ジューンとトゥルぺ
ジューンは倉庫内でチューリップが描かれた2本のナイフを見つけ、腰の革袋に入れる。背中まであるオレンジ色の髪に紫色のドレスを着たトゥルぺが、ジューンに殺意のある笑みを見せた。
「トゥルぺ・ブルーメ様」「あなたと槍で戦いたいの」トゥルぺは紫色の槍を背中の革袋から抜き、ジューンに斬りかかってきた。ジューンは倉庫内の丸い机で槍を片手に持つと、トゥルぺのネックレスを切る。
激怒するトゥルぺの槍を石を蹴りながらよけ、自分の槍でトゥルぺを天井にある岩にたたきつけ失神させた。
愛猫のプリンツと中庭に来た時、ローゼとシュテルン、アテナがジューンと抱き合った。「ジューン。トゥルぺ姉さんを失神させたの?すごい」と驚くローゼ。
プリンツのあごをなでながら、「クルーズ隊長と毎日槍を使って戦う練習した
から」と答えタオルで顔をふく。
シュテルンはキンモクセイの花に近づき、「甘いにおいだな」とつぶやいた。
「ブルーメ国では結婚式の時にブーケにします。花屋の女性が17歳の娘と一緒に育てて、城へ届けてくれるんです」アテナもにおいをかいだ後、満面の笑みを見せた。
「ジューンはジャムって好き?」と聞くと、「アプフェルのジャム店に朝の5時から並んで、アプリコットとイチゴのビンを5個買ってるよ」と答えた。
「アプフェルが作って冷やしたブルーベリーのジャム、持ってくる」ローゼは
皿に乗せたジャムとスプーンをジューンの机に置いた。ジューンは満面の笑みで
「レッカー(おいしい)!」と言った。アプフェルはジューンの机に、『ありがとう。また買いに来てください』と書いた便箋を置いた。
ローゼは中庭にあるツユクサの土を両手で広げ、城の入り口にある石けんで洗う。
(姉さんはハイエナの刺青の盗賊たちと一緒に、孤児たちを不安にさせている。ジューンが『ハイエナの灰色のしっぽの刺青を片腕に入れたクォウは、3歳だったマックスを連れ去りあごに傷をつけた。マックスは泣き続けてた』と言ってたな)
クルーズが「ローゼ、ホルツから『図書館前の花壇でキンモクセイが咲いたこととジューンがトゥルぺ様を失神させたことに驚いている。ヴァッサー国に来た時、みんなで見てくれ』と書かれた便箋が来た。
マックスが眠れずにいるらしいから、一緒に本を読んでほしい」と言ってマックスの寝室の前へと彼女を連れて行く。
「マックス、こんばんは。ローゼよ。入っていい?」と聞くと、「はい」と寝間着姿のマックスが答え、ローゼとソファーに座った。
「ナイフとクォウの笑みがが夢に出てきて、冷や汗をかきながら起きています」
ローゼはマックスが好きな児童書を読み始める。15分後、マックスは寝息を立てながら児童書を握りしめていた。
ローゼはカボチャの形のクッションをマックスのベッドに置き、自室へと戻った。
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