第4話牢屋仲間のツインテール


「どうして私がこんな目に合わなきゃならないのよー!」


 ここは地下牢屋の一角。


 ハーフエルフの女の子はがむしゃらに叫び続けていた――


 ワインレッドの髪の毛をツインテールにし、たわわな胸を薄着一枚でかくしている彼女は、激しく揺れるわ透けるわで、もういろいろ大変なことになっていた。


「お家帰りたい……お風呂入りたい……暖かいお布団で……ぐすっ」


 本当に私悪くないのに……と、泣きながらペタンと座り込んだハーフエルフの女の子は、自分の体を抱きしめながら横になる。

 それと同時に薄着がはだけ、白いムチムチの太ももと、見てはいけない伝説のホワイトメロンの下部分があらわになり、卑猥さが五割増しになるが、彼女を獣の目で見る者は誰もいない。


「私このまま死んじゃうのかな……」


 目を瞑りながら、もうダメだと諦めた彼女は、今日も牢屋で眠りにつく。

 ここに来てから約一週間。

 明日はようやく彼女の罰が決まる。

 予想では懲役五十年らしいが、もう彼女にとってはどうでもいい事だった。

 このまま死ぬ。もう明るい未来なんてない。


 そうこの日までは思っていた――


 明日彼に会うまでは――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


――翌日


 俺は警察に叩き起こされ、朝一番で事情聴取が行われていた。


「んで、君は拷問されていた所から逃げてきた……と?」

「はいそうなんです……とても怖い女の人に襲われて……首元を噛みちぎられそうにもなりました!」


 うん、ちょっと盛った。多分噛みちぎろうとはしてなかったと思う。

 それでも俺は、できる限りの嘘を塗り重ね、拷問されたことを確実に伝えようとした。

 それなのに……こいつら警察は……。


 頭が筋肉でカッチカッチだった――


「いや、証拠がないからね……君の話が偽りの可能性もあるからね……信用ならないね」

「頭悪いんかお前」


 まじで使えなかった。

 証拠もくそも事実なんだよ!

 俺は、本当なんです! もうそれはそれはとても卑猥なお姉さんにっ! と、涙ながらに語りを続けるが、お前みたいなやつを好む女などいない。そもそも拷問ならお前悪いことしてたんじゃないの。とかまじでクソみたいな意見しか出してこねぇ。

 木の椅子と机しかない質素な空間に響く俺の声は、先程から空をきりまくる。

 ああ言えばこう言う警察がしまいには、もう死刑でいっかとかまた軽々しく言い始めた為、俺はがむしゃらに頭を振りまくる。


「ちょちょちょ! まじで頼むわ! 俺本当に悪くねぇから!」

「じゃあさ君どうやって逃げてきたの? その卑猥な女性殺したんじゃないの?」

 

 疑いの目でこちらを凝視する警察。


 なるほどそういうことか! 俺を人殺しだと思ってたんだな!

 

 と、俺は挽回のチャンスだと鼻を膨らましながら自信満々に言葉を返す。


「違う! 俺は魔法でテレポートして逃げてきたんだ! もうそれはそれは苦しい戦いでしたけど――」

「はい君、魔体制牢屋行きね、連れてっていーよー」

「「いえっさー!」」



 やっちゃった――



 唯一の逃げ道であった魔法を封じられた俺は、いよいよ限界に達していた――

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