第10話 二月の物語

「二月の物語」


たぶん何も知らなかった

知りたいとも思わなかったし

心のどこかで知ることを拒否していた

二月が終われば春が来る

その先にあるのは「別れ」という現実


たぶん何もわからなかった

わかりたいなど無駄なことで

わかったところでどうなるものでもなかった

二月になれば春の気配がする

確実に近づいている「別れ」という事実


僕にはどうすることもできなかった

僕には止めることも拒否することも不可能だった

ただ現実を少しづつ受け入れて理解して

黙って君を見送ろうと思っていた

きっと笑顔で見送ろうと誓っていた


これから僕は

物語を綴ろうと思う

早春のような淡い思い出を

二月の物語

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如月譜 詩川貴彦 @zougekaigan

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