第6話
「亮ー、聞いてるー?」
絢の声に思考を中断させられ、俺は顔を上げた。いつもと変わらない、放課後の帰り道。
「あ、ああ悪い。ちょっと考え事してた」
「もー、最近多いよ?上の空になってること」
自分でも分かっている。色々と考え込む事が前より増えた。それはキャンセラーを使い始めたのが原因なのは間違いない。もっと言えば樋口の事が原因だ。
結局自分がどうしたいのかもはっきりしないまま、俺はズルズルと樋口との距離を縮めていた。
そういえば、昔は顔が悪い奴のことをブスなんて呼んだらしい。
別に絢はブスってわけじゃないと思う。でも、樋口と比べるとどうしても見劣りするのも事実だった。
俺も絢も、外見や中身が変わったわけじゃない。ただ、顔の見え方、それが以前と違うだけ。それだけの違いにここまで振り回されているという事実には俺自身驚くしかない。
最近では、こうして絢と一緒に歩いていても前ほど純粋な気持ちではいられない。ふと気付くと、樋口の顔が頭に浮かんできてしまう。
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