第36話絶望的なダンジョン探索


『ゲアァァァァァァッッッ!!』


「!?」


 それは強靭なトゲを体にまとったモンスター、



――【スパイクリザード】



 四階層から下層で現れるそのモンスターは、遠距離攻撃、近距離攻撃を両方兼ね備えたハイブリッド。

 冒険者が最初に足を止めるモンスターの一匹でもある。


「まずい! ここで留まっていたら袋叩きにされる! 早くここから出るよ!!」

「くっそ! 次から次へと!」


 【スパイクリザード】二体が小部屋ルームに侵入してくる中、槍を構え、リンとナナミをお願いと指示を飛ばすルカは腰を深く下げる。


「ミルクはリン持ってくれ! 俺がナナミ持つから!」

「分かった!」


 手早く寝袋をミルクに渡し、また暴れないでくれよぉ! と願いながら、リクはミルクをおんぶする。


『ゲアァァァァァァ!!』


 そんな冒険者達を逃がさないとばかりに一匹の【スパイクリザード】は、その二足歩行を活かし、手にスパイクを纏いながら殴り掛かる。


 が、


「ふっ!」

『ゲアァ!?』


 一瞬にして飛躍する【スパイクリザード】をしっかり見切ったルカは、右手に持った槍を一突き。

 今後体力戦になると覚悟したルカの、一切無駄のないカウンターだ。


「強すぎる……ってルカ! また来るぞ!」

「わかって……る!」

『ゲアァァァァ!』


 先陣を切った仲間がオーブへと姿を見送る間もなく、もう一体の【スパイクリザード】は脚に力を入れ、加速するが、


 力一杯投擲されたルカの槍は【スパイクリザード】の身体の中心に風穴を開け、


 一瞬でオーブへと姿を変えさせた。


「ルカさん流石っす! マジぱねぇっす!」

「いいから早く出るよ!」


 こうして、暴れ周り、リンの魔法で眠ってしまったナナミ、その魔法で魔力を使い果たして眠ってしまったリン、そんな二人を抱えるリクとミルク、そして唯一動ける上級冒険者ルカの、絶望的ダンジョン探索が始まった――



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る