2020年4月12日(日)

 37度台前半の夫の微熱は一夜明けた日曜日も続いた。

 本人的には少しだるくてちょっとふらふらするだけで、まぁ仕事もしようと思えば全然できるし、寝込んだりする必要はまったくないとのことだが、こういうご時世だけに一応寝室で過ごしてもらうことにする。


 が、夫がそうやって籠もっていると近寄りたくなるのが子供たちの性。

 コロナと言うと不安がっちゃいそうなので、


「パパはちょっと具合が悪いからおねんねの部屋で横になっているからね。行っちゃ駄目よ。静かにしていてね」


 と優しく諭すわけだが、行っちゃ駄目、静かにしていてね、という言葉は子供からすれば逆に受け取るべき言葉であり、


「パパ~! なんでずっと寝てるのぉ?」

「パパああああ!」

「だぁから○子も○市も寝室に行くなっつってんだろーが! なぜ言われたことと真逆のことをしやがるんだ貴様らああああ!」


 感染したらひとまず隔離、トイレもふたつあれば別の場所を使って消毒しまくれ、とはニュースなどでよく聞く言葉だが、うん、我が家のような2LDKのアパートではそれは望めないし、子供たちがこうやって出入りしちゃうからな。難しいというか不可能だよな。扉に鍵もついていないし。


「だからこそ、東京なんかは感染患者を隔離するためのホテルとかの用意に乗り出しているわけだよなぁ。これで夫氏がコロナだったらうちもそういうところに世話にならないと、たちまち一家全滅だな……」


 とはいえ現時点で隔離できていないのだから、全員が濃厚接触者確定で、結局は同じところで待機していろってなる気がする。


「うぅ、二月の胃腸炎でもあれだけ危機的状況だったのに、コロナになって咳が止まらない状態に陥ったらもっとやばいことになりそう……」


 消毒なんて悠長にやっている時間も体力もないと思うのだけど……ああああ、不安が尽きない。せっかくプロットがいい感じにできあがってきたのに!


「あいにく商業用のプロットではないんだけどね。あああああ、〆切は来週、ってか今日は日曜だから今週じゃん、あと三日後じゃん〆切ぃいいいい!」


 終わらん。プロットが終わらん。なにも思いつかん。

 こういうときはTwitterのDM画面を開いて、レンタルさんの『焦らなくても大丈夫』の一言を見て、ひたすら拝む。

 窮地に立たされている我が家と、わたしの創作脳を救いたまえ……。


 結局、夫の実に微妙~な体調不良は就寝時間になっても治らず、熱もそのままだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る