間章 レイクの幼少期と友達


 俺はレイク、11歳。湖のそばにある小さな街で暮らしていた。7歳の時、紛争と湖の水不足で父さんと母さんが死亡し、山を通ってヴァッサー国に避難した。

 砲弾が飛ぶ音や怒鳴り声を思い出すと、涙が止まらなくなる。透き通っていた湖は泥や流木が入るようになり、魚や水草も干からびていた。



 「湖が俺の遊び場だった。魚を焼いて食べたり、潜ってたんだ」ロッキーに話すと「僕も魚獲りをやってたよ。塩を振って食べるとおいしいよね」と笑う。

 「湖はヴァッサー国の市民とオーシャン陛下によって清掃されている」ワニガメのリマンが言い、湧き水入りのコップを二人に渡した。


 「これって、湖の水?」「ああ。ブルーメ国の市民たちによってろ過され、飲めるようになった」とリマン。レイクの目から涙があふれ出し、木でできたベンチの上に落ちる。ロッキーの肩に乗っていたサバンナオオトカゲが、レイクの肩を尾でポンとたたいた。


 「この子は豊作」「おお。……トカゲか」レイクは豊作から渡されたハンカチで

涙をぬぐい、「ありがとう」と背中をなでた。

 「レイク。友だちになってくれる?」「ああ!」「ありがとう」ロッキーはレイクと握手をし、嬉しそうに笑う。


 「レイク!」鍛え上げられた体つきの男5人が庭の中に入って来て、「お前の父さんと母さんに深手を負わせ死亡させた」とレイクに打ち明ける。

 「水が欲しかったばかりに……。悔いながら過ごしてるよ」33歳の一人が言い、深く頭を下げた。



 「おい!女が倒れてるぞ」薄茶の髪にベージュの目を持ち槍を持った18歳の女性が倒れているのが見え、レイクと33歳の男が寝室に運びドアを閉めた。



 目を覚ました女性に、レイクが「ブロッサム」と声をかけると「レイク!」と小声で言い驚く。「クォウに両手を縛られ、深手を負わされたの」レイクが取って来た包帯を8歳の女児がブロッサムの背中に巻き終えた。

 入浴を終え、湖が描かれた青色のベストと緑のスカートを着たブロッサムは「ありがとうね」とレイクに笑みを見せた。「おう!」

 


 「僕、ロッキーです」「よろしく」机の上に乗った豊作に見つめられ、「ひっ!」と悲鳴を上げる女児とブロッサム。

 


 「ブルーメ国の市民たちも、孤児を守りながら奮戦してるわ」「『クォウとトゥルぺが家具に穴を開けている』と運河の清掃後に父が激怒していました」ロッキーが言い、「靴も新調したらしい。ローゼを捕えようとするぞ」とリマンが付け加えた。



 「レイクと私は同じ街の出身で、毎年秋に開かれるお祭りに参加してたの」栗のいがで作った明かりを机に置き、「父さんの手作りなんだ」とレイクがロッキーに説明する。

 ブロッサムが「手を刺さないようにね」と5個のいがを袋から出し、ロッキーも明かり作りに参加した。


 



 



 



 

        





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る