300字未満短編小説達

仕事と犬

　今日は仕事なのに雨が降っていた。最低気温２℃の冬の朝のことだ。雪じゃなくて雨が降っていた。

　やる気の出ない朝方になんとなくで布団を出たは良いものの、行きたくもない仕事に行くのがこれほどまでにしんどいと感じたのは実に何年かぶりのことだった。

　信頼していた部下の喪失とはこんなにも気分の沈むことだったのか。

　時刻は６時。出勤まで相当な時間が残っている。コーヒーを飲んでも気分は上がらなかった。

　しばらくすると隣に犬がやってきた。………そういえば最近少しも構ってやってないな。今日くらい遊んでやるのも良いかもしれない。

　この日、初めて仕事を放棄した。そして犬と遊んだ。