調査結果 その1

1.はじめに


 今回私は、七つ星家の蔵に眠っていたある本について調べた。その本のタイトルは、『七つ星怪異録』。中には七つの怪異が載っている。それを一つずつ調べることにした。

 まず一つ目。「星降りしとき現る者」だ。本には、「夏のころ、星降りしとき七つ星家の裏山に彼の者現る」と書かれている。そして、その後「彼の者」についての簡単な説明もある。しかし、これだけではほとんど情報がなく、正体不明だ。いったい「彼の者」とはなんなのか。

 丁寧に読み取って、考察していこう。「夏のころ」とあることから、季節は夏だ。「星降りしとき」とは流れ星が見られる時期。特に夏に降る星といえば「ペルセウス座流星群」だろう。最後に場所、「七つ星家の裏山」。これは私の祖父母が所有している山のことだと思われる。つまり、今こそ絶好のチャンスだった。

 そこで私は実際に山に登り、会ってみることにした。この怪異の正体はいったいなんなのか突き止めるために。


2.未知との遭遇


 私はテントを張り、夜まで待った。そして、夜。ちょうど流星群が終わったときだった。もう動かなくなったと思った星の一つが突然動き出した。それはどんどん私に近づいてきて、明るさを増していく。辺り一帯が星の光で真っ白になり、突然私の体が宙に浮き始めた。実際にどうなっていたのかはわからない。しかし、地に足がつかなくなったのは事実だ。そして、まもなくして私は気を失った。


3.UFO内部


 そこがどこなのかはわからないが、後述する怪異の正体を考慮し、「UFO」と呼称する。UFOとは"unidentified flying object"の略称で、日本語では「未確認飛行物体」とも言われる。先程の動く星はUFOで、私が連れてこられたここはその内部だと考えた。

 壁や天井は銀色に輝いており、出入り口のようなものはない。一寸の隙間もない部屋に私は監禁されていた。さらに、手首には手錠のようなものをつけられ、動きが制限されている。だが、しばしの探索の末、私は隠し扉を見つけ下の部屋に降りた。その後、薄暗い廊下を進んだのだ。するとその先で廊下の中央に水槽が置かれているのを発見した。中は紫色の液体で満たされており、未知の生き物が入る。それの大きさはバスケットボールくらいで、四つの手足がある。さらに三つの目が均等に並んでいる。これはのちのちわかったことだが、この生き物には口がある。体の半分を開き、そこから触手を出して獲物を捕食するようだ。

 ここまで来たとき、どこからか声がした。それによれば、私はこれからこの生き物と戦わなければならないらしい。拒否権はなかった。瞬時のうちに周りの景色が変わり、木が鬱蒼と生い茂ったジャングルになった。


4.エイリアンとの戦い


 ここから私とエイリアンの戦いは始まった。この生き物は足が早く、ジャングルを縦横無尽に駆け巡る。そして、私が混乱しているすきに飛びかかる。これが狩りの手段だ。さらに、捕食する際には体を開き、触手を出す。これがかなり鋭く、また素早く射出されるので、少し触れるだけでも傷ができる。実際に私も右頬に怪我をした。幸いなことに毒はなく、今ではもう完治している。

 最終的には、私はエイリアンが口を開けたタイミングでその中にナイフを突き刺した。エイリアンは絶命し、川に流れていった。ゆえに、証拠はない。しかし、私は見たのだ。


5.宇宙人の目的


 エイリアンを殺すと、景色がUFO内部に戻った。さらに、部屋には光り輝く謎のシルエットがこたつに入ってくつろいでいた。これこそが件の怪異の正体、宇宙人だ。

 私は彼からきれいな宝石をもらった(宝石の写真を貼る)。 彼いわくこれは「友情の証」。試練(先程の生き物との戦闘)を乗り越えたものに贈呈するものらしい。なぜ友情かというと、この話は私の先祖に遡る。昔この宇宙人を七つ星家の人間が助けたのが始まりらしい。だからといって、修行と称していきなり戦わされるのは困りものだと感じた。


6.おわりに


 今回調査した一つ目の怪異「星降りしとき現る者」の正体は宇宙人だった。しかし、彼はフィクションでよく見られるような侵略を目的として地球に来ているわけではなく、七つ星家との長きに渡る友好関係を大切にするためであった。このように、自分と違う人間と出会ったとき、わかりあうことが大切だと考えた。

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