#35 三者三様の朝
たった半日で、3人とも随分仲良くなったもんだ。
きっと、それぞれ3人が良い子だからだろうな。
メグっちは口悪く言いながらも、さりげなく気遣いするし、距離の詰め方も上手だ。陽キャの本領発揮と言える。
サクラさんは、リーダーシップがあって二人を引っ張ってくれるし、たまに見せる我儘が親近感を感じさせていた。きっと計算無しの天然なんだろうけど。
キョウコちゃんは、自分が汚れ役になって二人に教師という立場を忘れさせる様に振舞い、結果的に二人ともキョウコちゃんを慕っている。
3人とも美形でクセがあるけど、間違いなくヒロインと呼ぶに相応しい魅力的な女性だ。 こんな3人に愛される主人公様な俺。
そう
俺は罪作りだった男、ノリオ。
横になってそんなことを考えていると、誰かが寝室から出て来た。
「ノリオ、まだ起きてる?」
サクラさんだった。
「どうしました? 二人とケンカでもしました?」
「いや、その逆で、ノリオと寝ておいでって送り出されてきた」
「むむ?なんで?」
体を起こして座りルームライトを点けてから、横にサクラさんを座らせて詳しく話を聞くことに。
「ベッドに3人で川の字になって寝てたんだけどね、私がお泊り会は生まれて初めてだって話したら、その流れで、メグはしょっちゅうノリオの家に泊まってるって言うし、キョウコちゃんも先週今週とノリオが泊ってるって言い出してね・・・・それで、また私だけノリオとお泊りしてないってことに気が付いて」
「なるほど。 それでメグっちとキョウコちゃんが、行っておいでって?」
「うん・・・一緒に寝ても良いかな?」
「もちろん」
ソファで二人寝るのは流石に無理なので、床にクッションを置いてマクラ代わりにして横になり、サクラさんを腕マクラで抱き寄せる。
「メイド服は着替えたんですね」
「流石に寝るのに邪魔だからね。それにキョウコちゃんの大切なコレクションだから、皺とか汚れも不味いだろうし」
「サクラさんのメイド服、凄く綺麗でしたよ。 また見せて欲しいぜ」
「ふふふ、ありがとう。 初めてのコスプレだったから最初は恥ずかしかったけど、ノリオが凄くホメてくれたからまたしてみたいと思ったよ」
「今度はメグっちやキョウコちゃんみたいに、大胆なのにも挑戦して欲しいな」
「ノリオはホントにエッチなのが好きだね・・・・機会があればね、見せるのはノリオにだけだよ?」
「うん、楽しみにしてるよ」
薄暗くて表情は分からないけど、間近に聞こえるサクラさんの吐息と甘い匂いが、俺だけが感じることが出来るという優越感と安心感で、心地よい睡魔に包まれた。
薄れる意識の中、唇に柔らかい感触があって「ノリオ、大好き」と聞こえた。
朝、目が覚めると、サクラさんは俺の腕の中でまだ寝ていた。
しばらく寝顔を眺めていると「うう~ん」と呻き声の様な声を出しパチリと目が開いたので、起きたと思い「おはよう」と声を掛けると、無言のまま俺に抱き着いて、また寝息を立て始めた。
夢の中で、俺とイチャイチャでもしてるのかな?
まったく可愛い子猫ちゃんだぜ
しばらくぼーっとしていると、メグっちが寝室から出て来た。
メグっちもメイド服から着替えて寝た様で、モコモコの部屋着だった。
「おはよう、メグっち」
「うわぉ!? びっくりした! ノリオ起きてたんだ?」
「うん、さっき目が覚めた。サクラさんはまだ寝てるけどね」
「ほんとだ、サクラちゃん、めっちゃ幸せそうな寝顔だし。 写メとっとこ」
メグっちはそう言って、腕マクラをしている俺ごと何枚か撮影した。
「そういえば、キョウコちゃんは?」
「まだ寝てるし。 ってかキョウコちゃん、マジ頭イカレててやべーし」
「あー色々妄想の話、聞かされたんだ」
「うん。 ノリオが如何に素晴らしいかめっちゃ語るから、ウンウン言って聞いてたら、暴走してノリオをペットにしたらやりたいこととか、すっごい早口で熱弁してたし。お陰でちょー寝不足気味」
「それな・・・俺も直接きかされたぞ。 普通そういうエロい欲望って隠すだろ? キョウコちゃん、嬉しそうに俺本人に語ってたぞ」
「それやばすぎだし!!!無いわァ~!」
「あれでも教師なんだけどな」
「いままでそんな人だって全然気づかんかったし。 どっちかっていうと、ちょっと怖くて真面目な先生だと思ってたし」
「まぁ、ぶっちゃけると、俺たちにだけ本性見せてくれるってとこは嬉しいんだけどな」
「それでも限度あるし! キョウコちゃんぶっ飛びすぎだし!」
俺たちがキョウコちゃんの話で盛り上がっていると、ようやくサクラさんも起きたので、サクラさんとおはようのキスをしてから、メグっちともおはようのキスをした。
3人それぞれお手洗いを済ませたり、顔を洗ったり、部屋の空気を入れ替えたりして、俺は朝食の準備を始めた。
サクラさんも朝食の準備を手伝ってくれて、メグっちはリビングの片付けを始めた。
朝食の準備が終わると、キョウコちゃんを起こすため寝室に。
ベッドで静かに寝息を立てているキョウコちゃんは、スッピンなのに凄く可愛くて、寝顔を見ていると自然と頬が緩んでしまう。
俺はキョウコちゃんの横に添い寝するように横になり、優しく頭を撫でながら声を掛けた。
「キョウコちゃん、朝だぜ。 早く起きないといたずらしちゃうよ?」
もちろんイケメン朝チュン風の甘いキメ顔で。
「うう~ん」と伸びをしながら目がパチクリと開くと、ガバっと覆いかぶさって来た。
まるで口の中を犯す様にむしゃぶりつかれて、折角さっき顔洗ったのに、キョウコちゃんのヨダレでベトベトになった。
「起きた瞬間発情するとかキョウコちゃんのスイッチおかしいぞ絶対!」
「目が覚めたと思ったら水元が目の前に居たから、まだ夢だと思ってな、ツイツイ」
寝ている時は滅茶苦茶可愛かったのに、起きた途端野獣とか、詐欺だな。
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