#30 美人教師の悔し涙



 土曜日

 朝からキョウコちゃんと濃厚なプレイを楽しんだ俺は、この日メグっちとサクラさんを迎える為に、部屋やお風呂の掃除や洗濯物などの家事をしていた。


 最早、この部屋では主夫である。

 自分んちに居る時よりも忙しい。



 メグっちとサクラさんは、午後に車で迎えに行くことになっているので、午前中に色々と終わらせる必要がある。


 キョウコちゃんの1週間分の貯まった洗濯物やら、散らかったリビングの片付けなど。 台所だって綺麗とは言えない。キョウコちゃんは仕事がある平日は、外食やらコンビニやらで済ませているから、食器などの洗い物が沢山溜まってるということは無いけど、掃除もしていないのだ。


 キョウコちゃんは部屋が散らかってても気にしていない様だが、流石に今晩は他にも二人お招きするので、俺が自主的に家事を片づけることにした。



 で、その当の本人と言えば、寝室に籠って仕事をしている。

 いくら変態でメス豚と言えども、教師という立派な職業を持っている。


 教師というのは、中々仕事が多く、昨日はほぼ定時で逃げるように下校しているし、普段でも週末は持ち帰りで仕事を家でしているらしく、その貯まったお仕事を午前中に終わらせるべく寝室に缶詰なのだ。




 コーヒーを煎れて寝室に様子を見に行くと、キョウコちゃんは机に向かってブツクサ独り言を言いながら、書類の山と格闘していた。


「キョウコちゃん、コーヒー煎れたんで一息入れたら?」


「あーありがと、水元」


 そう答えて、キョウコちゃんはメガネを外して座ったまま背伸びをした。


「うわ、大変そうだね。 仕事貯め過ぎじゃない?」


「あのなぁ、これも水元とラブラブする時間を確保する為だぞ? お前はもっと先生を敬うべきだな!」


「いや、ド変態のメス豚を敬えって言われたって・・・」


 とココで、俺にメス豚と言われたことでスイッチが入ってしまった。

 相変わらずスイッチがぶっ壊れているのか、瞬時にメス豚モードだ。


「はぅ♡ ご、ご主人様!お仕事頑張ってるキョウコに、ご褒美をくだしゃい♡」


「おい、そんなことしてると、仕事終わらないぞ!」


「はぁん♡ 怒った顔のご主人様も、ス☆テ☆キ☆」


 こうなってしまうと仕事が終わらないので、ベッドに移動してヒザ枕でヨシヨシしてあげた。 なんだかんだとメス豚キョウコちゃんに甘い主人公の俺である。





 なんとかお昼にはキョウコちゃんの仕事が片付いたので、俺の作ったうどんを二人で食べた。


 うどんを食べながら

「結婚に執着していないとは言ったが、こういう生活もいいな」


「こういう生活って?」


「食事の準備や家事をしてくれる人がいる生活だ。 おまけに仕事に疲れたらヒザ枕で癒してくれるとか、最高だろ!」


「朝から欲望全開の妄想も実現出来るし?」


「そうそれだ! 水元!ウチの子にならんか!? 結婚してくれとは言わんから、ウチに住まないか!? お金のことなら心配するな!私がお前を養う!」


「いや、29の教師が17の男子高校生をヒモにするとか、ちょーやべーでしょ、っていうか、キョウコちゃん、それって振り出しに戻ってない? 俺の事ペットにしたいとか言ってたけど」


「じゃーどうしろと言うんだ! 私は週末だけの女かよ!」


「いや、立場的にも年齢的にも、堂々と出来る関係じゃないんだから、そこはガマンしてもらわないと」


「ちくしょう・・・私はこんなにも熱く滾る思い穢れた欲望をぶつけているというのに、どうしてお前はそんなにドライなんだ・・・」


 キョウコちゃん(29歳独身)は、箸を置いて食卓に突っ伏して、マジの悔し泣きをしはじめた。



 これも、俺が罪作りな男だった弊害か



 っていうかキョウコちゃんって、大人の女のクセに暑苦しいし、子供の俺よりも我儘で聞き訳が無いよな


「はぁ、メグっちたち迎えに行くまで少し時間あるし、ご飯食べたら休憩がてらにいっぱい甘えさせてあげるから、機嫌直してよ」


 俺の言葉を聞いたキョウコちゃんは、ガバっと顔を上げると、涙も拭かずに残りのうどんを掻き込む様に食べ始めた。






 食事を終えると、キョウコちゃんのリクエストで、録画が溜まっているアニメを一緒に鑑賞した。


 リビングのソファで、俺の腕の中にキョウコちゃんがスッポリ収まる様に座り、俺が後ろからハグしている状態。 これもキョウコちゃんのリクエストだ。 男に甘えながら大好きなアニメを見る妄想をよくしてて、そんな生活に憧れてたんだってさ。



 因みに、鑑賞したアニメは、イケメンの男性が沢山出てくる三国志が題材のやつ。 

 まぁぶっちゃけBLだった。 キョウコちゃんの寝室に、ポスターとかタペストリーとかフィギュアとかいっぱい飾ってあったやつだ。


 俺にはこのアニメの良さがちっとも分らなかったが、キョウコちゃん(29歳独身)は時折「はぁん♡ 周瑜様しゅてき♡」とか声出してたので、幸せな癒し時間にはなったと思う。





 こんなにも拗らせた独身のアラサーですら癒してしまう俺の主人公力、マジで凄いな。


 やはり、自分で自分が恐ろしくなるぜ。







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