ヴァッサー国の追悼式と激戦
ボウイの追悼式では緑色に光る熱帯魚『ベタ』がひつぎを照らし、オーシャンが「ボウイ。保管しておいてくれた」と箱に入った化石を見ながら落涙していた。
「弓兵の育成が急務だな」小声で言った門番の男性が肩に切り傷を負い、マダコの太い触手が包帯代わりに巻かれた。
ゲヴィッターはシュテルンたちに湯気の立つレモネードを渡しながら、おじとの思い出について話し始めた。「俺はヴァッサー国の祭りが好きで、14歳の時には近所の子たちと広場で踊ったな」小声で言った時、マダコのツボが「トゥルぺとクォウを発見!」と叫んだ。
ツボがクォウに向かって墨を吐き、大声で泣いている孤児たちを吸盤でつかんで移動図書館へ避難させる。ローゼはトゥルぺを追い、船着き場へと向かう。
「あんたなんか嫌いよ!」絶叫するトゥルぺの槍をよけ、剣で肩に裂傷を負わせる。背後から近づいたクォウが、ローゼを移民船内に監禁した。
移動図書館の2階で、オーシャンが「ヴァッサー国内に水路は全部で100本あり、クォウとトゥルぺが生活しているのが家具屋の下。ロッキーとレイク、ベタちゃんも同行させます」とゲヴィッターとフェストに説明する。「ありがとうございます、陛下」ロッキーは緑色の光を出す4匹のベタに「ローゼを救出するよ」と小声で言った。
ローゼはトゥルぺとクォウによって縛り上げられていた。着用していたベストとブーツは埃だらけになっている。
「ヴァッサー国もギャングの根城になる」クォウとトゥルぺが大声で笑った時、緑ゾウガメのジボが現れて縄を歯で切り、「質素倹約を心がけろ!」と一喝。ベタが緑色の光で二人の目を損傷させた。
ロッキーとレイクが紫色のベストと黒いズボンにベージュのブーツを着用したローゼに駆け寄り、「ゲヴィッターさんが外で待ってる」と出口を指差す。操舵室に監禁されていたブロッサムも救出され、手を振っていた。
「ネモフィラの娘だったんだな」「ええ。首飾りと剣は、母の形見」「花びらが彫ってあるからね」「ロッキー、知ってたのかよ!」「うん」
水路から出ると、オーシャンが3人に手を振っていた。「ありがとうございました、陛下」「いえいえ。渇水の原因はクォウとトゥルぺによる浪費でした」
移動図書館の警備を終えたゲヴィッターが、涙ぐみながらローゼに駆け寄って来た。「ゲヴィッターさん」「おかえり」という声とともに抱きしめられ、肩まで伸びた髪に彼の唇が触れた。
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