#41 妹と幼馴染と先輩とすき焼き
フジコさんとの対峙の後、キョウコちゃんに捕まり学校だというのに抱き着こうとしたり甘えようとするのを何とか押し留め、学校の外へ出た。
メグっちもサクラさんも今日は二人で買い物に出かけてしまったので、俺は一人で帰る。
途中でスーパーに寄って、夕飯のメニューを考えながら買い物を。
店内をウロウロしていると、メグっちから連絡が入った。
「サクラちゃん連れて後でノリオの部屋行くし!」
「じゃあ、夕飯もウチで食べるか?」
「食べるし!」
「おっけ」
せっかく二人が来るのなら、と今夜はすき焼きに。
家に帰ると、既にクルミが帰宅していたので、一言断っておく。
「メグっちから連絡あって、サクラさん連れて来るらしいから、今日の夕飯は二人が来てからでいいか?」
「は?またあのウゼェ美人来るの? マジで勘弁して欲しいんだけど」
「まぁまぁ、今日はすき焼きだから、我慢してくれ」
「すき焼き! ヨシ!許す!」
妹は、すき焼きが大好きだ。
特に、糸こんにゃくが好きで、以前すき焼きの日に糸こんにゃくを買い忘れたら、食事中なのに問答無用で買い出しに行かされたことがあったくらいだ。
台所で一人ですき焼きの準備をしていると、メグっちとサクラさんがやって来た。
サクラさんは、ほんのりお化粧をしている。
「おや? サクラさんがお化粧している。 元風紀委員で模範生徒だったサクラさんがメイクとは、どの様な心境の変化で?」
「いや、私だってお化粧に興味くらいあるよ! 折角メグが教えてくれるって言うから」
「サクラちゃん、元々が整った顔でお肌も綺麗だし、軽くメイクするだけでちょーバケるし」
「確かに、普段の雰囲気とは違うし、美人度が増したな」
「そ、そうか?ノリオは気に入ってくれたのか?」
「もちろん。今すぐ食べちゃいたいくらいだぜ? まったく可愛い子猫ちゃんだぜ、やれやれ」
「うふふふ、そうか!ノリオは私のことを綺麗だって思ってくれるのか!」
「ええ、だからそう言ってるじゃないですか」
「ゲヘヘヘ」
俺にホメられたのがよほど嬉しかったのだろうが、おっさん臭い下品な笑い声を零すサクラさん。 折角の初メイクで更に美人になっていたのに台無しである。
一先ず、ご機嫌のサクラさんは置いておいて、すき焼きの準備を進める。
クルミも呼んで、4人で食卓に座って食事を始めると、案の定クルミは糸こんにゃくばかりを食べ始める。
「こらクルミ、お肉やお野菜も食べなさいよ」
「は? ジジイのくせにうるさい」
「いや、いくら好きだからってこんにゃくばかりじゃダメでしょ」
「そうだよクルミん。 それにお肉とかも食べないといつまで経ってもおっぱい大きくなんないんだし!」
「はぁ? メグちゃん、マジうぜぇーんだけど!」
「ちょっと待てメグ! お肉食べると胸が大きくなるっていうのは本当なのか!」
メグっちと口論を始めるクルミ
そして肉ばかり取り始めるサクラさん
因みに俺は、すき焼きの具で一番好きなのは、タケノコだ。
しっかり味が染み込んだタケノコは、すき焼き界のメインヒロインだと言えよう。
シメのうどんまで食べて、デザートにメグっちとサクラさんが差し入れで買って来たプリンを4人で食べると、遅くなる前にサクラさんを自宅まで送って行った。
手を繋いで歩いていると、サクラさんがしんみりと語り出した。
「中学生の頃ね、牛乳を毎日沢山飲んでると胸が大きくなると聞いて毎日飲んでたんだけどね、胸よりも身長が大きくなってしまってな・・・」
どうやらサクラさんはメグっちやキョウコちゃんに比べて胸が小さいことにコンプレックスを抱いているようだ。
だから俺は優しく諭すように語り掛ける。
「サクラさん・・・おっぱいの魅力は大きさだけじゃないですよ。 確かに大きいおっぱいは魅力的です。 メグっちみたいに動くたびにぷよんぷよんしてたら、無意識に見つめてしまいますしね。 だけど、大きさだけじゃないんです。形、色、そして味、それらもおっぱいには大事なんです。 サクラさんのおっぱいはスタイルの良いサクラさんに丁度いい大きさだしスク水の時に見た限りでは形もとても良かったです。 あとは色と味です。 大きさばかりに囚われる必要なんて無いんですよ」
「ノリオ・・・」
俺の語る言葉にサクラさんは目をウルウル潤ませて俺を見つめる。
立ち止まり見つめあう二人。
「私は乳輪の大きさも重要だと思うよ」
「ふっ、確かにそうですね。 今度、確かめなくては」
「うん、今度ね」
「約束ですよ」
「ああ、わかってるよ」
ふふふ、と笑いあって再び歩き出す俺たち。
翌日、ウチですき焼きを食べたことをサクラさんから自慢されたキョウコちゃんが「何故私だけ呼ばないんだ!一言連絡くれれば直ぐに飛んで行ったのに!お前たちは冷たいよな!」とスネて大変だった。
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