#14 幼馴染との馴れ初め
お風呂から出ると自室に戻り、今はメグっちに強請られドライヤーでメグっちの頭を乾かしてあげている。
因みに、今夜のメグっちの服装は、俺のTシャツにパーカーとハーフパンツを着ている。
お風呂に入る前に隣の自宅へ下着は取りに行ったのに、パジャマは持ってこなかったらしい。
「お泊りっていったら、彼シャツだし?」
「彼ではないけどな」
「細かいことはいーからいーから。 それよりドライヤーでメグの髪乾かしてよ」
「やれやれ、あざとい幼馴染だぜまったく」
そして忘れてはならないのが、今日一日メグっちが着ていてお風呂でびちょびちょになったスク水。 洗濯した後、今は俺の部屋でハンガーに掛けられ干されている。
う~ん
メグっちが着ている時は最強の装備だったが、こうして干されている姿はエロさは全く無く、ただシュールなだけだな。
メグっちの髪を乾かし終わると、いつもの様に二人で勉強を始める。
床に寝転んで時々メグっちの質問に答えながら進めていたが、週末金曜日ということもあり俺は1週間の疲れが溜まっていたのか、いつの間にか寝落ちしてしまっていた。
夜中に目が覚めると、床で寝たまま掛け布団が掛けられていた。
多分、メグっちが掛けてくれたのだろう。
ふっ
流石メグっち、気が利くじゃーないか。可愛い奴め。
そして、そのメグっちはというと、俺に抱き着いたまま寝息を立てていた。
部屋に差し込む街灯の明かりに照らされた、スッピンであどけないメグっちの寝顔を見ていると、子供の頃のことを思い出す。
メグっちとの出会いは、俺たちが小学校に入学した年に土田一家がお隣に引っ越して来た時だった。
家族で引っ越しの挨拶にウチに訪ねて来た時にお互いの親から紹介されて、その場でメグっちに「わたしメグ! いっしょにあそぼ!」と誘われて、俺とクルミと3人でゲームしたっけ。 あの頃からメグっちはいつもアクティブで、誰とでも仲良くなるような子供だった。 今もそんな感じだけどな。
逆に、俺やクルミはいつも家に籠って外では遊ばない子供で、そんな俺たちをメグっちがいつも遊びに誘ってくれて、お陰で俺もクルミも友達はメグっちくらいしか居なかったけど、寂しいと思うことは無かった。
登下校もいつも一緒で、学校から帰るとメグっちは自分の家にも寄らずにウチに直行して、いつも暗くなるまで俺たちと遊んだり勉強したりしてたな。 それも今とあまり変わらないか。
だから、当時はメグっちをクルミと同じような兄弟みたい見ていた。 そのせいで異性として意識していなくて、一緒にお風呂に入るのも一緒のお布団で寝るのも、日常茶飯事のごく普通のことだった。
どちらかというと、本当の妹のクルミの方のがメグっちよりも早い時期に女性としての自覚が芽生えてたと思う。 一緒のお風呂を拒否するのはクルミのが早かったし。
ただ、お互い気持ちの面では異性としての意識は薄かったとしても、体の方は違い、メグっちは周りの子たちに比べて早くから胸が膨らみ、女性的な体つきになっていた。
そんなメグっちといつも一緒に居たから、周りの友達とかからもよく揶揄われてたな。 俺もメグっちも全然気にして無かったから、その事で気まずくなることは無く、今思えば、お互いそれくらいに信頼しあってて、周りの雑音なんかどうでも良かったんだと思う。
そんな俺たちの間に変化が訪れたのは、中学に入学してから。
周りの子たちよりも発育が良く、そして美少女と言える容姿だったメグっちは、中学に入ると同時に何度も男子から告白されるようになった。
メグっちは告白を「恋愛、興味無いし」と言って全て断っていたが、俺はそれを見て内心焦っていた。
別にメグっちを他の男子に盗られる!とかそういうのじゃない。
「メグっちはモテるのに、何故俺はモテないんだ!?」と。
その事をメグっちに話すと
「ノリオはモテなくてもメグが居るからいーじゃん」と笑われたけど、当時の俺は笑いごとでは無かった。
つまらない嫉妬とプライドで「絶対モテるようになってやる!」とムキになった。
そう
罪作りな男の誕生である。
俺に抱き着いて寝ているメグっちの頭を、そっと撫でてやる。
「ノリ・・・オ・・・、ビキニは・・・ム・・リ・・・Zzz」すぴー
ふっ
夢の中で、俺の為にマイクロビキニにチャレンジでもしているのか?
まったく、可愛い幼馴染だぜ、メグっちは。
同じシャンプーで頭を洗ったはずなのに、何故か俺とは違う女の子の甘い香りに鼻孔をくすぐられながら、俺は再び目を閉じた。
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