#11 先輩が絡んで来ないと気になる



「しかしメグっち、昨日は俺のスク水案をあんなに嫌がってたのに、俺の為にそこまでするなんて可愛い幼馴染だぜまったく」


「いあー、試しに着てみたらブラよりも動きやすくてラクだしぃ、メグも意外とアリ?って思ったし」


「まぁスポーツ用だしな。スク水の良さが分かるなんて流石メグっち。俺の幼馴染だけあるな」


「問題はトイレの時なんだよねー」


「確かにな。トイレに行くたびに全部脱ぐのか? 間に合わなくて漏らしたりするなよ?特に大とかな」


 メグっちとスク水談義に花を咲かせていると、校門に到着した。




 すると、いつもいるはずのサクラ先輩の姿が今日は見当たらない。



「おや? 今日はサクラ先輩が居ないな?」


 まぁそんな日もたまにはあるだろう。


 俺は少しだけサクラ先輩の不在を心配しつつも頭の片隅へ追いやり、メグっち達と校舎へ向かった。







 クルミと別れてメグっちと教室に行くと、メグっちは早速ギャル軍団に囲まれた。


「メグっち、スク水とかちょーヤバイし!!!」


「まじイミフ!スイマーメグっち!!!いまからメダル目指してガチる???」




 朝から大騒ぎのギャル軍団を放置して、俺は自分の席に向かい、いつものように月野さんへ朝の挨拶をしてから席に着いた。



「月野さん、おはよう。 今日も美しい君の笑顔が眩しいよ」


「おはよう、水元くん。 今日はいつもより楽しそうですね? 何か良いことでもありました?」



 おっと、流石メインヒロイン候補の月野さん

 俺がメグっちのスク水にいつもよりテンション上がっているのを見抜くとは


 しかし、ココは


「いや、なに、月野さんの美貌を拝める喜びを噛みしめてただけさ」


「うふふ、水元くんったら相変わらず面白いですね」


「そういえば月野さん、シャンプーでも変えました? 漂うフローラルな香りがいつもと違うようですが」


「わかります? 流石水元くんです。うふふ」


 ふっ

 ヒロインのちょっとした変化も見逃さない主人公力主人公パワー

 自分で自分が恐ろしくなるぜ




 そう

 俺は罪作りな男、ノリオ。







 ◇






 お昼休憩

 お弁当を食べ終えた俺は、いつもの様に図書室を目指して歩いていたが、いつも絡んでくるサクラ先輩とは遭遇しなかった。



 朝も居なかったし、今日はお休みなんだろうか


 ちょっと気になるから3年の教室を覗きに行ってみるか




 3年1組の教室を覗くと、サクラ先輩は窓際の席で一人大人しく読書をしていた。


 俺は主人公だから3年の教室と言えども気にせず堂々と入っていく。

 心の中で先輩方(主に女子)の視線に応えながら静かに本を読んでいるサクラ先輩の前に立つ。


 サクラ先輩は俺に気が付くと顔をあげ

「ん?水元か。 どうした?私に何か用か?」


「今日はサクラ先輩が会いに来ないから、顔を見に来ましたよ」


「なんだ、そんなことか。 いや、まぁ水元なりに気を使ってくれたのか」


「主人公ですからね、俺。 ヒロインに寂しい思いをさせないのも主人公の役目ですよ」 


 そう

 俺は罪作りn

「水元よ、いまちょっと格好いいこと言ったとか自分で思ってるだろ?」


 決め台詞言わせろよ



「まぁいい。 そういうことにしておいてやろう。ありがとうな」


「それで、今日はどうしたんです? 風紀委員はもう飽きちゃいました?」


「いや飽きて辞めるようなもんじゃないだろ、風紀委員は。 3年だからな。受験に備えて引退したんだよ」


「なるほど、そうだったんですか」


「だからもう安心しろ。 問題児のお前に口やかましく怒ることももうない」


「とか言って、本当はまた絡みに来るんでしょ?」


「・・・・そうかもな。 そうだ水元、今日の放課後空いてるか?」


「今日は・・・」


 メグっちとスク水談義の続きをしたいんだよな。トイレの時どうしたのかも聞きたいし。


「なんだ?何か用事でもあるのか?」


 しかし、サクラ先輩がこうやって普通にお誘いしてくれるのも滅多にないか


「今日は大丈夫ですよ」


「じゃあ今日の放課後、私に付き合え」


「わかりました。 ふっ、ようやくサクラ先輩も素直になりましたか。 俺と放課後デートがしたいだなんて、可愛いところもあるんですね、サクラ先輩」


「はぁ・・・水元は相変わらずだな」


 こうして、サクラ先輩と初めての放課後デートをすることになった。



 そう

 俺は罪作りn

「じゃあ放課後、校門で待ってるからな。遅れるなよ」


 だから、決め台詞言わせろよ




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