#32 主人公がキモくても好きになるのがハーレムヒロイン



 メグっちは、いつものモコモコの部屋着。 

 パーカーとショートパンツでプリプリムチムチの生足を惜しげもなく出していて、若さが溢れている。 俺にとっては見慣れててフィレッシュさは無いが、如何にも”THEメグっち”と言ったいで立ちだ、



 サクラさんは、ダボっとした茶色のワンピースにニーソ。

 派手じゃないけど落ち着いてて、クールというよりもほっこりとした感じで最近態度や表情が柔らかくなったサクラさんらしいと言える。



 キョウコちゃんは、ウチの高校の制服(夏服)に黒のタイツ。

 29歳の制服姿、違和感半端ない。

 元々大人の色気ムンムンなせいで、学生らしい清潔感や爽やかさが無くて、逆にキョウコちゃんのセクシーさがJKの魅力を邪魔している。

 ぶっちゃけ、ウケ狙ってる様にしか見えない。


 なのにキョウコちゃんが一番堂々と胸張ってて、ドヤ顔なのが若干イラっとした。


 本当は色々ツッコミを入れたかったが、さっき「みんな仲良く」って言ったばかりなのもあって、俺は言葉を飲み込んだ。



「どうだ水元? 土田にお願いして貸して貰ったんだが、似合うか?まだJKでも通用しそうか?」


「先生がどうしても制服着てみたいっていうし、先生もノリオに負けんくらい頭やべーし」



 俺は敢えてキョウコちゃんをスルーして、サクラさんから話しかけた。


「サクラさんの制服以外の服装初めて見ましたけど、サクラさんらしく落ち着いててオシャレですね」


「そ、そうか? 私はオシャレとか疎いからな・・・でも嬉しいぞ、ノリオ」


 俺がホメると、サクラさんはキッチンの俺のところまでテトテトと近寄って来て、自然な感じに抱き着いて来たので、軽く唇にキスをして頭をナデナデしてあげた。


 サクラさん、「えへへへ」と顔が超緩ませて幸せそう。



 逆にメグっちとキョウコちゃんが、めっちゃ睨んでる。


「二人もコッチに来て、着替えたの見せてよ」


 俺が声を掛けると、二人とも我先にとばかりにドタドタ走り寄って来た。

 そして二人してその大きな胸を「どうだ!」と言わんばかりに俺に突き付ける。


「正直メグっちはいつも見てるからな。でもいつも通り可愛いぜ」

 そう言って、唇に軽くキスする。


 メグっち、不機嫌治って満足そうな笑顔に。 

 ぶっちゃけ、一番チョロいな。



「キョウコちゃんはバニーの時に比べてクオリティが・・・」


「そうか? 自分では可愛いと思うんだが?」


 そう言ってくるりと回る。


「髪型じゃね?」とメグっちが言うと、サクラさんも「そうだね。下ろしてるよりも上げてる方のが高校生らしいかも?」と。


 髪型を指摘されたキョウコちゃんは寝室からシュシュを持ってきてポニーテールにまとめた。



「おぉ、確かに雰囲気変わった。 ちょっと優等生っぽくなったかも?学級委員とかやってそうだ。 やるなキョウコちゃん。流石伊達に歳喰ってないな?」


「だから歳の話をするんじゃない!」


 と怒り出したので、ギュっと抱き寄せて、ぷっくりしたセクシーな唇にブチュっとキスした。

 すると「逃さないぞ!」と言わんばかりに俺の口内に舌を入れて来たので、両手で顔面掴んで引き離した。


「まったく油断も隙もあったもんじゃないぜ、やれやれ」


 二人きりの時なら全然ウェルカムなんだが、流石に他のヒロインたちが見てる前では節度を持って欲しいものだ。唯一の成人なんだし。








 とりあえず3人とも落ち着ける状態になったので、リビングで話し合いを始めることとなった。


 進行役はサクラさんが務める。

 俺は、みんなの飲み物用意したり夕飯の料理の続きをしながら3人の話を聞いていた。



「えっと、これからのことで私はノリオだけではなく二人とも上手くやって行きたいと思ってて、それで1度キチンと顔を会わせて二人と話しをしたいと思い今日は集まって貰いました」


「そうだな、私も別に水元を独占したい訳じゃないし、二人と上手くやれれば良いに越したことはないと思ってるよ」


「メグも。 サクラちゃんとはもう仲良しだし、先生のことは別に嫌いじゃないし?」


「二人ともありがとう。 それで1つお願いというか提案なんだけど、お互いの呼び方をもっとフランクにしたいんだけど、どうかな? 私とメグは既に名前で呼び合ってるから良いんだけど、火野先生はどうしても学校での呼び方のままだと一人だけ疎外しているようで、なんだかシックリしないんですよね」


「私は学校での呼び方さえ気を付けてくれれば、こういった普段は何と呼んで貰っても構わないぞ」


「じゃーキョウコちゃんで良くない? ノリオがずっとそう呼んでるし、メグとサクラちゃんもそう呼べば?」


「そうだね。私とメグはキョウコちゃんと呼ばせてもらおう。 逆に私たちも下の名前で呼んで欲しいところだけど」


「ああ、分かった。 サクラとメグと呼べば良いんだな? あとこういう場では私には敬語も必要ないからな」


「おっけー」

「うん、わかった」



「それで、次に確認しておきたいのが―――――」



 サクラさんが進行役のまま色々な確認や話し合いやケンカが続いた。


 ケンカと言っても、幼稚な見栄の張り合いみたいな感じで、案外ワザとそうやって距離縮めていたのかもしれない。


 キョウコちゃんは一人だけ成人で教師で、どうしても僕ら学生3人とは距離が出来やすいから、遠慮とか過剰な気遣いだとかを僕らにさせない為に、こうやってケンカして口悪く罵り合ってる様に思えて来た。 実際に、一番キョウコちゃんに対して抵抗があったメグっちは、「キョウコちゃんキョウコちゃん!メグにもコスプレなんか着させて!」と早速仲良さそうにはしゃいでいたし。





 そして、サクラさんが提議したのは、俺たちのセックス問題。今日の本題とも言える。


 何せ、キョウコちゃんと俺が致すと、淫行条例に引っかかってしまう恐れがある。教師と生徒という立場でも問題があるし。

 それは最初から分かっていたことだから、先週も俺はそう言って、一線は超えない様にしていた。 その分、いっぱい甘えさせてなんとか満足して貰っていたけど、やはりキョウコちゃんも立派な大人の女性で、性欲は普通にある。

 というか、普通どころじゃないな、変態だし。



 つまり、俺とキョウコちゃんは、俺が高校を卒業するまでは自重するべきだと言うのが俺の考えで、キョウコちゃんもそこは同意している。


 問題になってくるのは、メグっちとサクラさんはどうするか?ってこと。


 俺の本心は、キョウコちゃんと同じ様に二人にも高校卒業まで待ってほしい。


 やはり、キョウコちゃんだけ置いてけぼりにはしたくないというのが本音だ。

 これは俺のハーレム主人公としてのプライドだった。


 その考えを正直に二人に話すと


「ああ、私はノリオの考えに従うよ。 自分だけ抜け駆けするつもりは無いからな。 実際、二人がしていることを自分だけ無いというのは寂しいぞ・・・私だけノリオと一緒にお風呂に入ってないようだしな・・・」


「メグも良いよ。ずっと初めてはノリオって決めてたし、ノリオ以外に興味ないし、別に焦ってする気ないし」


「サクラもメグもありがとうな。 その分、卒業したらパァーっと逝こうな!!!どこかホテルに泊まって三日三晩乱痴気騒ぎするか!?  あ、でも卒業まで待つってことは・・・私は30まで処女のままか!?」


「そういうことだね。 男だと30まで童貞だと魔法使いになるっていうけど、女の人もそうなのか?」


「女だと魔女?っていうかキョウコちゃん、魔女のイメージちょーぴったりだし!まじウケる」


「キョウコちゃんもサクラさんも、美人なのに今まで恋愛経験が無いっていうのは、やっぱり美人には美人の苦労があるんだろうなってしみじみ共感してしまうぜ。 俺も主人公オーラのせいで近寄りがたいのか、女の子寄ってこないし」


「いやノリオのはただキモいだけだし!近寄りがたいんじゃなくて、クモの子散らしてんだし!」



 ふっ

 メグっちめ、分かってないな


 主人公様の俺がキモいわけないだろ? やれやれだぜ




「ノリオがキモいというのは、まぁその通りなんだけど、私はそこが良い所だと思うし好きなんだけどね」


「そうだなぁ。 私の場合は、そこがどストライクだったんだよなぁ。 「何でコイツはイケメンでも無いのに、こんなに堂々と甘い言葉で口説いているんだ!?」って初対面で凄い衝撃だったぞ?」


「メグの場合は、昔からキモいのが当たり前になってたから全然平気だったけど。 え?つまりココに居る3人って、ノリオがキモいの分かってて、それでも好きってことなの?」


「そういうことだね」



「おいちょっと待てコラ! ヒロイン達にキモイキモイ言われるハーレム主人公とか聞いたこと無いぞ!!! お前ら心の中で「コイツ、キモいな」って思いながら俺とキスしてたのかよ!? 流石にいまのはちょっとキズ付いたぞ!!! っていうか高校生の制服着てるアラサーにだけは言われたくないぞ!」


 ゲラゲラ笑う3人のヒロインたち。

 俺をイジることで子猫ちゃん達の絆が深まる。


 コレで良い。




 そう

 俺は罪をなるべく作らない様にする男、ノリオ。






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