フェストとアプフェル、弓を強化
フェストとアプフェルは弓兵の男性ボウイが用意した弓を板に貫通させていた。梨に刺さったアプフェルの矢を見て、ボウイが梨3個を用意し「貫通できた者には、札束を渡す!」と大声で言う。サバンナオオトカゲの豊作が的を用意し、水路の中に入った。
的を大破させ、ボウイに「梨に当てろ!」と怒鳴られた20人が弓を置いたが、アプフェルの矢は3個の梨を貫通していた。ボウイがアプフェルにヴァッサー国の札束6枚(4万円)を渡し、大声で嬉しそうに笑った。フェストの飛ばした矢は、運河の下に置かれた太い流木に刺さっていた。
「トゥルぺとクォウが焼いた子牛の肉を食べていた。子牛はヴァッサー国でも高価で、結婚式の時しか食べられない」家具店でフェストが湯気の立つミネストローネと焼いたニンジンを食べながら小声で言う。
「トゥルぺ姉さんは母のお墓に、靴でひびを入れたの」「ブルーメ国では死ぬと花びらになるらしいな」「うん。トゥルぺ姉さんは雑草」アプフェルがミネストローネを飲み終えた時、オーシャンが家具店に入って来た。
「オーシャン陛下」「水路で子牛の脂とクォウの歯がついた棒が見つかりました」オーシャンは布に包んだ棒を二人に見せる。ゲヴィッターがローゼと歩いてくるのが見えた。
「トゥルぺとクォウは靴を新しくし、お湯も浪費している」ゲヴィッターが言い、「俺とフェストのおじはクォウの矢で死亡した。祭りで熱唱し、クォウの逆鱗に触れたんだ」と付け加えた。ローゼとアプフェルは言葉が出てこなかった。
移民を乗せたボートが運河に止まり、子どもを連れた長身の男性が下りてきて毛布を受け取っている。ボウイが湯気の立つグラタンと焼いたホタテを入れた皿をレイクたちの前に置いた。
「うめえ!」嬉しそうにブロッコリーやニンジン、チーズ入りのグラタンを食べるレイクとロッキー。男性と11歳、7歳の娘は泣きながらホタテを食べていた。
移動図書館では図鑑や絵本を使った授業が行われ、ロッキーやレイクらも参加していた。オーシャンが図鑑を見せ、「ヴァッサー国の特産品はホタテ。しかし獲れにくく、市民たちも困っています。矢はユキヤナギの木からできており、遠くまで飛ばせます」と解説する。授業は夜9時まで続いた。
「ボウイさん。弓を見せてもらってもいいですか?」ロッキーが聞くと、「ああ。
壊さないようにな」と持たせてくれた。
「大きい」驚くロッキーとレイクに、「飛ばしてみるか?」と流木を指差すボウイ。二人の矢は木でできた看板を貫通した。
「ありがとうございました」梨をかじって水分を取るロッキーとレイクを、ボウイや弓兵たちが拍手でたたえた。
フェストはおじの墓にホタテの殻を置き、「祭りで歌えるようにするよ」と小声で言った。
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