#08 妹とお好み焼き
メグっちとの買い物を終えて家に帰ると、クルミが既に帰宅していた。
「ジジイ、メグちゃんとどこか行ってたの?」
「メグっちに無理矢理、下・・・おっと、何でもない何でもない」
危ない危ない
メグっちの下着の話はクルミの前ではNGワードだった。
もう少しでケリかパンチが飛んでくるところだった。
「シタ? メグちゃんに無理矢理シタって何したの???」
「いや、シタわけじゃない。むしろ、メグっちの我儘に付き合わされてただけだ」
「まぁいつものパターンだね。 メグちゃんも相変わらずはっきりしないんだから」
「ん?なんのことだ?」
「なんでもない。 っていうか、早くご飯作ってくれないとお腹空いて死にそうなんだけど!」
妹のクルミは、料理が出来ない。
なので親が共働きの我が家では、平日の夕飯は俺が作ることになっている。
手洗いうがいを済ませてからエプロンを身に付け、冷蔵庫の中を確認する。
クルミが空腹を訴えている為、手早く出来る物は何かとメニューを考える。
キャベツと豚バラがあるな
「クルミー、お好み焼きでもいいか?」
「おk」
「あいよー」
お好み焼きなら、切って混ぜて焼くだけだ。
簡単に手早く作れる。
キャベツを細かくカットして、ボウルにキャベツ、お好み焼きの粉、玉子、水を投入してかき混ぜる。
食卓にホットプレートを用意して、クルミと並んで座り、二枚分のタネを落として広げる。
「ジジイ、まだ焼けない?」
「今、焼き始めたばかりだろーが」
「チッ」
まったく、このツンデレ妹は、相変わらずツンばかりだ。
でも、お兄ちゃんは今日な、クルミの弱点をメグっちに教えてもらったんだぜ?
「クルミよ、あんまり生意気な態度ばかり取っていると、後で後悔してもしらないんだぜ?たまにはデレてくれてもいいんだぜ?」
「へー、ジジイのくせに今日は強気じゃん」
「そんなことないぞ」
口笛吹く真似してトボける。
お好み焼きを裏返してから、おたふくソースとマヨネーズを満遍なく垂らして、カツオ節と紅ショウガと青のりをトッピング。
「もう食べていいぞ」
「いただきまーす!」
「うむ」
食べながら、もう1枚づつ焼き始める。
お好み焼きでご機嫌になったクルミはモグモグさせながら、どうでもいいお笑い芸人が芸能活動を復帰する話を喋り続けていた。
俺もモグモグしながらクルミの話を聞いていて、クルミの前歯に青のりが付いているのが凄く気になったが、敢えて教えることはしなかった。
そう
俺は罪作りな男、ノリオ。
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