現実と死体

 空から人の様な何かが降ってきた。地面に落ちるなり赤い飛沫が散った。


 ちょっと朝から変な夢を見ているようで、早く醒めないかななんて思いながら、落ちた物を避けて会社に向かった。


 夢にしては変にリアルで会社はいつも通りで、部長は煩いし、クレームはウザいし、昼飯は一人だし、いつまで経っても終わらない。


 終わる頃には10時半を過ぎて帰り道の人気が減っていた。ビルの横を過ぎたとき壁に赤い線が見えた。その時足が何かに沈んだ。


 見れば人の様な何かだった。夢だと思った現実は足の沈む赤を鮮明に映し出している。


 誰もこの死に体に気付かない。

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