第9話 泣いてもいいですか

 保健所の人が家にやってくる日です。


「クマだけど大丈夫かなぁ。まだ、人と会うたびに心配になる。」


「まずは・・・部屋片付けなきゃ。」


 タロちゃんの面倒見てると部屋が、いつの間にか、ゴミ屋敷になっていた。


 なんとかゴミをまとめて、赤ちゃんを抱っこ紐にのせて、ゴミを出しにいきます。


 これだけで、重労働な気がする。

 保健所の人を迎えるのも大変です。


 ♬ピンポーン。


「きたきた。」


「どうぞ〜。」


「失礼します。お邪魔しますね。」


「はーい。」


「えぇっと。お名前は、タロちゃん。クマさんですね。可愛いですね。それでは体重を測りますね。」


「4キロですね。標準だと思います。」


 続けてミルクの回数などを教えてもらいながら、クマの赤ちゃんを見ながらまったり。なんだか友達ができたみたいで保健所のひとっていい人だなぁ。


「順調に育ってますよ。そろそろお散歩に行ってもいい時期ですね。お風呂も一緒に入っていいと思います。上手に子育てされてますね。」


「お風呂も一緒に! そうですかぁ。ありがとうございます!」


 すごく褒められたぁ。嬉しいぃなぁ。


「タロちゃん、良かったね。」


●●


 タロちゃんが寝ている間に、洗濯、掃除、自分のご飯。

 楽しいけどぉ、疲れが溜まってきているのも事実。


「あぁタロちゃん泣き出しちゃった・・・。」


「待ってくださぁい。今行きます。」


「痛っ!! なんか足に刺さった・・・。でも、急がなきゃ。」


「お乳はさっきあげたから、まだ溜まってないから・・・。」


 ミルクを作ってる間も永遠に泣いてらっしゃる。

 刺さったものが痛いし・・・・・私も泣けてきたよぉ・・・。


 ミルクを冷まして、口にぱくり。


「見事に泣き止むなぁ。」


「それにしても、刺さった何かが痛いなぁ。なんだろ?」


 ーーおおお。足に木の破片が1センチほど刺さってる!!!

 寝不足で何もかもがうまくいかない。


 辛い。


 足、何科に行けばいいの・・・


 ネットで調べると、いいのが出てきました。


 #7119で、案内してもらえます――。


 これは助かります!!


 ♬プルルルル プルルルル


「足の指に木片が1センチ程ささって、激痛が入ってます。」


「それでしたら、皮膚科か整形外科に行ってください。自宅近いところは・・・」


 近くの病院の住所まで細かく教えてもらい出かける準備をします。


 そして、タロちゃんと目が合います。


 緊急事態だけど、タロちゃんを1人で置いていくわけには行かない。


 タロちゃんの出かける準備も・・・・。


 がんばれ、私!!


「やっと準備できたぁぁぁ。」


「近いけど、タクシーで行く方が良さそう。」


 幸運なことに、木の破片はすぐに先生が抜いてくれました。

 これで、手術とかだったら私死んでたなぁ。

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