統領はやっとなめられていることに気づき顔を真っ赤にさせた。
「き、貴様。いい加減にしろ!」
「‥‥まったくいい加減にするのはどちらなのやら」
多重人格者か?と思われるくらい義典の表情切り替えしが激しい。先程まで笑っていた表情が今度はきつく睨め付けた表情となった
「言ったよな。日本を滅ぼそうとする国があれば俺らはたとえ少ない勢力を使っても滅ぼすと‥‥。まず目に前にいる俺を殺したらどうだ?まぁ、お前みたいな臆病者が殺せるわけないだろうがな」
「き、貴様!」
ドイツ大統領はSPが隠していた銃を持ちだした。標準は義典にあてられている。しかし銃を持った手は震えている。
「おやおや。手が震えていますよ」
義典は銃を向けられているのに平気で後ろに控えているSPと話をしている。何を話しているのか?ドイツ大統領の席からは聞き取れない。するとSP笑みを浮かべは快く義典に銃を渡したのだ。
「な!?」
コリーもアキムも他の者たちも驚愕している。義典は銃を見て笑っている。
「銃というのはね。こう使うんだよ」
義典は銃を片手で持ち、安全装置を解除しスライドを滑らせ銃口をドイツ大統領の額に合わせた。そう、ドイツ大統領が義典と違い行っていないことがあった。それは安全装置を解除していないことスライドを動かしていないこと、そしてトリガーに指をかけていないことだ。これでは銃を撃つことはできない。ただ銃を持っているだけだ。
「くっそ」
ドイツ大統領はようやくスライドを動かした。
「バカだな。銃もろくに扱えないのにSPから銃を奪うなんて本当に無能だ」
顔を真っ赤にさせて血管でも切れてしまうのではないかと思うほどだ。
誰も止めようとしない。恐ろしいのかもしれない。義典の持っている銃はトリガーを引けば弾丸が飛ぶ、余裕の表情を見れば義典は銃の扱いになれていると見える。ドイツ大統領の顔には汗が垂れる。
「‥‥どうした?まだトリガーにさえ指がかかっていないではないか。本気で俺を殺そうと思っているのか。それともただの脅しか?」
トリガーに指をかけようとするが手が震えてうまくトリガーに指がかからない。
「つまらないな。終いにするか‥‥‥‥」
まるで死刑宣告を受けたようだった。殺気立つ義典の目を見てドイツ大統領は銃をテーブルの上に落した。
SPは急いで銃を回収し安全装置が解除されていないのを見て安堵していた。一応腰につけているホルスターに銃をしまうが、いつでも命令で銃が取り出せるように構えていた。
「そこまでにしてもらえないか。ここに集ってもらったのは戦争終結の話をするためだ。殺し合いをするために呼んだのではない」
アキムもようやく止めに入った。
「では聞きます。マハノフ大統領。なぜあなたは先程から止めに入らなかったのですか?本当に戦争を終わらせるきでいるのならもっと早めに止められたはず‥‥もしかして敵が減ればそれだけ戦争終結に近づけるとでも思ったのですか?」
「‥‥‥‥違う」
「本当の目的は我々の排除ではないんですか?」
「‥‥‥‥違う」
「おかしいですね。ではなぜ今まで行われていた幼稚な喧嘩を見物なさっていたのですか?‥‥おっと幼稚というと私もなってしまいますね。まぁ挑発に乗ってしまった私も私ですが‥‥あなたは戦争を終わらせる気なんてさらさらないんじゃないですか?」
「違う!」
大声を出し、義典に方を睨みつける。しかし義典は余裕の態度を取り、挙句の果てには笑っている。
「では何です?」
「‥‥‥‥‥私は‥‥‥‥‥」
アキムは完全な義典の挑発だとわかっている。このままでは戦争を終わらせるどころか会議の状態を悪化させてしまいそうだ。
一度深呼吸をして心を落ち着かせる。そして気持ちが落ち着いて周りがわかってきた。今日では話が進まない。このままでは喧嘩を続けるだろう。敵国の思うようにはさせない。
「‥‥今日の会議はここまでにしよう。皆、頭に血が上りすぎだ。明日になれば少しは変わるだろう」
秘書に合図し、書類を持ってこさせた。
「明日までにこの資料をお読みください。それでは今日の世界会議を終了とする。この後順番でホテルまで案内いたします。今日はゆっくりとお休みください」
アキムは立ちだしあとのことを妹である秘書に任せた。
「それではアメリカ代表であるダレル大統領からお願いいたします」
皆、少し冷静になったのか、レターナのいうことを聞き順番に席を立った。
「‥‥つまらん」
小さな声で義典は言った。もしアキムが対応を変えれば、もっと面白くなったというのに‥‥。
今日の世界会議はこれで閉会となった。
案内係により代表たちはホテルへ到着した。一ヵ所に集めてはまた喧嘩がおこるかもしれない。そう予想して数ヵ所のホテルを用意した。ホテルのコンシェルジュには代表たちが何も要求しない限りは部屋には近づかないように言ってある。そして不満が募らないよう皆スイートを用意した。
皆、今日の世界会議について話をしている。
「はぁー。散々だったな」
コリーはネクタイをとり、第一ボタンを外した。そしてソファーに深く座りため息をつく。
「ワイン」
部屋広々していて高級感がある。しかしコリーが気にすることもなく、秘書にワインを用意するように言った。クーパーからもらった年代物のワインだ。
秘書はテーブルにグラスを置き、赤ワインをグラスに注ぐ。コリーは赤ワインを一気に飲み、秘書はまたワインを注ぐ。
「全くどうしてどの国も喧嘩っ早いのか‥‥おかげで見てられなかった。しかし日本にキャンベルが提案した少年兵洗脳計画を簡単に暴かれるとは思っていなかったな。日本を甘く見ていた」
「ダレル大統領。これからどういたしますか?」
「どうすると言ってもな‥‥今回は戦争終結を目的とした会議。それに我々の国アメリカは今後戦争を行えないほどの不足、戦争終結をしなくてアメリカは滅びてしまう」
それは何処の国も同じこと。そのために世界会議に参加しているのだ。しかしいざ始まってみてどうだろう?本当に戦争終結を望んでいるのかと思われるほど敵国による侮辱や暴言の嵐。それにドイツと日本の銃まで持ちこまれるほどのあのやり取り。
コリーはわかっていた。あのままアキムが止めに入らなければ義典はドイツ大統領を撃っていただろう。あの鋭い殺気。クーパーよりも恐ろしいと思ったほどだ。そして義典が言った言葉。
『まぁ裏社会では俺も残酷非道と呼ばれているだけです』
裏社会。国を代表される者が裏社会とつながっていてよいのだろうか?
「(森総理はいったい何者なんだ?)」
そしてあのやり取りで義典の余裕のある‥‥いや、勝ち誇ったような態度。やはり日本は何かを隠している。
「日本には今後警戒をしたほうがいいな」
「世界会議で戦争終結はしないと?」
「違う。それでは何のために世界会議に皆参加しているんだ?世界会議によって戦争終結は確実に可決される。しかし完全な戦争終結にはならないかもしれないが‥‥な‥‥」
SPと秘書は首を傾げている。
「完全な戦争終結にはならないとは?」
「憶測だがな。あれだけ血の気の多い国の代表たちだ。いつかはどこからかちょっかいをかけてくる国があるだろう。その時戦争はまた再戦される」
「本当にそんなことが?」
「あくまでも憶測だ。そうなるとは限らない」
コリーはまた赤ワインを一気飲みした。義典のあの鋭い殺気の目が頭から離れず、それを忘れたくて酒をあおっている。
「本当に恐ろしいものだな」
「本当につまらない会議だったな」
別のホテルで秘書と話しているのは世界会議で1番挑発的だった義典だ。
「アメリカは面白そうだったから挑発に乗ったが、結局は気迫に負ける。本当につまらん」
スーツのジャケットを勢い良く投げ、ソファーに座り、足をテーブルに乗せた。
「全くですね。戦争を行う中で国の代表は気になっていましたがあの程度とは‥‥。ドイツ大統領なんて銃の扱いすら知らないとは、笑いをこらえるのに必死でしたよ」
「ドイツ大統領のあの顔見たか?傑作だったな」
「森総理のおっしゃる通りです」
SPと義典はお互い顔を見合わせ笑っていた。
義典とSPの男は、指定暴力団にいた頃の友人だ。義典は元ヤクザ、それも森組組長だ。なぜそんな男が日本の内閣総理大臣になることができたのか?それは賄賂だ。義典は億単位の金を政府に渡していた。そして内閣総理大臣になることができ、戦争を理由に選挙を行わず長い間日本の代表を務め、自由に国家を操っているのだ。
「しかし少しやりすぎたか?」
「そんなことはないと思われますが‥‥。キメラ計画のことでしょうか?」
「そうだ。キメラ計画を集中的に進めるためこの会議に参加したが‥‥危うくアメリカに計画を知られるところだったな」
義典は顎に手をやり少し考えた。アメリカ大統領である、コリーの発言を思い出していた。
『先程から拝見させていただいたんですがあなたの表情、口調には余裕があるように感じました。まだ戦える戦力が‥‥秘密があるのですか?』
「俺はそんなに余裕な態度をとっていたか?」
「いいえ。そんな感じではなかったと、森総理の威厳は出せていたと思いますが‥‥」
「そうか。(アメリカはさほど驚異的ではなかったが、少しは警戒したほうがいいな)」
アキムは大統領府に戻り再び20人と今日の世界会議について話し合いをしていた。
「マハノフ大統領。今日の世界会議はいかがでしたか?」
アキムは大きなため息を吐き、頭を抱えた。
「‥‥‥‥散々だった」
あの光景を思い出すだけで胃が痛む。発砲はしなかったものの銃まで出る始末。
もっと早く止めることができたはずだ。しかしそれをしなかった‥‥いや、できなかった。あの時思ってしまったのだ。戦争を終わらせることは無謀なのだと。
「やはり無理なのかもしれない。戦争を終わらせることなど‥‥」
「そこまで酷い会議だったんですか!?」
「ああ。発砲までには至らなかったがドイツと日本が銃を出すところまで発展した」
完全に暗い顔になったアキム。落ち込んでもいるし、これからどうやって戦争終結の会議をするか思いつかなくて気分が沈んでいる。
部下たちもどう声をかけたらよいかわからず黙ったままだ。しばらく沈黙が流れる。
「あーもー!マハノフ大統領。私たちは戦争を終わらせるために世界会議を開催したのですよ。それをもう戦争を終わらせることが難しい?まだ1日目ですよ?ふざけたこと言ってないでどうすれば各国の代表に戦争終結の同意を得られるか、考えたらどうですか!?」
大声を出していったのはアキムの後ろに立っていた秘書のレターナだ。レターナの気迫に圧倒されているロシア軍とアキム。
そして元帥の1人が笑った。
「フフフ。流石マハノフ大統領の妹様だ。確かに世界会議を開催してまだ1日目。今弱音を吐いている場合ではないですね」
「そうですよ。私たちは根気強く、戦争終結を代表たちに促すんです」
「どうしたら戦争終結の同意を得られますかね?」
「そうだな。それぞれ国ごとの弱点を突いてみたらどうだ?」
妹も含め部下たちは一生懸命に戦争終結に向けて案を出し合っていた。
「いいですね。マハノフ大統領が世界会議に参加した意図を聞かれた際、言葉を失っていましたね」
「それではもう一度、同じ質問をしてみるのも良いかもしれませんね」
「(ああ。なんて恵まれた秘書と部下を持ったことか。ロシアの一番上に立っている自分が弱音を吐いていてどうするのだ?)」
「どうかしましたか?マハノフ大統領。もしかしてまた腹痛ですか?」
レターナが腹痛というと、皆が笑う。
「フフフ。すまない。いや、私は恵まれた部下と秘書を持ったものだとな」
「いまさらですか?」
会議室は笑いで包まれた。
「レターナさん。マハノフ大統領に言いすぎですよ」
「このくらいがちょうどいいんですよ」
ともに苦悩を乗り越えてきた。そして今も世界会議という難問にともに取り組んでくれている。
「(頑張らなくては‥‥絶対に戦争を終わらせてみせる)」
しかし部下たちが言ったような簡単にはいかなかった。
4日間会議は続き相変わらず喧嘩は絶えないでいる。
そして世界会議が5日目に突入した。
「いい加減にしたらどうだ!?いつまで我々をこの国に監禁するんだ」
「監禁って、自ら来日しておいてその言い方はないんじゃないんですか?」
再び、アメリカとフランスの喧嘩が勃発している。
「何だと貴様。殺されたいのか?」
「殺されたいって‥‥あなたは銃を使いこなせるのですか?使いこなせないのなら脅しにはなりませんよ」
この喧嘩は明らかにアメリカのコリーの方が優勢だろう。
「いい加減にしないか!」
大声で喧嘩を制したのはアキムだ。
「(やっとか‥‥)」
義典はあくびを隠そうと口に手を覆った。かれこれ2時間以上アメリカ大統領とフランス大統領の喧嘩を聞いていた。
止める者などいなかった。面倒なのだ。それに敵国の喧嘩を止める必要があるのだろうか?
「マハノフ大統領。では先日森総理が質問していたのを再び私が問いましょう」
コリーは喧嘩の相手をアキムに変更した。
「先程もそうですが、あなたは我々の喧嘩を見物なさっていた。なぜ今頃喧嘩をお止めになったのですか?‥‥あなたは戦争を終わらせる気なんてさらさらないんじゃないですか?」
「‥‥‥観察していたんですよ。あなたたちが何のためにこの世界会議に参加しているのか。まさかお遊びのために参加していたとは思ってもいませんでしたが‥‥」
明らかにこの5日前のアキムではない。
「(これは面白くなってきた。マハノフ大統領は一皮むけたようだな)」
「‥‥‥‥‥今、なんとおっしゃいましたか?」
「聞こえませんでしたか?あなた方はお遊びのために世界会議に参加していたのですね‥‥と」
フランス大統領とコリーは言い返せないでいた。今までの言い争いをお遊びと言われあっけに取られていたのだ。
「そんなことありませんよ」
「では、今度は私が質問します。何のために世界会議に参加しているのですか?」
「‥‥‥」
何も言わないでいる。答えは簡単なのだ。ここに集まっている各国の長は戦争を終わらせるために参加しているのだ。わざわざ喧嘩をするためにロシアまで危険を犯して足を運ばないだろう。
「これはダレル大統領のみに聞いているわけではありません。ここに参加している皆様に聞いています」
「簡単なことですね。戦争を終わらせるためです」
いち早く答えたのは義典だ。他の者達には意外だったのか。皆、驚愕している。
「なぜ驚くのです?私は当たり前のことを言ったまでです。そろそろ私も幼稚な喧嘩に嫌気がさした頃だったので」
「森総理。私は何も幼稚とは何も言っていませんよ。それに相手を挑発する行為、私は気に入りません」
「それは失礼いたしました」
義典は軽く頭を下げた。先日までは言い争いを止めることもできず、義典の挑発的な質問にも答えられなかった。しかし、今は違う。まるで別人のようだ。
「森総理はお答えしましたよ。他の方々は何のために参加なさったんですか?」
しばらく沈黙したままだった。
「あなた方、代表は資源や人員が不足してこのままでは決着がつく前に国が滅びてしまう。そう思ったから世界会議に参加した。違いますか?」
「‥‥その通りです」
「私は、この長く続いた戦争を終わらせ平和な世界へと変えたいのです。ですから国の代表であるあなた方に世界会議に参加してもらいました。私は!終わりのない争いに終止符を打ちたいのです」
誰もが沈黙する中、拍手している者がいた。再び義典だ。
「素晴らしいです。マハノフ大統領。私はあなたの考案に賛同しようと思います。‥‥戦争終結をここで宣言しようではないですか!」
義典は立ちだし、アキムの方を向き先程とは違って軽く会釈をした。
「(‥‥これで皆が賛同すれば、確実に戦争終結は可決される。さて、まずは何処の国からかな?)」
「日本は戦争終結に同意した。他の国はないか?」
「我々アメリカも戦争終結に同意いたします」
「我が国も」「我々も」と次々と戦争終結の同意が得られていった。そして196か国が戦争終結に同意をした。
「(やはり、最初にどこの国が同意を行うか様子をうかがっていたな。これでキメラ計画に専念できる)」
「それではこの名簿に国名と自身の名前をお書きください。196か国の国名と代表の名がすべてそろった時、戦争終結が可決されます。順番に回してください」
最初はアキムの隣アイスランド共和国から紙を渡した。国名を書き、自身の名前を記入し、また隣の人にと紙を回していった。
そして義典の番となった。
「(ようやくか。さて何年続くかな?一時的な平和の世の中が‥‥)」
達筆な文字を書いて、隣に渡す。すでに戦争終結を望んでいた者だったのか、ためらいもなく名簿に記入をしている。
そしてついにロシアの順番が回ってきた。アキムが記入をすれば戦争終結が可決される。
「(これで。これでロシアは安泰。そして平和な世界へとなる)」
最後の確認をする。きちんと196か国の署名があるか。そしてそれは秘書に渡され鍵のついたアタッシュケースにいれる。
「それでは、全員の署名が確認されたとして、ロシア代表のアキム・マハノフ大統領から宣言をしていただきます。マハノフ大統領お願いいたします」
「全世界を代表して私から‥‥世界会議によって戦争終結が可決したことをここに宣言する!」
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