第7話 春の匂い

「春の匂い」


如月

春が目覚めるとき

ふとした瞬間に

眠っていた春を見つけるとき

たとえば晴れた日の夕暮れの匂い


弥生

春が歩き始めるとき

ふとした時間に

春のここちよさを思い出すとき

たとえば縁側の日なたの匂い


卯月

春が走り始めるとき

桜色の景色を

春のあわただしさがかき消すとき

たとえば新しい職場の匂い


皐月

春がすっかり成熟し

人々が

春の別れを乗り越えるとき

たとえば初夏の緑の匂い




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